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カテゴリ:突発性難聴体験記
高圧酸素治療に加えて、もう一つ選択枝に入れていたのが鍼灸治療である。これはネットでの体験談とか鍼灸院の宣伝ホームページぐらいでしか情報が入らない。かなりやらせの情報もあると思うのだが、海外文献を検索してみるとこのようにちゃんとしたデータを出しているものもある。
西洋医学的治療が全く満足な治療結果を出していない以上、東洋医学的アプローチを偏見の目で見る理由は一つもない。しかし鍼灸院の中で突発性難聴を扱っているところは大都会に集中しており、地方では数少ない。 幸い車で1時間ほどのところに突発性難聴を積極的に治療している鍼灸院があることがわかった。ネット上で実際の治療症例を呈示しており、ある程度信用してもいいのかなと思われた。これについては行うのに何の縛りも無いので、一応担当医に断った上で病院から外出して4月9日から週3回のペースで通い出した。 しかし車の運転の音が意外に耳に響くのである。右耳に耳栓を突っ込んでおかないとものすごく疲れる。1時間がものすごく長く感じられる。時間に余裕があるときは高速を使わずに下道をゆっくりと運転して移動した。 Day13〜17 発症後13日目の4月10日金曜日。デフィブラーゼは隔日投与で血中フィブリノゲン値50〜60mg/dlとちょうどいい効き具合を維持していた。4月6日と8日の聴力検査で改善が見られていたことから、「よし、デフィブラーゼが効いてきたな」と担当医も私も思っていた。 一方でゴールデンタイム終了のDay14が迫って来ている。 担当医が、「今日も聴力検査しましょうか?どうします?」と聞いてきた。 私の頭の中での当初の予定ではDay13のこの日は聴力検査を受けるつもりをしていた。そこでデフィブラーゼの効果が頭打ちか否かを判断して、あまり効果が上がってこないようなら明日高圧酸素治療を受けるべく退院しようというハラだった。それでギリギリ発症後14日以内の高圧酸素治療開始となる。フィブリノゲン値が安定しているのでデフィブラーゼの点滴は外来通院で続けることも可能だろうし。 しかし情けないことに先日の聴力検査の時のイヤな思いがものすごくトラウマになっていて、どうにも聴力検査室に行く気になれなかった。 「いやー、あまり一喜一憂するのもねえー。聴力検査は来週の月曜日にお願いしてもいいですか?」と答えてしまった。前回の検査結果からの甘い期待もあって、つい逃げてしまったのだ。自覚症状は何も改善していないというのに・・・ 土日にかけては耳鳴りがさらにひどくなっているような気がした。夜9時頃、人気の無くなった病棟1階のロビーの椅子でカミさんとくつろいでいると耳鳴りが気にならなかった。自販機の「ブーン」という音が耳鳴りをマスクしていることに気がついた。病室のエアコンの音よりマスキング効果は強いようだ。iphoneのボイスメモで自販機の音を録音して、ituneでリピート再生できるようにして就寝時枕元で小さい音で鳴らすと寝やすかった。 果たしてDay16となってしまった4月13日月曜日の聴力検査。この時はいつもの技師のお兄さんで落ち着いて検査を受けることができたが、結果は4月8日よりも悪くなっていた! 1000ヘルツが45dbに戻ってしまったのだ。デフィブラーゼの効果もここまでなのか・・・ 担当医に、「もし今の状態が治らないとしても、後で後悔しないようにできることは何でもやっておきたい。入院させてもらいながら申し訳ないが、高圧酸素治療を受けたいのでN病院に紹介してもらえませんか?デフィブラーゼの点滴は通院して続けますので。」と申し出た。 担当医は少し躊躇したようだったが、「わかりましたN病院に連絡してみます。」と了解してくれた。 後でわかったことだが、どうもこの件についても担当医は教授に内緒で段取りしてくれたようだ。「デフィブラーゼの効果を見極めてからにしろ」と言われるのを恐れてのことだろう。 話は早かった。明日4月14日の朝10時半から高圧酸素を始めるから、来てくれとN病院から返事があったのである。 急遽カミさんと荷物をまとめて退院の準備をし、担当医からの紹介状を手に14日の朝大学病院を退院した。Day17からの開始になってしまったが、これは私自身に責任がある。急いで段取りしてくれた担当医には感謝した。 この日から、それぞれに車で1時間ほどかかるN病院と大学病院と鍼灸院を行ったり来たりしながらの通院生活が始まった。もう安静もクソも無いわけだが、することもなく病室でじっとしているよりはよほどストレスは無かった。 手元の文献にある「これを発症からOHP(高圧酸素治療)開始までの日数別に予後を検討すると,第8~14病日の間にOHPを開始した症例は治癒率19.6%,有効率28.3%,改善率56.5%であった.それに対し,第15~21病日の間では,治癒率4.5%,有効率18.2%,改善率45.5%,第22~28黒日の間では,治癒率14.3%,有効率14.3%,改善率28.6%であり,既治療例に対するOHPも早期に行った方が効果が期待できると考えた.」という記載の下線部にある45.5%に何とか食い込んでみせると思いながらN病院に向かった。 続く・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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