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カテゴリ:突発性難聴体験記
Day9〜11
発症9日目の4月6日月曜日、音が耳に響く感じや耳鳴りなどの自覚症状は何ら改善していないように思えた。血液検査では血中フィブリノゲンはデフィブラーゼ投与前の200mg/dlから77mg/dlまで低下していると担当医から告げられた(フィブリノゲンの正常値は150〜400mg/dl)。突発性難聴の治療目的としては50〜100mg/dlが適切といわれているので、ちょうどいい効き具合だとのことだ。 午後からの聴力検査では、500ヘルツ、1000ヘルツとも5db回復していた! 先の見えない入院の中ではわずかの回復でもこの上なくうれしい。本日もデフィブラーゼ点滴だが、下がりすぎても危険ということで前回の半分(5単位)を投与することとなった。「ケチらずにドーンといってくれ」という気持ちもあったが、ここは担当医の冷静な判断に任せるべきだと思った。 4月8日水曜日、この日のフィブリノゲン値は55mg/dl。やはり担当医の判断は正しかった。この日は午前に聴力検査があった。ここの大学病院では聴力検査室が外来にある。午前中は外来患者が多く、待合室は結構騒がしく耳が辛い。「あーイヤだなあ」と思いながら指で耳を塞いで待合の椅子で待つこと約10分。呼ばれて聴力検査室に入ると、いつもの技師のお兄さんじゃなくて見習いの若い女の子が、「言語聴覚士を目指している学生です。今日は検査を担当しますのでよろしく」と挨拶。「あ、お願いします」と返事して検査用のヘッドフォンをつけてもらったが、どうも器械の扱いに慣れていないようでたどたどしく操作している。「指導者もつけずに大丈夫か?」と思いながら検査が始まった。難聴が治るかどうかひたすら心配している患者にとって聴力検査は滅茶苦茶緊張するものだ。そんな中での不安な検査・・・ ところが間もなく外の診察室から子どもの泣き声が聞こえてきた。防音ドアを閉めてあるのにけっこう大きな泣き声が漏れ聞こえてくる。とても純音の小さい音が聴こえる状態ではなくなった。しかし彼女はお構いなしで検査を続けようとする。普通は検査を中止して、外の子どもの診察が終わるのを待つべきだろう。腹立ちを抑えながらヘッドフォンを外して、「無理です。あの泣き声では何も聴こえません。やり直して下さい。」と彼女に訴えた。「あー、そうですか。はい、すみません。」とドアを開けて診察室の様子を窺う彼女。子どもの泣き声はさらに大きく鳴り響く。「誰かちゃんと指導しろよ!」とイライラしながら待つこと約5分。 「あのー、今診察が終わったみたいなので、もう1回最初からやりますね。」 静かにはなったものの、もうこっちとしては全く気持ちが冷静になれず、神経が集中できない状態で検査を受けなければならなかった。本当にイヤな気分だった。 検査が終わって病室で落ち込んでいるところにカミさんが面会に来た。私の様子を見て、「どうしたん?」・・・・上記のいきさつを説明しているうちに再び怒りがこみ上げてきた。 夕方になり担当医が病室に来て、聴力検査の結果を説明してくれた。何と、あんな状況だったにも関わらず、聴力はさらに改善していた!1000ヘルツは40dbまで回復している。最悪だった50dbよりも10db良くなっているのだ。さっきまでのイヤな気分が吹っ飛んだ。 担当医も私も、「これはいけるのでは?」と大いに期待した。 続く・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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