エイズセミナー報告
この間触れたように、先日、大使館でのエイズセミナーに参加しました。今まで「日本大使館」「日本人会」に係わるものは一切敬遠していたのですが(笑)、今回、だんなのプロジェクトの資料にもなるので、思い切って申し込んでみました♪以下、内容等です。(大使館発行のバングラモデルメルマガより引用させていただきました)=======【発表資料概要(パワーポイントから抜粋)】バングラデシュにおけるHIV&AIDSの現状と課題平野明子杉みちるUNICEF バングラデシュ事務所2005年10月27日(注:本発表はUNICEFの公式見解ではなく、発表者個人の意見です。)1.バングラデシュのHIV現状・HIV推定感染者数: -バ国政府公表 約7,500人(2004年)・HIV感染報告者数 -465人(2004年)・HIVサーベイランス (2003-04年) -(注射)薬物常用者(都市部):4% -セックスワーカー:1%以下2.本当に感染率は低いのか?データの限界・サーベイランスの限界-特定のグループのみを対象に調査・HIVテスト可能な施設及びテストを受ける(受けられる)人の限界We don’t know!3.バングラデシュの危険度は?脆弱性(Vulnerability)&リスク要因(Risk Factors)4.HIV感染経路・HIV感染者との性交渉・感染した血液及び血液由来の薬物・感染した母親から子供 (何の対策もしない場合の感染率:約20-40%) 5.脆弱性(Vulnerability)とリスク要因(Risk Factors)個人的要因-高い売春率-予防対策を実施しない性交渉(低コンドーム使用率)-注射使用の薬物使用者の増加及び高い確率での注射器共有社会的要因-HIVに対する偏見及び無知・存在否定-女性の地位の低さ-性(Sexuality)へのタブー視-医療施設・サービスの質・量的不足6.若者たちの知識レベル(10-19才)-2003年(1)HIV/AIDSを聞いたことがある-男性:60.4%、女性:57.1%(2)感染経路(男女とも“はい”と答えた割合)-HIV感染者との性交渉:53.9%-HIV感染者の母親から子供:9.6%-安全性未確認の輸血:31.1% 7.HIVのインパクト偏見 と 差別8.感染の可能性(図解・省略)9.包括的な取り組み予防―ケアの継続的関係(Prevention to Care Continuum)予防→感染有無の確認→ケア・サポート・治療→ダメージの削減(Harm Reduction)→予防(冒頭へ)10.政府のエイズ対策国家エイズ対策委員会National AIDS Committee |保健・家族福祉省Ministry of Health and Family Welfare |保健事業局Directorate General of Health Services |エイズ・性感染症事業部National AIDS/STD Programme11.政府戦略計画 5つの目標(1)優先グループへの支援(2)HIVに対する社会的脆弱性への対応(3)医療施設における感染予防:安全な医療行為の周知徹底(4)HIV感染者およびエイズ患者に対するケアとサポート(5)HIVとエイズの影響の最小限化12.政府の主なエイズ事業・青少年を対象とした予防運動 -世界エイズ・結核・マラリア基金 (2004-09 600万ドル) -おもな活動内容 ・青少年団体やクラブを通じての啓蒙 ・青少年のニーズを踏まえた医療サービスの推進 ・広告キャンペーン ・HIV&エイズ予防プロジェクト(HAPP) -世銀、英国開発局 (2000-05 5,000万ドル*) ・ハイリスク・グループ対象の予防運動 ・NGOによる予防活動の推進 ・政策提言・コミュニケーション計画策定 ・安全な血液の供給 ・エイズ事業部(NASP)の組織開発13.HAPP:ユニセフ(2003-06 1,150万ドル)・ハイリスク・グループ対象の予防 -啓蒙活動 -性感染症治療・HIV&エイズ対策基金(NGOへの小口助成金) -広範な対象枠:HIVとエイズに関する知識向上・政策提言とコミュニケーション戦略 -政府によるアドボカシー計画策定の支援 -NGOスタッフのコミュニケーション技能開発など14.