カテゴリ:危機管理・PRとメディア
ご多分にもれず中国でもBuz Marketing(バズ・マーケティング)が人気を集めています。
もともと、中国では口コミの影響力が大きかったようで、インターネットが広く普及する前でも、認知経路などの調査をするとテレビなどのメディアと同じくらい「友人・知人から」という回答があったものです。最近は、「友人・知人」だけではなく「ネットの掲示板(BBS)」や「ブログ」が影響力を大きくしています。中国語では「口碑営銷」と言いますが、評判による売り込み(マーケティング活動)という意味になります。 日本やアメリカでは、ブログが多く利用されました。 影響力のあるブロガーに企業側が新製品のサンプルなどを提供して実際に試用してもらい、感想をブログに書いて貰うようなことから始まったのですが、企業側がブロガーに"謝礼"を支払うようになったり、企業側が成りすましブログを用意したりして、それが読者にバレたりしたために、炎上して逆効果になったケースもありました。 掲示板(BBS)、商品案内サイト(ナビゲーション・サイト)、口コミサイトなどに、企業側が"よいしょ"コメントを書き込むタイプもありましたが、「やらせ」に警戒心を抱く日本では、逆効果になるケースが多いようです。 中国では掲示板(BBS)がBuz Marketingの主要な舞台になっています。 ブログのコメント欄よりは、大手ポータルサイトなどが運営しているBBSのほうが、少しだけ信頼性が高いと思っている人が多いからなのでしょう。口コミサイトやブログより、大手ポータルサイトのBBSのほうが、圧倒的に集客力が大きいという理由もあります。 人海戦術の得意な中国だけあって、モニタリングから書き込みまですべて人力で代行してくれるBuz Marketingの会社がいくつかあって、大きいところでは全中国に1万人以上のネットワークを有して、クライアントに都合の良いストーリーになるようにBBSをコントロールしてくれます。 中国の大きなBBSは書き込み側のIPアドレスも表示されたり、書き込む前に実名やIDを登録したりしなければならないので、様々な地方からより多くの人が参加しないと、すぐに「自作自演」だとバレてしまうので、巧妙にオペレーションする必要があります。 良心的なBuz Marketing会社は、ネットワークされたコメンテイターに対象商品のサンプルや商品を理解するためのマニュアルなどを配布して、比較的オーガニックなコメントを書き込んでもらえるように努力していますが、ひどいところだと「本部」からメールで送られてきた文章をBBSに「コピペ」させる(貼り付けさせる)だけだったりします。 受け取る側も、半分はこうした「やらせ」が行われている、という前提の中で、商品情報の参考にしているという感じでしょう。 対象商品に好意を抱かせることができるかどうかは別として、知名度の低いブランドや商品の場合は、良くも悪くも話題になって多くの人たちの関心を引き付けられる、という点でそれなりの効果は得られると思います。 むしろ中国では、ネット上のネガティブな評判を好転させるために、Buzを利用するケースが多いようです。放っておくとネガティブな情報が際限なく広がるのが、中国でも日本でもネットの特徴ではありますから。 先日、中国最大のポータルサイトのニュース欄に、とある日本メーカーのネガティブな記事が掲載されてしました。 日中関係が少し友好ムードになったとは言え、中国の皆さんはこうした話題が大好きで、併設されているBBSには瞬く間に"反日系"コメントがどんどん書き込まれていきました。このまま放置していたのでは、対象となった日本メーカーの評判が悪化するばかりか、日中関係にも影響しかねない.... でも大丈夫!! この記事を掲載しているポータルサイトの"協力"を得て、この記事が"注目されないように"することができたのです。 詳細はご説明できませんが、危機管理Buz Marketingの観点から"細工"を施した結果、対象記事そのものの削除はできませんでしたが、ニュース欄のトップページの目立つ位置にあった記事へのリンクをはずし、さらに"バックナンバーページ"から対象記事のタイトルやテーマ写真まで削除できました。つまり、なかなか対象記事にたどり着けないような状態を作り出すことができたことになります。 すばやく対応できたので、他サイトへの転載も防げましたし、ニュース検索しても表示されない状況になりました。 日本メーカーや日本という国そのものへの批判的論調となっていたBBSも、対象記事は"日本メーカーを非難しているのではなく中国のユーザー側にも問題がある"みたいな理性的な論調に変化していきました。 ネガティブな情報は、"火"が大きくならないうちに、できるだけこっそり消してしまうのが一番です。日本では巨大広告代理店とお付き合いがなければ、なかなかこういう"技"を使えないものですが、中国では政府とか権力とかに頼らなくとも、意外とできちゃうものなのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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