テーマ:映画館で観た映画(8536)
カテゴリ:映画
もう結構前の話になってしまうのですが 2008年4月5日に渋谷のシネ・アミューズというミニ・シアターで 「Jellyfish」という映画を観てきました。 この映画、実はイスラエルで製作された映画 (正確にはイスラエルとフランスの合作)なんですよ。 おそらく今まで観たことがないイスラエル映画っていう物珍しさと 何とフィリピン人が出演しているという興味も手伝って 観に行く気になってしまいました。
冒頭、主人公のパティアという女性が恋人と別れるシーンから始まって そのパティアの話をメインとして 彼女が働く結婚式場で結婚式を挙げたカップルの話 さらに子供を自国に残して出稼ぎに来たフィリピン人の話と 別々な3つのストーリーが微妙に絡み合い 特にドラマチックな展開があるわけでもなく タイトル「JELLYFISH(くらげの意)」のように映画は進行していきます。
私の勝手なイスラエルのイメージは エジプト・ヨルダン・シリア・レバノンといった中東の国に囲まれ またパレスチナ自治区の問題もあって紛争が絶えない国 そしてユダヤ人が建国した国なので 国内は同じ民族で、かなり統一されているんじゃないかと思っていました。
でも映画で描かれているのは、製作サイドが意図的に避けたのかもしれませんが 私が思い描いていたイスラエルとは違い、どこかのヨーロッパの国かと思うほど 普通の街並みや風景の中で話が展開していき イスラエル映画と言われても気がつかないほどでした。
さらに同じユダヤ人であっても 実際は世界中に点在していたユダヤ人が移住してきた結果 多様な言語や文化が存在して内情は複雑なんだそうです。 特に1990年代には旧ソ連諸国から100万人という大規模な移民が流入し 公用語はヘブライ語なのに、今ではロシア語とのバイリンガルな状況が 生まれているそうです。 そして最近の10年ではフィリピン、タイ、中国などアジア諸国から イスラエルへ出稼ぎにやってくる外国人労働者が急増しているらしい。
その象徴として、この映画にフィリピン人が出てくるのですが 登場するフィリピン人は女性で介護ヘルパーの仕事をしている役どころ。 ところが出演しているフィリピン人は役者じゃなくて 本当にテルアビブで介護ヘルパーの仕事をしていた素人だそうで、ビックリ!
ヘブライ語が分からないので、ベビー・シッターを希望していたけれど お婆さんの面倒を見ることになり、言葉が通じなくて お婆さんからは厳しい言葉を言われたり、苦労の連続。 そんな彼女の喜びはフィリピンに残してきた子供と電話で話すことだけど 子供からは「何でママは遠くにいるの?」と責められてしまう。
この辺りは、昔観た「母と娘(Anak)」ってフィリピン映画を思い出してしまい イスラエルにおいて外国人労働者をどう受け入れるかって問題を ここでは描きたかったのでしょうが 私は同時に出稼ぎに頼らなければならないフィリピンの根深い問題を 再認識させられました。
ネタばれになっちゃいますが、子供から「誕生日に何してくれるの?」と お願いされた彼女が、ある船の模型を見つけて「これをプレゼントしよう!」と 心に決め、お婆さんの介護をしている間も、ずっとそのことを気にしていたので ある時お婆さんが気付いて、彼女に内緒でその模型を買っちゃったんです。 店頭から模型が無くなったのを知った彼女が ガッカリしてお婆さんの家に戻ってきたら、その模型を渡され 言葉が通じずコミュニケーションが上手くとれなかった2人が 喜んで抱き合うシーンは、とても象徴的で印象に残りました。
ちょっと違う視点からこの映画を評価してしまいましたが(笑) 2007年カンヌ国際映画祭で新人監督賞を受賞したこの映画 決して派手ではないけど、色々と考えされる映画でした。
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