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C君との面会がやっとかなった。奥さんと時間を打ち合わせて、いっしょにICUに入らせてもらった。
残念ながら意識は戻らないままであるが・・・ 彼とはこの年になっても中学生の時以来のあだ名で呼び合っていたので、いつものようにあだ名で大きい声でよびかけた。 「○○(彼のあだ名)、○○! わしや、□□(私のあだ名)や。わかるけ?突然倒れたやなんてびっくりしたがな。このあいだは面会もできずに帰ったけど、今日やっと会えたな。うれしいわ。」 薄目をあけていた彼は、確かに私の声に反応してくれたように思えた。目を見開いて少しわずかだが視線を動かしている。管を挿入されていて話せないのだが、口をモゴモゴと動かした。 奥さんは驚いた。そんな反応を示したのは初めてだそうである。 こっちの勝手な思い込みかもしれないが、彼には聞こえているような気がしてならない。 約30分ほど語りかけて手をさすったりしている間、彼は時折深呼吸をしてみせたり、口元を動かしたりした。それが今の彼の目一杯の反応なのだろう。 その後は少し疲れたのか、また薄目状態で眠りたいような様子をみせたので、「また来るしな。がんばれや。」といってICUをあとにした。 医学が進歩したといっても、人間の脳のことはわかっていないことが多い。現在の限られた知識に基づく神経学的予後は稀に予想を外れることがある。 医師として冷静な目でみれば、C君の神経学的予後は厳しいのかもしれない。しかも主治医はたいてい厳しめ厳しめにムンテラをする。家族にとってはつらいことだと思う。 幸い今は医師としてでなく友人として家族に話をすることができる。もちろん安易なことは全然言えないが、「どうも彼には聞こえているような気がする。諦めるのは早いんとちがうやろか?」と奥さんに正直に伝えた。・・・これぐらいのことは言わしてもらってもいいだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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