トルコ気分を高めようと思って、借りてきた本。
歴史学者である村田君(純日本人。エフェンディは
先生みたいな敬称)が留学生として土耳古(トルコ)に滞在していた日々を綴った物語。トルコと言っても100年くらい昔という設定。
発掘や調査のために世界のあちこちから集まってきた、国も宗教も違う人々の下宿生活。穏やかなイスタンブール生活、そして異文化交流が梨木さん独特の静かな世界で展開されています。
トルコ人のゆったりとした生活パターンや、エザンの響く街並って100年前も今も変わらないのでは・・・と思ってしまう。
そしていろんな宗教、文化の交差点であるトルコの懐の広さを感じますね~
神様や精霊が出てきたり、幻想的なファンタジーかと思いきや、いろいろと考えさせられましたね。
戦争のこと、宗教のこと、日本の行く末・・・
世界の中じゃ、日本ってつくづくお人好し(T_T)
何よりも心地よいのは、村田君たちの話すいにしえの日本男児言葉や漢字表記の地名。
埃及(エジプト)、独逸(ドイツ)、希臘(ギリシャ)、伯林(ベルリン)などなど。
昔の文学作品みたいですね。
これは前に読んだ『家守綺譚』の複線になっているので、先に家守を読んだほうがより楽しめる♪
この世界観はちょっとクセになるかも。秋の夜長に☆
・・・繰り返すのだ。勃興、成長、成熟、爛熟、腐敗、解体。
「その貧しさを、保つことだな。西の豊かで懶惰な退廃の種を、君たちが持ち帰らないようにすることだ、村田。」
希臘人ディミィトリスの言葉は心に響く。
間違いなく持ち帰っているわね、後世の日本人、そして行く末は・・・