あのアル・ライズに会う
アル・ライズ(AL Ries)と聞いて、ピンと来た方はマーケティングに何かしら関わった事がある人だと思う。アル・ライズ(英語ではアル・リーズと呼んでた)は、数々のマーケティングの本を出版しており、日本でも東急エージェンシー出版から翻訳された本が本屋にたくさん並んでいる。売れるもマーケ当たるもマーケ(The 22 Immutable Laws of Marketing)ブランディング22の法則(The 22 Immutable Laws of Branding)この本を初めて目にしたのは遠い昔・・・電車の中刷りで、あ、面白そうっと思ってすぐ本屋で購入した記憶がある。まだ、マーケティングもMBAも全く縁が無かった頃だ。マーケティング入門にはとてもわかりやすい本であったし、一般の人が呼んでもとても面白い本であった。『水道の水をエビアンに変える』とか。彼の名前はなぜかずっと記憶に残っていた。今回、AMA(American Marketing Association)のカンファレンスで彼が講演に来ると耳にした時、すぐピンときた。彼以外にも、最新のマーケティング事情(Blog, E-marketing, Search Engine Marketing)、Nikeのグローバルマーケティングなど、盛りだくさんのカンファレンスで$100であったが即申し込んだ。ポートランドに来て、沢山のこういったビジネスイベントに参加してきたが、今日はその最後にふさわしい素晴らしいイベントだった。朝の8時から17時までびっちり講演会。まずは、注目のアル・ライズ様々なブランドの事例を説明していく。例えばFirst Mover、Leadeshipの成功事例Red Bull(エナジードリンク)が成功した後、Coca-ColaがKHXという類似品を販売して失敗。ペプシがコーラに勝てない事例マックが未だリーデングカンパニーである事例一方で、最初に参入しても失敗する例もある。世界で始めて販売したMP3プレイヤーは Nomed Jukeboxというどこかの国のわけわからんブランド名結局、iPodに市場を奪われた。IBMワールドワイドのメインフレームカンパニーが個人PC市場ではDellに負けた。World Wide ServiceのIBMが、テキサス大学2年生のマイケルデルに負けた。そして先日、個人PC部門が中国の会社に買収された事は記憶に新しいですね。ブランドの大量生産はそれぞれぼブランド価値を現象させる例。メルセデスは高級車のイメージを築き上げてきた。ところが、売り上げが行き詰った結果、小型車市場に参入。結局、今まで築き上げたブランド価値を曖昧にし、利益も赤字転落。昔読んだ本とほぼ同じ内容であった。彼は常にこういった我々が日常目にする例を取り上げるし、話もうまい。さすが、こういう人が支持を集め、成功するんだなって思いました。サイン会もあったので、本を購入しサインをお願いする。(ミーハー)で、日本で初めて彼の本を読んでマーケティングに興味を持った話などを彼にした。が、しかしだ!!!!!今日感じたのは、彼は評論家で具体的な内容には信憑性に欠けると感じた。外側からの結果論ばかり並べている。具体的にどうマーケティング戦略を行えばいいのかっという点は、非常に曖昧である。矛盾を感じる事もたくさんあった。数々の事象を並べてルール化しているが、ルール1とルール2が矛盾している事が多々あり、それの細かい違いについては述べない。途中、手を挙げて異論を唱えたいと思った事も何度かありました。彼が観衆を惹きつける大きな要因として、身近にあるブランド名、ロゴをたくさん並べて比較するからだと思う。過去の事象を検証する観点は非常に面白いが、もっとツコッんだ戦略が見えなかった。自分が正しいとかは分かりませんが、そういう異論を思いつけるようになった自分が素直に成長したなとも思った。(昔は全て鵜呑みに感動していたのに)彼の意見は参考程度、信者にはならないぞって今日思いました(笑)一方で、別のセッションは納得の嵐。blog, Search Engineの話は自分が感じてきた事をまさに同じだった。今プロジェクトで、サーチエンジンに関わっているので、講演後スピーカーの方に色々質問も個人的にできた。ナイキの話ここオレゴンに来て、何回ナイキのプレゼンテーションを聞いた事だろうか。どれもが毎回、素晴らしい内容だ。ナイキはブランドを作る会社で有名と昔に日記にも書きました。が、今日改めてかれらは本物を目指している事に気がついた。ナイキはオレゴン大学の陸上競技のコーチが創設者です。彼の思いは今も息づいている。前回のオリンピックの陸上競技、1位、2位、3位の差はそれぞれ0.01の差なのだ。その差はフットウェアによるものが非常に大きい。彼らはブランド作りの為にただクリエイティブなCMを流すだけでなく、常に本物の製品を競技者と一緒に作り続けているのだ。その他、今後のグローバルマーケティングの話など、約2時間のプレゼンだった。こういう会に参加する為にポートランドに引越ししたのはいい決断だった。今日が最後の参加で、感無量といくか(単純)本当に充実した気持ちになれた。最後に・・昔、電車の中吊りであの本を見つけた時、こうしてアメリカで彼と英語で話す日が来るとは誰が想像できただろうか?マイケルムーアに会った時も同じ事を感じた。人生先はほんとわかりません。