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カテゴリ:ツマラン
ドゥン、ドゥンドスン。
こんな時期に花火でもやっているのかな。 しかし花火にしては音の響きがなにか妙だ。 桃ノ心、否、桃太郎は厠を出ると入り組んだ廊下を越して、 少し縁へ出て外の空を眺めてみる気でしたが、そこへツルが来て制しました。 「顔を出してはなりません」 ツルとは、桃太郎がここへ着いてすぐ、このお世話係を任せられた坊主でした。 歳は桃よりも5,6つくらい離れた感じでしたが、まだ詳細は不明でした。 桃太郎は寺に馴染みがないせいで、 到着直後は彼やその周辺の頭の毛がないのには笑いを隠す事ができませんでした。 桃太郎はすぐに心の中でコイツのあだ名はツルだ。 としたのですが、桃太郎もすぐにツルにされてしまったのでした。 ツルは大変生真面目な男で、inflexibleという言葉がお似合な人間でした。 戻り、桃太郎は不思議な顔をして 「何故です」 と、深刻な顔をしたツルに聞きました。 「まだ説明していませんでしたが、この寺には夜、しばしば鬼が現れるのです」 こんな馬鹿げた事を言うツルは初めてみた・・。 寺に到着して6時間後の桃太郎は思いました。 「早く房に戻って寝なさい。明日も早いです」 「わかりました」 わかっていなかったがしかし、そう答えるより他になかったのでした。 わけのわからん事に気を使う前に、まずここの生活に慣れなければいけない、 そうして自分を説得して房へ向かうのでした。 気がつくと花火の音は止んでいました。 宿坊には、桃太郎と同じような、 非行により手に終えないために修行に出させられた者が大半で、 極道面のものも3、4人ほどいました。 しかしヒソヒソ話などしているのは誰もいなく、皆すでに規則に従って布団に包まれていました。 気付くと桃太郎も今日来た知らぬ地で布団をかぶって夢を見ていたのでした。 「起床ーー!!」 周りは慣れたもので、見ているほうも気持ちいいくらいにスッと起きて、 布団をそそくさをたたんでいました。 たらんとした目であくびをしたり目を擦ったり鼻くそをほじりったりしていた桃太郎に、 近くで寝ていたツルが寄ってきてすぐ着替えてくれというからそうしました。 なんでも、これから早朝訓練が始まるらしかったのです。 何の訓練か聞こうとすると間を潰され、 「体力に自信はありますか?」 とツル。 「少しなら」 と桃。 @第3話目終了@ ※この物語に登場する人物、団体、設定はすべて架空であり、フィクションです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年10月31日 20時56分55秒
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