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2008年09月16日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
続・幼少期


かくして様々な経験をして、はじめての集団生活が終わるのである。
だが、この幼少期に忘れてはいけない出来事が2つ残っている、初恋とファーストキスだ。
小さな恋のメロディーとまではいかなくとも、ヒロインとヒーロー(ふふっ私だ)の設定はなかなかいいと思う、そのうち小説でも書いてやろうかなんて企んでいる。(何年前からだろな)

彼女はどっからどう見てもヒロインだった。(切り口がなんて安易な)
例えば卒園アルバムを開いてみよう、「この子可愛らしいなぁ」と誰もが言う1番星みたいにキラキラ輝いていた、英語ではスパークリーだ。母に倣って本名と半分くっつけてスパ美ちゃんと呼ぶことにする。
スパ美ちゃんはいいとこの住職さんの孫娘だった。小さな丘の麓に立派な家と本堂があった。広い庭はこまめに手入れされた芝生が青々と広がり、庭の中央に生える大木の枝からはお父さん手作りの木製ブランコが風に揺れ、その木陰の下で白いウサギ、茶色のウサギの2匹がスヤスヤと眠っていた。(どうだ、メルヘンだろ)
僕がスパ美ちゃんの家に招待されたのはほかでもない、クラスで1・2を争う人気者だったからだ。
僕たちが通う幼稚園は花や天体の名前を付けてクラス分けをしている、某歌劇団と関係があるのかどうかはしらないけど、ほぼそっくりそのまんまだ。スパ美ちゃんと僕のクラスは星組。そう、同じ星の下に生まれたようなもんだった。
スパ美ちゃんはどちらかというと控えめな性格で、みんなの前で歌を歌ったりするときにはすぐ頬が赤くなる。乳白色のオパールというか、お土産のウサギ饅頭みたいな可愛らしさがあって、休み時間も教室で絵を描いたり、ピアニカを吹いている子だ。(何年ぶりにピアニカって単語使っただろう)
僕は先生に「太陽の匂いがするね」と言われるくらいエネルギッシュ、スパ美ちゃんとは休み時間を一緒に過ごすことなんてなかった、はじめての遠足に行くまでは。


おやつ代は200円、それでも買ってきたおやつの量はまるで冒険家にでもなったかのようにリュックいっぱいだ。名前の順で男の子と女の子がお手手をつないで出発。(お手手って書いちゃったよ、そのままにしとこう)
僕と手をつないだのはスパ美ちゃんではなく、違う女の子だった。クラスの中で1番小柄でヒョロッとしていて、病弱な体質らしく、いつも先生が傍についていた。僕の家で飼っていたチワワみたいにクリクリした大きな瞳で、少女マンガに出てくるようなウルウルアイの持ち主。また母に倣って愛犬ミニとミックスしてミクちゃんと呼ぼう。
「ナイトがいるから安心ね」先生がそう言うとミクちゃんはコクリと頷いた。「お願いね」僕の先生への返事は「アイアイおさるナイトぉおお」
僕は歩くとき、手足を限界までブンブン振り回しながら歩く癖があった。すると歩き始めてすぐに、つないでいたミクちゃんの手が「ギュッ」と握り締めてきた。
僕は「ハッ」とした。ミクちゃんがフラフラしてる、僕がこんなに手を振って歩いてたらミクちゃんヘロヘロなって壊れてまう。
「びびった?ミクちゃんごめんな」それからはつないだ手は真っ直ぐ下ろしたまま歩いた。(加減がわからなかったのだ)


冒険家の冒険はなかった、ナイトのエスコートになった。
遠足は近所の農家の畑での芋掘り体験。「行ってきていいよ」先生にミクちゃんを任せて男の子たちとスコップドリル隊を創設。途中芋どころか井戸でも掘るように深く掘って起こられたりもした。みんなもチームを作って一緒に掘ったり花を摘んでる女の子もいたが、僕はミクちゃんが気になっていた。
先生と2人日傘の下で芋掘りをしてる。見てみると先生は手伝っているようで土をイジイジしてるだけだし、ミクちゃんの掘り方じゃみんなと勝負にもなりゃしない。(量とか大きさとか勝負にこだわるのは男の宿命なのかもしれない)
「先生僕二刀流やねん」そう言って先生とミクちゃんのところへ行ってスコップ自慢。「そっちのおっきいのは誰の?幼稚園のじゃないでしょ?」「先生これおじいちゃんの畑のやつ、めっちゃ掘れんねん、もうこんなけ取ってん」勝手に持ってきたのである、誰にも負けたくなかったのだ。
先生に自慢したかったし、ミクちゃんのカレーにジャガイモが入ってなかったら可哀想だと思っていた。それからは我がスコップドリル隊の協力もあり、作業は順調に進んだ。ミクちゃんは掘った芋の土落とし隊員である。大きいのを渡すとミクちゃんのウルウルアイの本領発揮だ。
そして芋掘りレース(勝手に)の結果は先生の「みんなで一緒にがんばったから」という鶴の一声で芋は均等に分配された。このとき僕はプラトンやマルクスの唱えた共産主義という言葉を知ったのである。(僕が掘り当てた特大の芋はタケル君に渡った、今でもちょっち悔しい)


帰り道ははしゃぎすぎたせいか頭がボーっとしていた。おやつも食べてないからリュックは重いしスコップはデカイし。
すると「ミクちゃんをよろしくね」と言って先生がミクちゃんと僕の芋袋を奪って手をつながせた。
そのとき、つないだ手はミクちゃんが振っていた。
同じ年の子と手をつないだのはミクちゃんが初めてで、今まではどれだけ手をブンブン振っても大丈夫だったのに、ミクちゃんはヘロヘロになっちゃいそうで、ミクちゃんの振り方はフワフワしてて、でも、ちゃんと手をつないで歩くのって、こういうことなのかなって思った。
「ミクちゃんとこも今日カレー?」
「うん、ジャガイモカレー」




プロフィール3へ続く







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Last updated  2008年09月16日 08時57分36秒



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