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先日11月というのに若干気の早い忘年会がありました。県内の産婦人科の医師が集まるのですが、酒の席でぐらい仕事の話はやめておけばいいのに、お酒がまわりだすと私も含めて皆話題が仕事のことになってしまいます。
で、どんなことが話題になるかというと、すんでのところで一命を取り留めたというような究極の症例の話なんかが出てきます。特に今年は福島県立大野病院事件の判決が出ましたからよけいです。 ある程度の数の分娩を扱っていると、どうしても突発的に危険な状態になるお産と遭遇することは避けられない。私自身も今年1年間で一度二度ならずそのような経験をしましたが、他の病院の医師も同じ。皆何例かはこわいお産にあたっています。そんな中で今年は県内で一例の母体死亡も無かったのは本当に幸いでした。 「よかった」と思うと同時に、「本当にみんなギリギリのところで頑張ってよく助けているなー」と感心します。しかし考えようによってはこのような努力の結果母体死亡が非常に稀なものとなったために、「お産は自然現象であり、安全なものだ」という安全神話ができてしまい、福島県の事件のように治療にあたった医師を逮捕するなどというとんでもないことが起きるわけです。なんか頑張れば頑張るほど自分たちの首を絞めているんじゃないかという気もします。 そして気がつくと、産科医療を第一線でやっている若い医師が本当に少なくなっている。当県でも勤務医で30代の医師は少ない上に2/3が女性です。女性が悪いわけではないが、そのうち何人かはすでに妊娠しており、しばらくというか当分現役から遠ざかることになります。 1次会終了後、開業されている年配のK先生を交えて久しぶりにカラオケに行きました。72才で今も現役でお産をとっておられる。こういった先生が正常出産を取り上げてくださるおかげで我々病院勤務の医師がいくらかでも楽になっているのは間違いない。 しかし今まで厚労省やマスコミは産科開業医をつぶすことしかして来なかった。日本全国でお産をやめる開業医が増えているのは当然の成り行きです。 K先生、お産で呼ばれるかもしれないのに元気に石原裕次郎を歌っておられました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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