カテゴリ:IT・ネット・モバイル・コンテンツ
中国のトップ携帯電話キャリアであるチャイナモバイル(中国移動)が2006年の業績を発表していました(自社サイト。
それによると、純利益は660億RMB、日本円にするとほぼ1兆円だそうです。ニューヨーク市場に上場しているくらいだから、粉飾しているとも思えません。 日本が誇る最優良企業と言われているトヨタ自動車の06年3月期の当期利益が1兆3,700億円でしたから、中国国内でしか稼いでいない企業としては、破格の収益率と言えるでしょう。ちなみに日本のトップ携帯キャリアであるNTTドコモは6,100億円(06年3月期)くらいなものです。 まぁ日本では9,500万くらいの契約の取り合いで一喜一憂する状況ですが、チャイナモバイルの契約者数は既に3億を越えているのです。しかも、13億人すべてがケータイを持てるような環境にあるわけでは無いのですが、それでもあと2億か3億くらいのマーケットは残っています。 毎月のARPU(1契約あたりの平均収入)は90RMB(約1,350円)ってところで、日本と比べたらかなり低いのですが、それでも3億を掛けると、270億RMB(約4,000億円)ものキャッシュが毎月毎月入ってくるのです。もちろん広い中国ですから、設備投資にも莫大なお金がかかりはしますが、中国ビジネスのウマミである"数の論理"が活かされていると言えるでしょう。 チャイナモバイル・ユーザーの1%が月5RMB(約75円)のコンテンツを買ってくれれば、毎月1,500万RMB(約2億3,000万円)の収入になるわけで、日本のモバイル・コンテンツ屋さんもいろいろ頑張っているようですが、そこは中国、そう簡単にはよその国に分け前を譲ったりしてくれていないようです。 さて、チャイナモバイルがドコモだとすると、auみたいな存在がチャイナユニコム(中国聯通)です。こちらもマーケットの拡大に乗じてある程度契約数を伸ばしてはいるのですが、都市部に特化したCDMAネットワーク構築が祟ってしまい、これからも成長が望めるはずの農村部ではチャイナモバイルに水を空けられる格好になっている様子です。 チャイナモバイルの"一人勝ち"状態を逆手にとって(?)、胡散臭さが増しているのが3Gライセンス問題(参考:中国情報局)。 来年8月の北京オリンピックのときには、3Gサービスが始まっていないと、ちょっとメンツが立たないかも知れない中華的事情もあるのですが、もう一つの中華的メンツであるTD-SCDMAという中国独自の規格(とは言っても、その技術の多くは欧米頼みらしいのですが)の"なすりあい"がキャリア間で繰り広げられているのです。 中華的ご自慢の規格ならば率先して導入すると手を挙げればいいのに、どのキャリアも実用実験にすら消極的な状況でした。誰もババを引きたくないくらい、TD-SCDMAは怪しげなのでしょう。 そんな中、TD-SCDMAの導入に二の足を踏んでいるモバイル・キャリアに脅しをかけるように、固定電話中心のキャリアであるチャイナテレコム(中国電信)にTD-SCDMAによる3Gライセンスをプレゼントしちゃおうみたいな話まであったようで、この際だからチャイナユニコムと合併すればぁ、みたいな、政府当局によるキャリア再編指導まで疑われるようになりました。 モバイルに参入したいチャイナテレコム、このままでは泡沫キャリアになりかねないチャイナユニコムをうまく脅しつつ、王様であるチャイナモバイルにさっさと中国が誇るTD-SCDMAを導入してもらいたい、と言うのがきっと政府当局の本音であるわけで、年間10兆円もの純利益を出しているのなら、少しくらいコケてみるのも良いのではないか、と私としては思ったりもしています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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