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テーマ:日本の古典芸能(27)
カテゴリ:女子映画部
文楽を観に行くようになって、早数年。
今回ようやく分かったことは、「人形の動きが激しく」「義太夫節がテンポのよい会話調(特に若い娘や子供の高い声があること)」でないと、かなりの確率で記憶が飛ぶ「=寝る」ということです。 今回の『一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)』は元ネタが『平家物語』なんで、もろ武家モノなんですなぁ。 ほとんどオッサン(武士)しか出てこない。 娘は玉織姫くらいしか出て来ず、しかもあっけなく殺されちゃうし。 中でも平山というお節介小悪人みたいなヤツがいて、ぶっちゃけコイツがいなければ話は丸く収まったんじゃないか?と思う。(丸く収まってしまっては、事件にもならず題材にもならないんだろうけど) そんな平山の悪事 その1 「初陣の小次郎をそそのかし、一人で敵陣へ殴り込みをさせる。(自分はあとでオイシイとこ取り)」→結果、バカ正直小次郎は命からがら父熊谷直実に助け出される。 その2 「平家側の若(ワカ)敦盛の許嫁玉織姫を横取りしようと、敦盛は自分が殺したから諦めて、オレと結婚しろとせまる。が、逆に仇討ちに遭いそうになり玉織姫を斬りつける。」 女を落とすのに、元彼を殺したから自分にしとけ!って、一番有り得ないパターンでしょ。 巧くやるなら、元彼を失って悲しみに暮れている女のそばで、見守り続ける(そのうちに情が移るのを狙う)っていうのが少女マンガの王道ですわよ。 その3 「熊谷直実が敦盛を押さえ込み、とどめを刺そうとしたところあまりに高貴な上にわが子と同じ年くらいの若者だったので見逃してやろうとしていたのに、『おいおい何を血迷ってんだよ!』とヤジを飛ばす。」→結局敦盛は首を斬られることに。 平山がどうしようもない下種野郎だというのはよく分かりました。 が、敦盛の首が転がったあたりから、アタクシの首も後方へ倒れた(←つまり寝ている)のでその後の展開がイマイチ分からず(´-ω-`) 詳しいあらすじはアタクシの隣でちゃんとご覧になっていた藤紫さまのレポを並行して確認してください(爆) 夫婦が2組と捕えられたオッサンやらが、ああでもないこうでもないと騒いでおったと思いきや、検分のために持ってきた敦盛の首がいつの間にか直実の息子(小次郎)にすり替わっているという。 なぜだ? 「武士道のためにわが子を犠牲にしたあっぱれな直実」という話なのですか? でも、敦盛の首は確かに取っていたわよねぇ。 アタクシにはさっぱり分からず。 っていうか、直実は自分の子供と敦盛を殺しておいて出家すればOKみたいな扱いでいいのか?(少なくとも母親は納得できんだろ?と思うのはアタクシが現代人だからなのか。) 藤紫さま曰く『忠義馬鹿』劇は現代人にはなかなか理解しがたい題材でありますなぁ(笑) 一方、あまりに有名な放火魔「八百屋のお七」の話。 『伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)』は分かりやすいです。 時代物と違って世話物は江戸のワイドショーダイジェスト版みたいな感覚で見られるので、非常に楽しいです。 男女のホレタハレタが話の中心ですからね。(ちゃんとあらすじを知りたい方は同行の藤紫さまレポその2で確認!) 八百屋の一人娘のお七の家も江戸の大火で焼け出されたけれど、避難先の寺にいた美少年吉三郎といつのまにかいい仲に しかし、八百屋の再建のために金を借りた萬屋武兵衛(小面憎い男:お七の父親談。ってw)が娘のお七を借金のかたに嫁に欲しいと言ってきました、さぁ大変。 嫌がる娘を説得する父親の言うことが笑えるくらい必死です。 「お前があいつ(武兵衛)のことを嫌いなのはよく分かっているけれど、この縁談が破談になると家ナシの一文無しで親子ともども路頭に迷わなくてはならない。過去からの悪縁だと思って諦めてくれ。」 「吉三郎はいいところのお姫様が許嫁に決まっているはずなんだし、それを邪魔したら吉三郎は切腹させられるし、相手方の姫様にも恨まれるだろう。自分の身をつねって人の痛みを知るべきだ。」 「もし吉三郎が出家させられて坊主にでもなったら、それを落としたおなごは地獄から鬼が火の車で迎えに来て、地獄の火の中に投げ込まれるわ、相手の男も無間地獄から出て来られないわで一生会えなくなるぞ。おぉ怖い怖い・・・」 懇願からだんだん脅迫じみてきているよ、おとっつぁん。 お七と駆け落ちして切腹させられるどころか、実際吉三郎の命はすでに明日までだったのよね~。 なぜなら、吉の主人が殿から預かった「天国の剣」とかいう大事なものをなくしちゃって、その責任をとって一緒に殉死って(-公- ;)おぃ。 出来の悪い主人を持つと部下の命まで危うい世の中 その剣を実はお七の結婚相手、武兵衛(←なんてやつ)が持っているらしい。 お七の家の丁稚弥作と下女お杉が取り返してやるから、それを吉に渡せば吉の命が助かる♪ でも、夜になると江戸の門が閉められ出入りができなくなって、吉の元に届けられないからどうしよう→そうだ!火事になれば門が開くよね♪(あまりに短絡的じゃないか?) ということで、お七は火の見やぐらに登って半鐘を鳴らすのでした。 火の見やぐら。見たところ2~3mほどの高さを人形(お七)がするすると登っていくあの技。 どんな仕掛けになっているんだ? 足元では武兵衛から剣を奪い取った弥作がお杉に見事なパス。(本当に投げている) 目を見張るアクロバティックな演技です。 アタクシの目も覚めるってもんです(爆) ところで、文楽劇場の近くでこんなポスター及びパンフレットを見たのですが、就職氷河期の昨今こんな就職先はいかがでしょうか? 学歴:中卒以上 年齢:23歳以下 の男子だそうです。(アタクシは年齢と性別でアウトです) ポスターの男子のようにイケメンである必要はないと思われます(笑) っていうか、イケメンの大夫さんや三味線さんがいたらアタクシは寝ないと思います。(人形遣いさんは顔が出る「主遣い」になるまでに数十年かかるので、イケメン主遣いよりもダンディ主遣いを目指すしかありません) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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