血の飽和
競馬は血統のスポーツです。弱肉強食、強い馬の血が残ります。実際には種牡馬や繁殖牝馬の能力の個々の能力とは違った要因が発生します。サンデーサイレンスを例にしましょう。アメリカでG1レースを勝ったサンデーサイレンス。種牡馬として日本に輸入され1年目の種付け馬、つまり生産馬が活躍します。最初の種付けで生まれた競走馬から5頭のG1馬が生れます。その後毎年、3,2,1,3,3,4,3,6……ずっとG1馬が生れます。サンデーサイレンスの子供であれば、強い馬が生れる。競走馬はサンデーサイレンスの子供ばかりになります。そうなると、サンデーサイレンスの子供たちの繁殖は困るのです。異母兄弟での交配は、危険ですから避けられます。つまり、サンデーサイレンスの子供以外の馬を探すことになります。毎年50頭以上の種付けを行い、半数が牝馬だったとして・・・・4年で100頭、10年で250頭・・・・実際にはもっと多いんですが・・・・・活躍したサイレンスの子供が種付けをする・・・・・10頭の種牡馬が居れば、4年で1000頭、10年で2万5千頭・・・・・国内の繁殖牝馬は5000頭前後です。実際にはサンデーサイレンスの孫はどのくらいなんでしょう?サンデーサイレンスの孫同士の交配は、かなり危険です。100回交配して、1頭だけ強い馬が生れるかどうか?ほとんどが奇形や極端な性格の競走馬にはなれない馬ばかりになるでしょう。競馬界で許容される近親交配は、サンデーサイレンスから見て孫とひ孫の交配。サンデーサイレンスの子から見て、自分の子供と異母兄弟の孫でなければならないのです。競馬は商業動物です。競走馬として強く無ければ種牡馬になれません。でも、そういった競争は1頭の優秀な種牡馬によって独占されやすいのです。サンデーサイレンスとその子供、孫が種牡馬として繁栄すると・・・・・主要な繁殖馬はサンデーサイレンスの子供、孫、ひ孫・・・・・危険度が高くて繁殖できない組み合わせが増える。日本の競馬って他国から種牡馬を連れてきて、強い馬を作るの繰り返しなんです。シンザンも父はヒンドスタン、イギリス馬。ハイセイコーも父はチャイナロック、イギリス馬。皇帝シンボリルドルフも父はアイルランド産のパーソロン。ミスターシービーは、父こそ国内馬のトウショウボーイですが、祖父はイギリス馬のテスコボーイ。レベルの低い国内馬に、海外の種牡馬を交配してレベルを上げてきたのが日本競馬の歴史。だから、3冠馬のシンザンもシービーもルドルフも血が残らなかった。競馬ブームを呼んだ人気馬のハイセイコーもオグリキャップも血が途絶えた・・・・メジロ牧場が、パーソロンの仔、メジロアサマからメジロティターン、メジロマックィーンと3代天皇賞馬を出したがこの血も埋もれて、メジロ牧場も消滅した・・・・ゲームメーカーの光栄もその辺を意識してるのだろう。最初に貰える種牡馬にメジロアサマが居る。「あなたの箱庭で、メジロ牧場を再興して見ませんか?」と誘惑されてる感じ。