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おじいさんがいつものように新聞を読んでいると、
養子の里親募集広告が載っているのに気がつきました。
残念ながらこの老夫婦には子供がなく、
今までずっと二人でひっそりと暮らしていたのですが、
この広告を見ると二人は20分ほど相談し、
養子に男の子を引き取ることにしました。

男の子には新しく桃ノ心という名前を付けましたが、
桃ノ心本人はそんな名前じゃ学校へ行っていじめられる、と嫌がったので、
結局　桃太郎という名前で決まりました。

桃太郎は相当なわんぱく小僧で、
よく近所の田中さんの息子や、町で有名な番長の弟とかと喧嘩などしました。
桃太郎は喧嘩こそ強くはなかったのですが、
持ち前の馴れ馴れしさ（良く言えば社交力）で、どんどんと仲間を増やしていきました。
ついには暴走族を結成し、その総長となり得たのです。

この時、桃太郎は17歳。
おじいさんは昔、町の副番などをしていたので、
「若さは強さ」をモットーに桃太郎を支持しましたが、
さすがにおばあさんはこれには大変心配しました。
結局、桃太郎はその手に負えないわんぱくさゆえに、
極東参湾国にある小さな寺に預けられる事になりました。
これに伴い、暴走族『種馬』の総長は臨時投票により田中に任命されました。
ちなみに副総長はマーくん　こと、真島に。これは田中の推薦によるものでした。
この真島の姉というのがかなりのべっぴんさんで、
その芸術的な容姿は隣町の遥川町まで知れていました。
べっぴんさん米子は様々な男と交際したのですが、
最終的には遥川町の有力者である淀村家に嫁ぐ事になりました。
しかし何年か経つと度重なる不祥事、また世界恐慌の影響により、
この淀村家はもともとなかった町の住人の信用をさらになくしてしまう事になり、
米子の夫である正久暮霊斗（まさひさくれと）は町から永久追放されてしまいました。

この時はまだ男尊女卑の雰囲気が漂う時代でしたが、
妻米子は強い女でした。
「あなたにはもうついて行けません。ここにサインして下さいまし。」
と、離婚届を差し出しました。
彼女の眼は、その美しさにも劣らぬ真剣さをかもしだしていました。
町に捨てられたあげく、
せっかく掴み取った遥川町真谷町一のマドンナ的存在だった愛する妻にも捨てられ、
彼は深い悲しみの中、判子を押しました。
離婚届は結局、彼の涙でふやけてしまい、提出できるようなものではなかったといいます。
こうしてかつては遥川町皇と呼ばれ繁栄した淀村家は、
この可哀想な正久暮霊斗で期断となってしまったのです。
そうして正久も、流刑により、極東参湾国北東部の小さな村、安衰村へと送られました。


しかし彼の不幸はこれで終わりではなかったのです・・・。


＠桃太郎戦士第二話　終了＠
※この話の物語に登場する人物、団体、設定はすべて架空であり、フィクションです。