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産婦人科医は絶滅危惧種だの、あんな訴訟の多い科に誰が行くかだの、若い医師からさんざんな言われようの我々ですが、我々自身がそのような暗いイメージを払拭する努力もやらないといかんなーとここ数年考えています。
まあ、大変な仕事であることは間違いないけど、それは内科であれ外科であれ大変なのは同じ。基本的には「しんどいのがイヤやったら最初から医者なんか目指すなボケ!」と、今の歪んだ制度の中でお客様扱いされている研修医に言いたいところですが、それでは身もフタも無い。 大体しんどくない仕事でやりがいがあるような仕事などはるはずが無いのであって、「しんどさ」と「喜び」は表裏一体。そのへんの理解を促すような態度を我々も取らないといけないのかもしれません。 それと、何事もそうですが、緩急をつけるというかメリハリをつけるのが大事だと思います。 とにかく用事がないときでも遅くまで病院に残り、たまの休みには呼び出しがあったわけでも無いのに病院に顔を出している。こういうのはダメですね。このへんは日本人ならではの悪習でしょうか?(外国ではどうなのかは全然知らんのですが) こういう医者が上司になったらかなわんなと若い医師は思いますよ。 大変な仕事だけど、皆で協力すれば普通に休みぐらいは取れるというところを見せないと。産婦人科の場合そのためにはどうしても集約化して、一つの病院に4~5人以上の常勤医が必要になります。もちろん病院が経営的にも成り立つだけの分娩数があるという前提ですが。 やはり、1人医長の産婦人科はやめるべきです。各地方病院では、地域の出産を請け負うという立場から1人医長の状態でも産婦人科の存続を願いますが、それでは24時間365日病院に貼り付け状態です。それでもし不幸な転帰に終わる出産があれば、訴訟や刑事訴追となり、あれほど産婦人科の存続を懇願した病院側は医師を守ってくれるどころかあっさり見捨てるのが現状です。 例えば3つの病院に2人ずつの産婦人科医と小児科医がいて、それぞれがお産を扱うよりは、1つの病院にまとまって、産婦人科医6人、新生児を診れる小児科医6人でお産を扱う方がはるかにいい仕事ができます。ハイリスクを受け入れることも可能になります。大変な症例は増えますが、確実にやりがいも高まります。なおかつお互いが調整していけば少々のまとまった休暇も取れるようになります。 集約化によるメリットと患者の利便性低下というデメリットをどこで折り合いをつけるか?そこが問題です。しかし時代はまちがいなく集約化の方向に動いています。千分の一の合併症が起こってもいい結果しか認めない今の時代にあって、安全性を犠牲にした利便性など何の意味もないからです。 利便性に関しては後で辻褄を合わせていくしかないでしょう。例えば集約化された周産期センターの周囲に格安で滞在できる宿泊施設を設けて、患者は妊娠後期になればそこで出産に備えるとか、妊娠前期~中期は妊婦健診のみ行えるような簡易施設を各市町村内に設けるとか。 コストはかかるでしょうが、そこは国民1人1人が出産の安全に対してどれだけ負担を負う覚悟があるかという根本的な問題につながると思います。 まあ、グダグダ言いましたが、要するに「これだけ大変な仕事やけどみんなで協力したらもっとええ仕事ができるで」ということと、「ええ仕事が長く続けられるように、お互いカバーしあって休暇ぐらいは取れるようにしようや」ということです。当たり前のことなんですけどね。その当たり前のことができてなかったから、若い医師がそっぽをむくわけで、今現役でやっている我々の時代にせめてその変化のきざしぐらいは見せていかんとお先真っ暗です。 そういった理由でここ数年は時々まとまった休暇を取るようにしてます。決してヒマな病院ではありませんが、複数の医師がいればなんとかなります。そして以前も書きましたが、休暇は上の立場の人間から取っていかないと、下の人間は取れません。しかし上の立場である50~60才の医師ほど休みを取りたがらないんですよね- 「いまさら休みを取って何をせえちゅうねん?」という感じの医師が多いです。休みがあっても持て余すみたいです。持て余そうがどうしようが、とにかく病院に来ない日ぐらい作るのも年配医師の甲斐性のうちやと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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