|
カテゴリ:カテゴリ未分類
020 パンダを飼った。 僕の故郷はとてもいいところ。夏はそこそこに暑く冬はそれなりに雪も降る、年中暖かくて過ごしやすいというわけではないけれど、四季がはっきりしているので夏になれば海に行くし冬になればかまくらを作る、欲求に答えられるだけの季節を運んでくれる。特に都会というわけでもない。だけどあくせく動く必要も無いんだ。 パンダが逃げた。 名所もある。そこは冬になると枯れ木に雪がまるで花のように積もり、凄く綺麗。それを見に来る人たちもいるけれど、決して世界遺産になるほどじゃない。時間の流れは比較的緩やかで、住んでいる人たちも優しい。優しいと意識する優しさじゃなくて、そこに意識を持っていくと、ああ優しいんだと確認できる優しさ。 パンダが心配だ。 近くに川があって、耳を澄ますと流れが聞こえるのだけれども夜は凄く静かなんだ。川の近くには公園もあって、僕はよくそこで蝉を取った。夏休みの想い出はほとんどここで培われたと思う。たまに帰ってくると、戻りたくなくなってしまうけれども、それは短所であり長所でもあると思うんだ。もし僕が、人生に座り込んでしまったら、そのときは帰ってこようと思う。 パンダが町長の首を持って帰ってきた。 【095】三日分。 自転車を盗まれました、また。 というか毎度毎度鍵をかけ忘れる僕のお茶目痴呆もいい加減どうかしてるのですが、果たしてそれを見計らったように自転車を盗む奴がいるというのはどういうことでしょうか、「鍵かけ忘れたけど盗まれてなくて良かった、こら!僕のどじっ子!」みたいな事あったためしがありません。かけ忘れたが最後ほぼ完%盗まれてます。 いくらなんでも、この飽食の世の中でそんなに自転車に困窮してるわけでもあるまい、考えるに、おそらくは同じ奴による犯行だと思われます。最初は優等生視されるプレッシャーから逃れたくてやったことがいつしか癖になり、メンタルバランスの調整をそれに依存しなければいけないまでになってしまった中学三年生女子(ショートカット)がいるはず。このままでは彼女、どんどんエスカレートし、終いにはマウンテンバイクにまで手をつけ始めるでしょう、そうなる前に僕が彼女の人生の素晴らしさを凄くいろんな側面から教え込まなくてはいけません。僕が彼女を助けなくて誰が助けようか、いや助けない、待ってろ瑤子!好きだ! 男だったら水銀飲ませて終わりです。お大事に。 【088】ピンキーくん 「蜂蜜大好き!お茶目熊ピンキーと!」 「俺の」 「「子供なんでも相談コーナー!」」 「お兄さんお兄さん、今日もホラ、こんなにたくさんのお葉書が来てるよ!みんなありがとうー!」 「えー、みんなどうも有り難う、じゃ、一枚目、HNプリン大好キング 「メールなの!? お兄さん、こんなに山積みのはがき目の前にしてメール読んじゃうんだ!?」 「本名 若林 勝 くん 「ダメだよ! お兄さん本名言っちゃってるよ! しかもHN言った後だから余計にイタイよ! ごめんね若林くん! でも君の友人関係に責任は持てません!」 「からの質問です、えー、近所の猫がにゃーにゃーうるさいのです、なんでですか教えて下さい、あと、ピンキーくんは何ていう種類の熊なんですか? 教えて下さい」 「わ! ホントだね~僕の家の周りにも一杯野良猫いるんだけど、たまにすごぉーくうるさいよ、ねえ、お兄さんなんで~?」 「セックスがしたいからでゲス」 「ゲェー! お兄さんお兄さん!やりすぎだよ!短刀を直に入れすぎだよ! しかも小さく「ゲス」ってしっかりキャラ確立してる辺り抜け目ないネ!」 「あと、ピンキーの種類は「元ヤン」です」 「お兄さんてば!まだ昔の友達とかから未だに電話かかってくるんだから止めてよ! 一応隠してるんだからね!」 「二枚目のお便り、えー、宮崎県 PN フルーツ俺 さんからの質問」 「あ、フルーツ俺くん、アリガトー!」 「コンビニの前で定時にたむろしてる人たちがいますが」 「あー!いるよねー! なんでだろーね~? 僕なんか怖くてコンビニ入れないよー! あの人達は邪魔だねー!」 「ピンキーはその程度の元ヤンです」 「俺の話だったのか! 続いてたのか!」 「尚、定時なのは、バイトの娘をお持ち帰りし、皆で 「今日はこの辺でおしまーい! じゃねー! 良い子のみんなまたね~!!!」 