カテゴリ:オークション
なんといってもあの「大島」だし、この位の値段で買えたらきっとお得だけど、買えるわけないよね、と思ってなんとなく入札していた一枚。 なんと落札できてしまっておりました。 柄はちょっと好みかなあと思っていたものの、色合いがあんまり好きじゃないかも……と半可な気持ちで入札していたのを後悔。 その直後に出た色合いも柄もド真ん中ストライクの紬に支払いを考えたら入札できず、しょぼしょぼしていた所でした。 それは、大島にしては安すぎる値段で落札しましたし、大島のイメージとして持っていた柄でもありませんでした。 真贋の見きわめはできませんから本物である事は始めから期待していないけれど、せめてもう少し、もうちょっとだけ写真よりも私好みだったら……と思いつつも少し憂鬱に包みを開けたのです。 着物が入った封筒のガムテープをぴりぴり剥がし、中に入っていたビニールをはずして、ていねいに包んでいた薄い紙を剥がして……。 正直、息を呑みました。 こんなにしなやかで軽くて美しい布があるものかと。 光の当っている所は淡くくすんで見える癖に、蔭はくっきりと黒く染まり。 身に纏わずとも、あえかな陰影を美しく密やかに見せるだろうということが想像できました。 色糸の一本一本はくっきりとした色が見えるのですが、大島の特性なのかどうか、光の下では淡くくすませ、蔭ではその色を多い隠すその陰影の妙やかさに私はすっかりやられてしまったのです。 正直「大島がなんだ」という気持ちがあったのですが、もう、完敗です。 白旗を振るしかありません。 大島に馬鹿みたいな高額の値段がつく理由がよく分りました。 手間よりもなによりもなんと艶かしい布なのでしょうか。 まるで光の加減で色を変える宝石のようです。 今までは綺羅と見えていた繻子や綸子の光沢が褪せて見えるようでした。 胴裏は茶しみも出て、随分と痛んでいるようでしたが、表生地はきちんと手入れされていたのか、襟のくすみもありません。 惚れ惚れと眺めては裏返し、何度も手の甲で(掌でやると洗ってもなんだか皮脂がつきそうで…(笑)撫でました。 こんなに胴裏にしみが出るほどの長い時間、大事に大事にされていたことを思えば、涙すら出そうになって、改めて、着物が好きで良かったと感じました。 こんなに良い着物なのに、写真では伝わらないんだなあ、と思いつつ、そのお陰でとても安くこんなに美しい着物を手に入れられたことを感謝して。 しかしどうしましょう。ファースト大島がこんなに美しくては、大島マニアになってしまいそうでもあります。 ついついチェックリストに入れてしまった着物もありますし……。 いや、それ以前に、こんな凄い着物に合う帯なんかうちにあるだろうか……??? 早くこれを着て外を歩きたい。 しかしこれは袷なので、やはり10月まで待ちたいところ。 それまでに一体自分は何枚帯を買うんだろうか……ガクガクブルブル。 ……さて、どうしたら良いものでしょう(笑 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.07.11 23:16:22
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