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今年も早ボーナスシーズン。医師とて我々勤務医は所詮サラリーマン。ボーナスの多寡は大いに気になるところですが、今年は厳しそうです。
まあ、次々と病院がつぶれていく時代に職場があるのはありがたいことですが、これほど忙しくてもなかなか病院としては黒字を出すのはむずかしいようです。正直一体どんな病院が黒字経営やねん?と思ってしまう。 もちろん病院というところは利潤を追求することが目的ではありませんから大儲けする必要は無いと思いますが、赤字はやっぱり困るんですね。新しい医療機器の購入や専門職の人間を増やすことはどうしても必要になってくるのですが、赤字だとそれがむずかしくなってくる。「今日よりも明日はもっといい医療を提供しよう」という余裕がなくなったら医療機関はおしまいです。 もともと医療機関は利益率という点でみるとこれほど効率の悪い分野はないだろうと思います。黒字だ赤字だといっても、総売上の数%程度の数字のことなのです。 「金儲け目的でやるとしたら、医療ほどアホらしいものは無い」と言う人もいます。 保険診療に関していえば、診療行為に対する対価は国が一律に決めてしまい、それも猫の目のように値段が変わります。「利益を多く出している医療行為については値段を下げる」というのが国の原則です。病院は生かさず殺さずというところでしょうか。 努力していいサービスを提供しても値段の自己決定権が無いというのはかなり理不尽な話です。要するに数で稼ぐしか無いのです。 今年になってようやく産科の保険点数が見直されてきましたが、これは産科医療危機という声に押されてのことでしょう。しかし今までこちらから訴えてきた時には何ら要求が通らなかったのに、今更の感がぬぐえません。 国民皆保険は日本が世界に誇れる制度ですが、自己負担が3割となると「保険」と呼べるかどうかも怪しくなってきます。患者さんの負担は大きく、いきおい治療費未払いの患者が出てきます。 最近は未払いでも「職員の態度が悪い」などと平気でねじ込んでくる人がめずらしくありません。うーん、「文句言うならお金払ってから言って下さい」なんて言ったら問題になるんかな? 異常のない出産は保険診療ではなく自費診療です。これは個々の病院に価格決定権があります。私の住んでいる市内の施設では分娩費用は平均40万円前後が相場のようです。患者さんは自分が加入している健康保険組合から35万円の出産一時金がもらえますから、差し引き5万円程度の自己負担ですね。 医療提供側から見ると今のように産科の訴訟での賠償請求額が2億円などという時代では、分娩費用が40万円というのはバランスに欠けていると思います。個人的には分娩費用は100万円ぐらいでもいいんじゃないかなと思っています。まあ、そんなに値上げしたらますます少子化ということになるのでしょうが・・・ (実際来年から産科医療補償制度の開始に伴い全国的に分娩費用が若干値上がりします。) こんなことばっかり言っていると「医は算術」と揶揄されそうですが、経済的な基盤が無いと医療の提供はできません。 無料でいい医療を受けられれば一番いいのかもしれませんが現実には不可能なことです。マスコミのように文句だけ言っていても良くはなりません。権利と義務は表裏一体であり、医療の受け手も相応の負担が必要だという気持ちは持っていてほしいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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