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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2006.01.22
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livedoorに関するエントリーには、たくさんの参考になるコメントやトラックバックをいただき、この場をお借りしてお礼申しあげます。
私は中国で仕事をしているのですが、好き嫌いに関わらず、当面の間、日本は中国と付き合っていく必要があると考えています。日本が将来にわたって国際社会のリーダー的立場を維持できるかどうかは、特に経済領域においてこの国とどう関わっていくかに左右されるのではないか、とも考えています。
これまでは中国の労働力や消費市場を日本企業の企業活動にどのように組み込んでいくか、が主流でしたが、これからは世界市場全体にわたって中国企業とどのように競争し或いは協力していくか、が主眼になると思います。
中国を軸に国際社会の勢力図が変化していることは事実で、日本は社会・経済や企業のドメスティックな体質を変革し、子孫に誇れる独立した豊かな国家として生き残らなければならないと思うのです。極論すれば、中国に呑み込まれるようなことがあってはならないと思うのです。
中国のいまを観察することによって、中国の弱点を掴むことができると同時に、いまの日本の弱点も見えてくるように思えるのです。前者は日本のメディアでも頻繁に取り上げられているようなので、私のブログでは後者を中心に取り上げていくようにしてきました。中国に内在する問題点の多くが日本にも存在すると思いますし、それが弱点なら先に改善できたほうが良いと思います。
livedoorの話題自体は中国や北京に直接関係してはいないのですが、もう一度私なりに整理してみました。

(1)現時点では「グレイ」であって、まだ「黒」ではないと思います

法治主義の立場を取れば、司法で有罪が確定して初めて「黒」と言えるでしょう。法律の下位概念として、例えば証券取引等監視委員会などのルールに抵触する疑いがあって何らかの処分があったとしても、その処分が適法か司法の場で確認する権利があるはずです。
私もaudito(会計監査)を受ける立場にあります。通常監査では何ら改善意見も無かった会計処理について、親会社の監査室より指摘を受けたことがあります。その指摘について別の監査法人により再監査していただいたところ、改善意見だらけの監査報告書になってしまいました。会計士や法律家の方からコメントやトラックバックをいただいており、専門的なところはお譲りしますが、会計処理が適切かどうかの判断は、環境や解釈によって変わるはずです。
会計処理に絞っても、少なからぬ企業がグレイの部分を抱えているのは事実だと思います。監査法人は、明らかに「黒」の会計処理を認めることはできませんから、解釈や説明によって乗り切れるグレイの部分は一応「白」になるのですが、最近は監査法人へのプレッシャーが高まってきて、解釈の責任が問われるのではないかと胃を痛めている会計士の方も多いようです。
livedoorに関しても、現時点で報道されている問題点に関してのみ言えば、専門家の方が100%「黒」と言い切れる会計処理とは言えないようです。もちろん、監査範囲で明らかにできなかった部分まで調査するのが"強制捜査"の一つの目的ではあるでしょうから、問題の核心は他にあるのかもしれませんが。
誤解を怖れず1985年の「豊田商事事件」を例に上げるなら、豊田商事に強制捜査が入り永田会長が事情聴取をされたと言う時点で(関連会社社員に既に逮捕者は出ていたようですが)、世論はほとんど「黒」と判断してしまいました。そして報道陣のカメラの前で"私刑"に遭って抹殺されました。詐欺の被害者の怒りを趨勢とするメディアの報道などにより「黒」と断定され、司法判断を待たずに抹殺されたのです。
livedoor関連株で大損したりした"被害者"はたくさんいらっしゃると思いますが、現時点では「グレイ」です。司法だって結局は人の判断ですから、メディアや世論の影響で「黒」になる場合もあるでしょうし、その反対になる可能性もあるはずです。

