先ほどから狂おしいまでに香ばしい匂いを発している「塩つくね」、こってりとした外観は中世ヨーロッパの打撃武器に似ていなくもない、チヂミがいかに一級品であろうとも、それはされど「お通し」に過ぎず、これから始まる戦いは更に過激な物になるであろう事は容易に察しが付く、熱せられた鉄板の上ですり身が鮮やかに色づき始める頃、女将は再び我々の前にその姿を現した
「もうよろしいんじゃないでしょうかね~」ウィットに富んだ会話を混ぜつつ、女将はつくねの皿上に予め用意されていたシソの葉に素早く手を伸ばすと、鮮やかな手付きですり身に巻き付け、一瞬鉄板に押し付けた、刹那じゅわっ、と言う音と共に辺り一面にシソの香が充満する、そしてその香は先ほどから我々の鼻腔を刺激し続けた塩つくねの香と相まって絶妙なハーモニーを奏で出した、皆の視線が宙を彷徨い出す。もはやこの攻撃に耐え続ける事は限界に達しようとしている、一瞬の後女将が塩つくねを鉄板から引き離し掲げると、それは見事に一体化しており「シソ塩つくね」と化していた、遂に我々の眼前に凛の先鋒兵器、「塩つくね」の全貌が明らかとなった!
「これにすだちを絞ってかけて下さい、おいしいですわよ」言われなくとも眼前の兵器の破壊力は火を見るより明らかだ、このままでは危険だ、このような危険物は断固粉砕せねばならない、全員がこの兵器を早急に撃退すべく、一斉に串に手を伸ばし対象に攻撃を仕掛ける、次々に隊員達の口の中につくねが運ばれて行き...そして次の瞬間、全員の動きが静止した!(続く)
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