やはりすごかった
「本物のロック」に生で出会った初体験は、中学時代に行った高校生のロックコンサートで『士農工商』というカルメン・マキ&オズのコピーバンドが『空へ』という曲をやったのを聴いた時だ。ロックコンサートで聴いたそのバラードは、何か遠くのいけない世界に自分を連れて行ってしまった。 このバンドはそのうち地元以外でも有名になり、オリジナル曲をやるようになり、ヤマハのコンテストでも中国大会決勝とかに出るようになる。テレビでも見た。 ボーカルのチリチリロン毛のお姉さんも含めて、独特なムードを持っているバンドだった。下関市内のアマチュアロックコンサートがあると友人たちと連れだって行っていたこの時期、「士農工商」が出るとなるとその期待感も違っていた。 高校に入学した時に驚いたのは、2つ上の先輩に、その「士農工商」のキーボード、『大石学』さんがいたこと。あのバンドの人が普通に歩いていて(笑)、むしろ私よりもまともな学生生活をしてそう?な感じに驚いた。1年の時の選択音楽の授業のゲストとして、シンセ数台を弾きに来て謎のインストのオリジナル曲?をやった時も、なんだかわからずに首をかしげていた他の生徒よりは少しは楽しめたような気もした。 その後、自分が上京して本格的にバンドをやるようになってからはすっかり情報が入らなくなっていた。ヤマハに就職したらしいという話だけ聞いてはいたが…。 そして10年くらい前かもっと前か、ジロキチというブルースのライブハウスにかなり出ているのを見つけて、「ああ、こういう世界にまだ居てくれたんだ…」と結構感慨深かった。でも結局、店にまでは行かなかった(笑)。 そして今日、高校の同窓会の会報みたいなものが届いてそれを呼んでいると、今年のパーティーのゲストとしてその名前があった。 ホームページで大石学プロフィールを見て、「うわー、すごい」と驚いた。 簡単に言うと、シングライクトーキングとか松山千春とか金子マリとかのバックで弾いているし、トリオバンドとしてもかなりの高評価を受けているようだ。 もうなんていうか、本物中の本物というか、いわゆるジャズピアニストとしてミュージシャンズミュージシャンになっていた。ご本人のトリオのCDは毎回2000枚程度しか売れないそう(笑)で、まずはひとまず、CDを買ってみることにした。 結構楽しみだ。 こんなにのせといて、こんなに運命的だと喜んでおいて、ひとまず1枚しか買わない自分が結構好きだ…。 ところで、この高校の1年生の音楽の授業では、出席番号順にバンドを組まされ半年後にそれなりの発表をするというコンテストがあって、小・中学生の時にエレクトーンの全国大会で賞を総ナメにした…という大石さんのところはもちろんその年の優勝バンドとなったそうな。 オチとしては、その2年後の優勝バンドのピアノとボーカルは私である(笑)。「グッバーイ、とわにー、グッバイ俺の青春ーー」と演歌のようなバラードのオリジナル曲(作詞H野君、作曲私)はとてもわかりやすいが、今思うと、たったの2年間でこんなにレベルが落ちたことに音楽の先生はお嘆きだったに違いない。 ちなみに、私は演奏前のMC(お話)でHな話をしたという責めを個人で負って、本当に減点をされていた。バンド全員評定は「5」なのに私だけ「4」。優勝バンドは無条件で「5」というこのコンテストの伝統を初めて踏み外すのであった…。先生も大人げないなあ。