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カテゴリ:Episode.
夜になって。
激しい頭痛に襲われた。 鼓動にあわせてずきずきと。 いっそ心臓が止まってしまえと思わんばかりの痛さ。 よろよろと薬のある戸棚をあけると。 なんだ。からっぽじゃん。 ・・・そうか。 どうせ自分は使わないから、といって親に全部持たせたのだ。 寝ることも起きていることもおっくうで。 ただ窓の外を見つめながら時間が過ぎるのをぼーっと待つ。 普段と違う状況で。 急に寂しさを覚える。 気がつけば夜の12時。 連絡を取る相手もなく。 ふと。 数ヶ月前に来た昔の彼女のメールを思い出した。 何の前触れもなく転職をしたという内容のメール。 入社を一緒に祝い。一緒に人生を話した子。 好きだったのかと聞かれれば。わからないと答える。 それは多分悪い癖。 だから長くは続かないことは初めからわかっていた。 一週間ぐらいメールが続いて。 一日メールが来なくて。 メールのアドレスを変えた。 電話番号は同じだから。 その気になれば連絡を取ることは出来る。 でも自分はわかっている。 いくら待っても電話が鳴ることはないって。 そして今日も待つ。 なることのないあの人の電話を。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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