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カテゴリ:産婦人科医療
奈良県で、当直医師に時間外労働としての割増賃金を支払えという判決が出たようです。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090422-OYT1T00722.htm 実はこんな裁判があることすら知らなかったのですが、前々回の日記で書いた 「労基署の勧告について誤解があるのではないか。当直中の睡眠時間などは時間外勤務に入れる必要はないはず。勧告の解釈を再検討すれば産科当直2人は可能」 という東京都の主張がおかしいことがこれでさらにはっきりしたわけですね。 というかごく当たり前のことが今まで一度も司法で議論されて来なかったことが意外です。「医師は時間外にも働くのは当たり前」と医師が自己犠牲を払い、病院側もそれに乗っかってきたことが慣習となっていたため訴訟という考えが無かったのだと思います。 しかしこれは大変なことになるかもしれない。 ついにパンドラの箱が開いたといえば大げさだろうか。 医師の当直が時間外勤務と司法の場で認められた以上、 =宿日直勤務中に救急患者の対応等が頻繁に行われ、夜間に充分な睡眠時間が確保できないなど常態として昼間と同様の勤務に従事することとなる場合には、宿日直勤務で対応することはできません。したがって、現在、宿日直勤務の許可を受けている場合には、その許可が取り消されることになりますので、交代制を導入するなど業務執行体制を見直す必要があります。= という厚労省の通達に従えば、当直明けの通常勤務は違法ということになります。 当直明けで外来や手術などの通常勤務を続行して行うことは御法度になるということです。 要するに医師も看護師達と同じように交代制勤務にする必要があるということです。必然的に医師の数を増やさないと勤務が回らなくなります。 当直料を増やさないといけないし、医師数を増やさないといけないし・・・・まず大幅な人件費の増大が必要になりますが、赤字病院が多い今おそらくどこもやっていけなくなるでしょう。しかしそれ以前に医師数に関しては医師が足りない現状ではいくらお金があったとしても実現不可能です。 医師の当直は睡眠が充分取れる宿直業務などではなく、実質労働を伴う時間外勤務である。・・・・この当たり前のことを認めたことが連鎖的に医師の勤務の矛盾を明らかにしていくことになります。 以前、「飛行機のパイロットは厳密に勤務条件を管理されており、徹夜明けのフライトなどは絶対にあり得ない。医師も同じ事で、夜中に働いてそのまま外来や手術を行うことは危険に決まっている。」と書いたことがありますが、正にこの問題が浮上してくるわけです。 さあ、どないなるんやろ・・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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