北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

4月9日北京市内で起こった反日行動(集会やデモ)について、いまのところ中国のメディアは大きく取り上げていません。とは言え、インターネットやケータイ･メールなどである程度情報通の北京の人はほとんど知っていると思います。また、中国政府当局が"正式な"報道を控えているので、人たちの間では"尾ひれがついた"情報として広がりつつあります。つまり、反日行動について好意的、日本に対してより批判的な"噂話"として。

日本政府も日系企業の経済活動に与える影響をようやく心配し始めましたが、町村外相のようにのんびりしてられないのが、現地の日系企業でしょう。対策を検討して、既に実施に入った企業もあります。
北京の反日行動では"日本製品排斥"の主張が大きかったようです。ただ私としては、末端の消費者の不買行為もさることながら、"日本企業と関わることが良く無い"という風潮、"日本企業との取引きは大切なのだが周囲の批判を考えると今は近づきたくない"というムードのほうが、企業活動に与えるダメージが大きいような気がしています。
4月9日の反日行動に関して、日本に不利な方向で情報が中国全土に広がった場合、現地の日系企業がスグにでも被りそうな影響をまとめてみました。

(1)インナーのモチベーション低下
日系企業で働く中国人にとっては、一層働きにくい環境になるわけです。友人や親戚から圧力がかかることもあるでしょう。前線の営業スタッフは一層販売活動がしにくくなります。モチベーションの低下が懸念されます。3月下旬に中国メディアに名指しで批判された日系企業の中からは既に離職者も出ています。
(2)B to B取引きの低迷
日系企業といえども中国では販売先も仕入れ元もほとんどが中国企業でしょう。日系企業と取引関係があること事態後ろめたいと言う風潮が生じるかもしれません。特に取引先の中国企業の担当者レベルが決裁可能な案件に関しては、取引先の担当者が自分の社内外での立場を憂慮して、取引きを停止してくるかもしれません。
(3)下級政府機関や末端の役人の"意地悪"
中央政府や直轄市政府レベルは日本との経済関係の重要さを理解していますから、あまり大きな影響は無いと思いますが、日系企業誘致に積極で無い地方政府や区政府などの機関とその末端の役人などは、これを機会にと日系企業に"意地悪"をしてくる可能性が考えられます。申請手続きの遅延、税務再調査や追徴など、今まで以上に警戒する必要があるでしょう。
(4)広告やプロモーション活動の環境悪化
日本ブランドとして中国人に認知されている場合、積極的な広告活動は逆効果をになる危険性をはらんでいます。また日系ブランドの広告に出演しているアイドルやタレントにも攻撃の矛先が向かう可能性もあります(DHCの広告に出演している周傑倫は既にネットで攻撃を受けているとの報道=SINAもあります)。出展した展示会のキャンペーン･ガールが来場者にとっつかれるかもしれません。

他にも心配を挙げるとキリがありませんが、以上4点についてスグにでも対策を施したほうが良いと考えます。
まず第一にやるべきことは(1)です。社員には日本のよき理解者、味方になってもらったほうが良いはずです。会社（或いはトップ）としての考え方と対応についての説明と激励をスグに行うのが良いのではないでしょうか。
(2)については取引先中国企業のトップにできるだけ早くお会いして理解を得、日本企業と付き合っている中国企業の人たちが後ろ指を刺され無いような環境をつくってあげるのが良いのではないでしょうか。
(3)は打つ手無しかもしれません。
(4)広告活動やイベントなどの急な中止も憶測を呼び、マイナス効果となる可能性もありますから、マーケットの声をできるだけ多く拾い冷静に対応するのが良いと思います。
いずれにしても、日本人だけで考えて対策を施すとロクなことが無いような気がします。信頼できる中国人ととも、取引先や消費者などマーケットの意見も十分に聞きながら、冷静かつ迅速に対応していく必要があると思います。