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北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2006.02.08
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旧正月の休暇で日本滞在中、どのチャンネルも似たようなライブドア関連のテレビ番組にさすがに辟易してしまい、DVDをレンタルに行きました。日本で暮らしていたら、当たり前のことなのかもしれませんが、レンタル料が異常に高く感じてしまいました。中国で海賊版を2~3枚は買えてしまう値段なんですね。

このブログでも何度か取り上げましたが、中国では120円ほどで海賊版DVDが手に入ります。しかも、こっそりと買う、と言う感覚ではなく、堂々とした店構えをしたDVD Shopなどでも購入できます。豪華パッケージ入りのものも多く、フツーの人には正規版なのか海賊版なのか見分けがつきません。その手がかりは販売価格なのですが、中国の国産映画などのタイトルは正規版でも200円くらいですし、ハリウッド物でも300-400円で販売されています。
しかも正規版料金で販売している"悪質な"海賊版"も横行しているくらいですから、もうほとんどボーダーレスです。
正規版だけを販売しているようなお店を探すことのほうが困難です。

DVDや音楽CDの場合、海賊版と正規版の価格差も小さく(とは言え2倍くらいするので、現地生活者にとっては大きな違いですが)、小売店の中ですら混在していたりするので、対策と言ってもどうしようも無い状況ではありますが、映画やドラマのDVDなどは、あくまでも"2次使用"ですから、いずれ両者の間で歩み寄りも可能なのではないかと期待してはいます。

ところが、ゲームやコンピュータ・ソフトとなると状況は違ってきます。
コンソールタイプのゲームの場合、ハードもソフトも日本とほぼ同じ価格で販売されています。プレステやNintendoの正規ソフトなら1タイトル5,000-7,000円と言ったところですね。ところが海賊版の場合は150円程度で、しかも複数のタイトルが1枚のディスクにてんこ盛り状態だったりします。

コンピュータ・ソフトとなると、例えばOSやOfficeソフトの場合、正規版は中国でも2万-4万円はするわけですが、海賊版はタダだったりします。
IBMのPC部門を買収したLenovoなど著名ブランドの中国国内販売向けPCは、付属ソフトはもちろんのことOSのWindowsすらインストールされていないタイプが中心です。そのままスイッチを入れるとBIOSの画面を眺めることになるだけなのですが、ほとんどの販売店ではご丁寧にも"無料"でWindowsやOfficeなどのソフトをインストールしてから納品してくれます。
もちろんデスクで購入して自分で好みのソフトをインストールすることもできますが、海賊版ですと2-3万円のWindowsも10万円以上するAdobe Premiumも100-200円です。ITモール街でしたら、MicrosoftやAdobe正規販売店のお隣で平気で海賊版が売られていたりします。

海賊版の使用は、個人に限らず一般企業でも平気で行われています。従業員5人10人の中小企業だけではなく、数1,000人規模の大企業であっても、海賊版ビジネス用ソフトをつかっているところがたくさんあるのです。
オフィスで利用するパソコンは、液晶モニタのデスクトップでも5万円くらいから手に入ります。OS無です。ところがOSやOfficeなどの正規版ソフトのライセンスはコンピュータ本体と同じくらいの値段がします。月収5万円と言えば、北京でも高給取りの部類に入りますから、正規版ソフトを導入するために、日本的感覚ですと30~50万円も負担しなければならない、と言うことになります。中国ではオフィスにコンピュータが普及し始めた段階で、ソフトウェアの費用負担など考慮しない会社経営が一般的だったのです。高価なソフトウェアを経費負担しなくて良かったので、多くの企業が成長できたのでしょう。

そもそも、中国の会計制度ではソフトウェアを資産計上する慣習がありません。ウチの会社はキチンと正規版を利用していますが、経理責任者にソフトウェア費用を資産計上して減価償却しようと言っても、そんな慣習は無いと一蹴されてしまいました。ソフトウェアを購入するたびに、販売管理費(経費)として一括処理しています。
まぁ高価な正規版であっても、100円ちょっとで同じ機能の海賊版が手に入るワケですから、資産価値はゼロということで、ある意味合理的な会計処理だなぁ、などと納得していますが。
こういうわけですから、いきなり正規版を導入しろ、と言われると、経費の負担増で、経営が成り立たなくなってしまう企業が、中国にはたくさんあるように思えます。

とは言え、DVDやゲームに比べると、汎用コンピュータ・ソフトは少数のメーカーが寡占的に販売していますから、メーカー側もいろいろ対策を講じています。
Micorosoftは、たくさんのパソコンを利用しながら1台たりとも正規版を利用していないインターネット・カフェのチェーンなどを、見せしめ的に訴えたりしています。Adobeの場合、ビジネスで頻繁に利用する業種は限られているわけですから、そうした企業を定期的にパトロールして、海賊版をインストールしてあるMacを見つけ出すと持っていったりしています。映像編集やデザインでAdobeのソフトウェアを使用している会社は、Macを持っていかれると仕事が成り立たないので、しぶしぶ正規版を購入するハメになるのです。10台分ですと100万円以上になりますから、中小企業ですと会社存続の危機になってしまいます。
あまり強硬な態度に出ると、国家ぐるみで開き直られてしまい、政策発動でLinux紅旗などにスイッチされてしまいかねませんから、Microsoftあたりは"柔軟な"対応に終始しているようですが....

ところで、海賊版使用による"恩恵”を、間接的には日本企業や日本人も受けているのではないでしょうか。
例えば、CG、CAD、動画編集などが、日本と比べて安くできるから、と中国にアウトソーシングしている日本企業はたくさんあります。人件費が安いから安く済むと考えるのがは当然ですが、実は海賊版使用でソフトウェアが安いことも安価の要因になっていると言えるでしょう。日本の料金には、パソコンなどの設備やソフトウェアの減価償却分も反映されていますが、ここ中国では高価なソフトウェアの減価償却なんて考慮する必要の無い企業がたくさんあるわけですから....

海賊版が氾濫する中国のことを批判したり、知的所有権侵害の被害者として抗議することは容易いのですが、日本も間接的にはこの"海賊版天国"の恩恵を受けていることも考える必要があるのかもしれません。





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Last updated  2006.02.08 23:05:13
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