|
テーマ:本のある暮らし(3292)
カテゴリ:読書備忘録
最近アタクシが熱烈にお薦めしている作家、三浦しをん。
抱腹絶倒のオタク生活そして個性的な友人とのやりとりを綴ったエッセイにどっぷり浸りました。 しをんさんはエッセイストオンリーという訳ではないので、小説も読んでみることに・・・ やる気のない就職活動と歳の離れすぎた恋人(←爺さんで書道家)そして家族について、小説なのにエッセイのような・・・ 出版社に就職しようとしていた等身大のしをんさんに会えるような作品。 明らかにドコの出版社と分かる各社の社風も面白い( ̄◇ ̄) アタクシも就職活動は若干ナメてかかっていたところがありました。就職氷河期であったにも関わらず、どこかには就職できるような気分でいたのですね~ 今思うと、「入社試験という面目で、あの会社にアタクシの貴重なアイデアをただで提供してしまったんだわ!」と悔しくてなりません。 リクルートスーツなるものが嫌いで、一風変わった格好をしていったにもかかわらず最終までスルッと通ったから「なんて懐の広い会社なのっ!」と感激したのも束の間、 結局最終試験で落とされたあの会社めっ(ノ`△´)ノキィィィィィィッ 次の年にはちゃっかりアタクシのアイデア通りの事業展開をしていた。 他にも同じような企画が社内にあったのかもしれませんが、大企業というものの恐ろしさと黒さを実感したのもこの時期。 いい経験だったのかもしれません。 さて、 この本に関しては、とおり・ゆうさんがとても素敵な文章で紹介してくださっているので、アタクシが多くは語りますまい。決して手抜き(゚◇゚;)ドキっ・・・じゃなくってよ。 今日の本題は『月魚』でございます。 見事にアタクシの好きそうな世界観を描いてくれています。 その細い道の先に、オレンジ色の明かりが灯った。 古書店『無窮堂』の外灯だ。瀬名垣太一は立ち止まり、煙草に火をつけた。 (本文抜粋) 老舗古本屋『無窮堂』の三代目真志喜(ましき)と「せどり屋」として古書界から嫌われていた父親の跡を継ぐ瀬名垣、2人の青年古本屋のお話。 真志喜は着流し姿だったり、古い屋敷に住む池の主が出てきたりするので、時代背景が古めかしい印象を受けるのですが、実はそれほど昔のお話ではないのです。 エッセイでも公言している「ホ○(=同性愛)漫画好き」という、しをんさんの趣向がところどころ散りばめられていますが、深読みしなければ分からない程度。 漫画『動物のお医者さん』のハムテルと二階堂の友情?が好きなアタクシには、何の違和感も感じませんワ。 というか、かなり好きな人間関係です。 そしてアタクシが一番考えさせられた「本の幸せ」について。 故人の遺品である大量の蔵書の処分方法に困った家族。 図書館に寄贈するべきか、古本屋に買い取ってもらうべきなのか? 本にとってどちらが幸せなのか・・・ 古本屋である真志喜の言葉なので、古本屋贔屓なのは否めませんが、とても説得力があるのです。 「本のことを思うなら、図書館への寄贈はやめておいたほうがよろしいかと」 「図書館の蔵書になったら、カバーも函も捨てられてしまいます。無粋な印を押され、書棚に並べられればまだ良いが、下手をするとずっと書庫に納められたままですよ。そしてチャリティーバザーのときに、タダも同然で売りさばかれるのです」 図書館に寄贈されたからといって、より多くの人の目に留まるとも言えない・・・ 図書館の蔵書は文書資料としての役割は果たすかもしれないけれど、その美術的価値(装丁や函の美しさ)は限りなく下がってしまう。 そんなことを真剣に考えてしまいました。 単行本の装丁も素敵なのですが、文庫書き下ろしも気になったので、 文庫版も買ってしまった・・・ たまに着物姿になる店主がおります「古書店 笑琳舎」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書備忘録] カテゴリの最新記事
|
|