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明けましておめでとうございます。
今年の年末年始はめずらしく2日間休めました。 休みの間に、「ラストサムライ」(テレビからの録画)と「ソルジャーブルー」(DVDを買っておいたけど見るヒマがなかった)を見ました。 この2つを意図的に選んで見たわけでは無かったのですが、ソルジャーブルーの最後はラストサムライの冒頭につながっていくのだなと思いました。 ソルジャーブルーとはアメリカ西部開拓時代の騎兵隊のこと。古典的な西部劇では、悪役のインディアン相手に戦う正義の味方ですが、映画「ソルジャーブルー」ではシャイアン族の無抵抗な女子供をレイプし、殺戮し、屍体を切り刻む鬼畜として描かれています。騎兵隊の若き兵士ホーナスだけがこの蛮行を正視できず上官に反抗します。 1864年に起こったサンドクリークの虐殺をモデルに描かれた映画で、いわばアメリカ西部開拓の恥部にあたる部分をリアルに描いています。この虐殺を指揮したチビングトン大佐はメソジスト教会(禁欲的な規則正しい生活を基礎とするキリスト教の一派)の牧師でもあったそうです。 (アメリカ人はmanifest destinyなどという言葉を操り、自分たちの侵略を信仰的にも正当化してきた。) 白人が無抵抗のインディアンを虐殺する事件としては、他には「ワシタ川の虐殺」、「ウーンデッドニーの虐殺」など数多く知られています。 ソルジャーブルーの公開が1970年。ちょうどベトナムでのソンミ村虐殺事件が明らかに成り、アメリカの正義に疑問が持たれだした時代です。 アメリカには他民族大量殺戮の遺伝子が息づいているかのように思えます。 一方ラストサムライの方はフィクションです。 時代は明治維新後だから1869年くらいだったかな? 主人公のアメリカ人オールグレンは無抵抗のインディアン虐殺に荷担したことから良心の呵責に耐えきれずアル中となります。(カスター将軍の名前が出てくることから、おそらくはワシタ川の虐殺に参加していた想定なのでしょう。)オールグレンの姿は私の頭の中ではソルジャーブルーでのホーナスにオーバーラップします。 半ばやけくその状態で明治政府に請われるまま軍事顧問として日本にやってきたオールグレン。彼は反乱軍(おそらく西郷隆盛がモデル)との戦いで捕虜となりますが、反乱軍と生活を共にするうちに彼らの武士道精神に惹かれていきます。 失った兵士としての誇りを取り戻す術をそこに見出したオールグレンは、反乱軍と行動を共にし、政府軍に立ち向かいます。(これは西南戦争がモデルでしょう) 近代的な武器で重装備の政府軍を相手に、銃火器を一切使わず捨て身の攻撃を行う反乱軍。オールグレンの頭の中では、この反乱軍の姿は乏しい武器で白人に立ち向かったインディアン達の姿とオーバーラップしているのかもしれません。 ソルジャーブルーはもちろんのこと、ラストサムライもアメリカ映画なんですね。 自分たちの国がネイティブアメリカン虐殺の上に成り立っているという意識を頭の片隅にでも持っているアメリカ人がどれほどいるのかはわかりません。ソルジャーブルーなどは公開当時その内容に反発した人も多く、上映禁止となった地域もあると聞きます。 とはいえこのような映画を作って公開できる懐の広さがまたアメリカということでしょうか。 どの国においても、その歴史の恥部ともいうべき部分があると思うのですが、それを表現することがタブーになるようではその国の未来は無いでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.01.04 00:33:04
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