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2009.04.28
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カテゴリ:産婦人科医療
大阪の産科救急病院で医師が飲酒後に分娩を取り扱ったとして問題になっています。
http://www.asahi.com/national/update/0420/OSK200904200065.html

飲酒して診療行為を行うのは当然いけないこと。当然外来診療中や当直中に酒は飲みません。

しかし、当直でない日に家もしくは外で酒を飲んでいて、緊急手術が必要で当直医師だけでは対応できないようなことがあれば呼び出しに応じるでしょう。2~3ヶ月に一度ぐらいそんなことがあります。

もちろんいつそうなるかわからないので、もし「緊急呼び出し時においても飲酒していれば診療行為は御法度」ということになれば、「医師は引退するまで一切酒を飲むな」あるいは「飲酒時には仕事を拒否しろ」ということになります。

もし「いや、もう酒を飲みましたから病院に行きません。患者は他の病院に転送して下さい。」などという医者がいたら、私なら「ふざけんな、ボケ!」と怒鳴るでしょうね。

極端なことを言えば、酒飲んで歩いていたら道ばたで倒れている人を見つけて蘇生処置を施した場合、飲酒の上での医療行為として咎められるでしょうか?


ただこの記事を読む限り、上のような一般論からはずれたところに問題があるように思われます。あくまで想像ですが。

記事によると
朝日新聞が入手した資料によると、副院長は06年1月~07年5月に計214回、勤務表に「臨時当直」と記入し、署名していたが、病院関係の宴会に出た後、臨時当直をしたケースが十数回あった。このうち、少なくとも3回は正常分娩(ぶんべん)を取り扱った記録が残っている。宴会後に病院に戻ったものの、分娩記録のない臨時当直も10回近くあった。

さらに
常勤の産婦人科医は8人。毎日1人が病院で当直し、緊急時に備えた自宅待機の「宅直」も1人いる。
とあります。

8人の常勤医がいて、60歳代の医師が「06年1月~07年5月に計214回」当直するのはおかしい。記事を読むと、当直医がいるにもかかわらず自分で勝手に臨時当直として病院に泊まっていたようですね。もちろん必要があって病院内で待機したこともあったのでしょうが。しかし臨時の呼び出しではなく、当直料を得て病院で待機していたのであれば飲酒は許容されないと思います。


「飲んだ時こそ病院に泊まらざるを得なかった」という本人の言い分もちょっと理解しにくい。
呼び出される可能性が高いのであれば飲酒せずにいるべきだし、呼び出される可能性が非常に低いときに飲んだというのであれば、万一のときに飲酒運転とならないよう自分の勝手で病院に泊まったからとて当直料を請求すべきではないと思います。

当直医と宅直医がすでにいるのであれば、わざわざ飲酒した年配医師が病院に泊まらずとも大抵のことはまかせておけばよかったのに。病院側としても不必要に泊まって当直料を請求された上「酒臭い」などと患者側からクレームがきたんではかなわない・・・

どうもこのへんの確執があって、病院側としてはこの医師の問題を表沙汰にせざるを得なかったのではないかと思うのですが、これは邪推というものでしょうか?私の間違った推測であればお許し願いたいです。


この事例をもとにして、「いかなる場合も飲酒の上での診療行為は一切禁止」などという世論が形成されてしまうのはまずい。緊急事態においては(たとえば産後の大出血で母体が危険な場合など)は何よりもマンパワーがものをいいます。(多少酒飲んでいようがなんだろうが)「とにかく集められるだけ医者を集めろ!」ということが年に何回かあるのが出産の現場です。





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Last updated  2016.10.06 09:40:27
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