ユニセフの活動・子どもを対象とした予防 -HIVとエイズに関する知識の向上 -生活技能(Life Skills) 教育・母子感染に係る予防と支援 -医療技術関係者のトレーニング -関連ガイドラインを作成又技術的支援 -パイロットプロジェクト実施計画 3都市の数箇所の病院において母子感染予防のサービス提供 ・妊婦に対する自発的カウンセリング&テストの普及 ・ARVの供給(乳児の感染リスクの削減) ・安全な出産の徹底・ 授乳法に関する教育・感染者自助グループの支援 -HIVやエイズと共に生きる人たちを支援 (生計技術や予防に関する情報提供・トレーニング、カウンセリング、啓蒙活動 等)15.課題・政府・サービス提供者の能力開発・予防対策の強化・HIV、エイズと共に生きる人々および影響を受けている人々に対する偏見の軽減とケアの保障・少数民族や難民に対する活動Thank you !===============1.冒頭、UNICEFバングラデシュ事務所の平野明子さんと杉みちるさんから、(1)バングラデシュのHIVの現状、(2)政府のエイズ対策(戦略計画、主なエイズ事業)、(3)ユニセフの活動についての説明の後、(4)今後の課題として、(イ)政府・サービス提供者の能力開発、(ロ)予防対策の強化、(ハ)HIV、エイズと共に生きる人々および影響を受けている人々に対する偏見の軽減とケアの保障、(ニ)少数民族や難民に対する活動の4点が提示されました。2.これを受けて、主に次のような質問や意見が出されました。(1)HIV感染報告者数が465名という前提では、政府は対策のための予算も人員もつけられないので、実態を明らかにする調査に取り組むのが喫緊の最優先課題ではないのか。(これに対して、調査対象者本人の同意がなければHIV検査ができないので、その前提となる予防・啓発活動に取り組む必要がある等応答。)(2)疾病の優先度をどう考えるかという視点は大事だが、HIV&AIDについては感染率が低くてもインドの隣国として今後激増する可能性があり、現段階で対応する必要がある。他方、政府・NGOの能力には限界があるところ、今後どのように強化すべきと考えるか。(これに対して、問題が生じている現場を見てニーズを把握し、それに対応した技術支援を行っていくことが重要と応答。)(3)どのように政府関係者を動かしていくかが鍵であり、そのためには他国の経験や成功例を説明することが有効と考えるが、どのような他国の事例があるのか。(これに対して、感染率が高くなった結果対応して成功した国の例はあるが、低いまま維持することに事例は成功例として分析されていない旨応答。)(4)宗教関係者を巻き込むことが効果的ではないか。(これに対して、宗教関係者はHIV&AIDSに否定的な認識を持ち、例えば「セックス・ワーカーや麻薬常習者など悪いことをしたからバチがあたった」といった形でとらえることも多い旨応答。)(5)血液や血液製剤のHIVをスクリーニングする法制度はあるのか。(これに対して、輸血の際にはスクリーニングを義務づける法律は通ったが、実際にそれが実施されているかは全く別問題である旨応答。)(6)現状調査が困難という障害がある中で、先進国も含めて、バングラデシュが参考にすべきようなHIV&AIDS対策の成功例はあるのか。(これに対して、タイやブラジルなどが成功例として挙げられ、この鍵は国のトップのリーダーシップとコミットメントである旨応答。)(7)HIV&AIDS対策に関するグローバルな知識と、バングラデシュ国内の政治状況・雰囲気の双方を十分に理解している人が「戦略家」となり、他国の事例や情報を適切に加工してバングラデシュの政策決定者等にいかにアピールするかという段取りを考えて実行していくことが効果的ではないか。そのような「戦略家」として誰が適任と考えるか。(これに対して、UNAIDSがそのような役割を果たすべく、政府のHIV&AIDS政策に関わっていると応答。)(8)メディアの活用による啓発が効果的ではないか。(これに対して、メディアは当国で極めて重要な役割を果たしており、協力をはじめているが今後強化していきたいと応答。)================本当はだんなも一緒に出席したかったのですが、乳児はだめ!ということで、だんなと子供は外でお留守番、そのあとの懇親会は3人で出席しました。おととい、だんなにこのセミナーの報告をしたのですが、そのとき彼の口から出てきたバングラデシュでのエイズ感染者予備軍の現状をメルマガでお知らせしようと思います。http://www.mag2.com/m/0000124448.htm日本時間で日付けが変るまでには発行予定・・・