バルセロナ展
都市名を冠した展覧会。バルセロナのPR的な要素が多いです。バルセロナと言えば、ガウディのサグラダファミリア。今も建造中の教会です。でも、それ以外に芸術都市としての側面を色濃く持っている。ピカソ、ミロ、ダリが芸術活動を始めた地、バルセロナ。深い歴史と政治的な背景の中で、盛衰を繰り返してきた都市。展示品は19世紀後半から20世紀前半。印象派からアールヌーボー、アールデコ、キュビズム。そこが突出していました。バルセロナの旧市街は丘の上。地中海に面した港を持った都市。「丘の上」と聞いてピンと来る人がいたら、相当西洋史には造詣が深い。バルセロナの原型はローマ時代に築かれています。その後イスラムにも占領され、モスクやイスラム文化も残っています。今でこそスペインの第2の都市。でも、スペインは、カステラ(カスティーア)とアラゴンに分かれており、アラゴンの首都がバルセロナでした。その後、スペイン継承戦争で3度の包囲攻撃をされ、一気に衰退・・・カタルーニャ語を話す民の首都バルセロナ。スペインにあってスペイン語以外の言葉が通じる街。実は、スペインにおけるバルセロナは先進的です。スペイン最初の蒸気による紡績工場を導入。スペインで最初の万博開催。工業や経済でも首都マドリードに負けない都市。でも、第1次大戦後のスペイン内戦で、またもこの街は荒廃してしまいます。ピカソが注目を浴びるのはこの頃です。ヨーロッパの芸術の都、パリにスペイン国内では近いこと。首都マドリードの連中に占領されたことなどから、視線はパリを向いています。戦後もスペインでは、ただ一度バルセロナでオリンピック。ヨーロッパは、やはり歴史が長く、民族の入れ替わりや支配権の移譲が激しい。そこに芸術が関わってしまう。そんな事を感じた展覧会でした。