BAR　OBJ

電話だ。

それは大学時代からの仲間Kからの電話だった。
奴はいつもそうだ。
常に唐突。変人扱いの俺ですら奴になんてかないはしない。
変な奴だよ。そろそろ遊び飽きたらしい。
（断っておくけど「変」て言うのは悪い意味じゃない。）
「働きたいんだ。しかも思い切り。」
何やら切羽詰っている。断っておくが奴は無職ではない。
立派な公認会計士補であり、定収も得ている。

しかし、渇いているようだ。

もしかしたら酒を飲んでいたかもしれない。
いつも奴は厳かな聖職者のような喋り方をする。
あるいはサディストか。アウトサイダーか。
何か神の啓示でも受けたのか。
ビジネスがしたい。しかも俺と。
今すぐしたい。明日からでも良い。
今がチャンスだ。そう奴は言う。
では「何」がやりたいんだ？
儲かる方法なんていくらでもあるよね。
確かに。
じゃあ、ビジネスで何がしたい？
どう世の中を変えたい？


奴の話は明日池袋で聞くさ。
俺も遊びすぎたと思っているんだ。
勉強がしたくてたまらないんだよ。