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カテゴリ:徒然なる侭に
「フレンチクルーラーと、ホットミルク3杯。」
そんな注文をしてたのは、 9年前の丁度今頃。 漸く過ごしなれてきた街が、 新しい色に覆われ始めた頃。 当時の夜というものは、 眠るためのものではなく、 何かに没頭するためのものであり、 何かについて深く考えるためのものだった。 9年前の丁度今頃、 僕は宮本輝の「青が散る」か、「春の夢」か、 たしかどちらかを先に読み、 どちらかを後に読んだ。 家賃の安さだけで選んだようなアパートの扉を、 毎晩のように23時に閉ざし、 国道沿いの、歩いて5分のミスドの灯りに覆われた。 そして0時55分になると、 本を閉ざし、残っている3杯目の冷めたミルクを一気に流し込んだ。 「ありがとうございました。」 「こちらこそ。」 小声で呟く日もあった。 なんだか唐突に、ホットミルクが飲みたくなった。 ホットミルクは とても優しい。 ←励みになります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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