(2)強制捜査発動には、権力による何らかの意図が働いていると思います

社会的に大きな影響力が予想される事案の強制捜査には、ほとんどの場合、権力による判断が機能していると考えて良いと思います。それは"GOサイン"を出すという積極的な判断よりは、むしろ現場からの承認要請に"STOP"をかけるというような消極的判断のほうが多いのかもしれません。もちろん、"GOサイン"が出るのは、確実に立件ができるとか裁判を維持できるとか有罪に持ち込める可能性が極めて高い、などの理由によるのでしょうが、政治的意図が含まれる場合もあるはずです。
livedoorの強制捜査について何らかの意図が働いている、と言う前提で話を進めるなら、その意図とは何なのでしょうか?
ひとつはフィナンシャル・タイムの社説が述べたような「年老いた守護者の復讐(ふくしゅう)」。既得権益者にとって目障りな存在者に打撃を加えようとする意図。或いはグレイな方法で急成長を遂げている”IT関連"などの急進企業の国際的な競争力を高めるため、崩壊しかねない手法を繰り返す象徴的な企業をスケープゴートとして警鐘を鳴らす意図。
前者の場合、日本経済は"成熟した大企業"による既存手法により、復活を遂げつつあるのだから、怪しげな新興企業は出過ぎた真似をしないで欲しい、と言う意図だと考えます。
後者の場合、日本経済は元気のある若い新興企業のおかげで、随分活性化してきたのは事実だけど、あまり調子に乗っているとそのうち禿げ鷹ファウンドなどに丸ごと日本を乗っ取られてしまう、そうならないうちに象徴的な企業にお灸を据えておこう、と言う意図だと考えます。
もちろん他にも、小物政治家の保身だとか、耐震強度問題からの視線そらしだとか、いろいろ考えられるでしょうが、意図を働かせた権力に敢えて性善説を適用すれば、この二つの方向性になるのではないでしょうか。

(3)現時点で"潰す"のは残念だと思います

私は上述のような前提で考えているのですが、今回livedoorの強制捜査に踏み切った判断、そして「ヒーロー」作りに加担しておきながら180度方向転換して「悪者」扱いにしてしまう大衆メディアの報道の潮流に関して、個人的に残念だと思っています。
第1に、気分的な問題。若い世代の経営者や新しい経営手法によって日本もようやく活気付いてきた感じで、少なからぬ若者が夢ややる気を取り戻しつつあった時期に、その象徴的な企業と経営者が権力によって「悪者」になってしまったことです。
第2に、権力による判断が常に正しい、と言う日本国民の思い込みを増長させてしまったこと。私には本件も小泉さんの劇場型政治手法の一つのパーツにすら思えます。こうしたことに批判的なクラス・メディアも存在しますが、潮流として大衆メディアも権力側に大きく加担しているように思えるのです。国民の敵、国家の敵を権力側が仕立てて、大衆メディアがその世論を盛り上げる。捜査当局からもたらされる情報をろくな検証もせず、"被害者である国民にとって必要な情報として垂れ流す。そんな「悪者」を成敗してくれる権力に、国民の多くは何の疑いも持たなくなってしまうのではないでしょうか。

livedoorに関して言えば、フィナンシャル・セグメントの占める割合が圧倒的に大きく、他の"IT関連"といわれる急進企業と同一視で考えることができないと思っています。ただ私の知りうる限り、多くの"IT関連企業"も"成熟した大企業"も、多かれ少なかれグレイな会計処理や取引きをしているハズです。
単純に”出過ぎた”から叩かれたのか、日本の将来を危惧する考慮をもって政治判断だったのか、或いは別に何らかの意図があるのか、大衆メディアであるテレビや新聞はもっと様々な角度から取材して、より多くの国民に情報を提供して欲しいと願っています。
株価が暴落し怒っている方々の気持ちはお察ししますが、大衆メディアや政権政党の一部勢力が、株価上昇の一翼を担ったのは事実だと思うのです。





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Last updated  2006.01.22 17:57:30
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