035 ここをリンクしてくれているサイトの中に、たまに「類稀なる文才」だの「新文学のアジテイター」だのといったコメントを付けてくれている所があります。 僕の自慢できる趣味の一つとして、リンクコメントを声高に見る、というものがありそれはご多分に漏れず自分のサイトも大いに含まれ、むしろそっちの方が興味深く見ていたりしますが、上記のようなものを見つけるたびになんと言うか、むずがゆいというか照れくさいというか、無職で宿無しの高架下GUYがある日突然、伊東美咲とウォッカを泡盛で割ったものに玉川紗己子がアフレコしたような別嬪に「マッハ惚れしました」とプロポーズされ、後日「俺のどこが気に入ったの?」と尋ねたところ「経済力」と答えられたような気分というか。 別に褒められる事自体、僕の人生の上でもついぞ無いイベントですから、嬉しくないわけがなくなくないのですが、それがどうにも慣れなくて、特に自分が全く意識してないところを褒められたりすると余りにしなやかな蹴りなもんでガードしたはずが後頭部にクリーンヒットした時のような、もしくは恋人が真犯人だったときのような、ことごとく例えがネガティブな様子からも動揺が窺えるほどです。 褒めて欲しい、とはいうもののやはり褒められ過ぎも体に良くないのかな、と思うことしきり。いや、ホント非常に嬉しいものではあるのですが、僕みたいな駄目人間にトロフィーを与えたところで、ドアストッパーにするぐらいしかできませんからリンクコメントを書くときはどうか分相応なものをお願いします。余りに極上なコメントは過ぎたるものなのです。特に、一行目から嘘を書くようなサイトには。 024 昨年の頑張りが評価され、二回生でありながら一回生の授業をもう一度履修することを教授サイドから切望されている号を取得している僕ですから今日も当然のごとく同級生達が惰眠をむさぼっている所一人早朝出勤。 まずは一限目、中国語。遺伝子工学で山口智充とステルス爆撃機を組み合わせたような鼻を持つザ・フライが得意げに母国語を披露する中僕は半ばメダパニ心地ながらも教授が驚愕するほどの発音を披露。フライは動揺を隠せないように生徒の脳を耳から吸いながら僕に「どこかで中国語習ってましたか?」と問いかけましたが、また全く毅然とした態度で「No,Sir」 フライと生徒はにっこり笑い「今年は頑張りましょうね」はて? ははあ、さては英語がわからなかったんだなこの愚鈍モンスターが、と僕は内心奴をオキシジェンでデストロイしてやりたい気持ちで一杯でしたが単位のこともあるし、娘の顔もちらつくしで二限目。 さて二限目は地理学。教室に行くも誰もいません。時間割で確認しても、教室は間違っていません。これさてはつまりあの教室の入り口で次元が歪んでいて、僕は六十年後核で人類が死滅した未来にタイムスリップしてしまったに違いない。道理で人がいない筈だ。僕はどうする。どうにか生き残りを探さねば僕が最後の人類になってしまう。言うなれば僕が新世紀のアダムだ。イヴはどこだ。新世界を共に創造する伴侶だ。イヴはどこだ! 「教室変わってますよ」 イヴ!? いや違う、俺にはわかる、貴様イヴじゃないな! 正体を現せ! 「あ、僕、地理学の教授のN下です。よろしく」 よろしく~ 064 オリンピック。 だだっ広い床の上で運動神経の異常に発達した赤ん坊がこねる駄々みたいな動きをする角刈りを眺めていた。よく動くなあ。飛ぶなあ。こういう演技は減点制だとはどこかで聞いたことがあるけれど、採点基準がわからない。目の前でこんなことされたらどんなものでも買ってあげたくなる。孫が可愛いってのもあるけどね。 月面宙返りとか、そういう技の凄さはまあわかるけども不思議なのはその技の合間に入る妙な間。散々飛び跳ねた後急に日時計じみた形で止まるのは何。何の合図なんだろう。見てない人には説明しづらい、無理に文章で表現するなら 「俺が頼んだのはバーコードバトラー! 誰がデータック買ってこいっつったよ使えねーな糞婆! そのくせカードはバトラー用ってなんなんだよ嫌がらせかよ! うっせーな! ああ!? ゼリー!? 食べる」 この「食べる」の部分がそう。で、一瞬止まったかと思うとまた起き上がり 「前通るときは足元気をつけろや! 今度コードに足引っ掛けたらぶっ殺すぞ糞婆! ごめんねじゃねーよ! 絶対もうすんな、今後一切前通るな、いいな、おい、いいな。はあ!? ゼリー!? 食べる」 また急に温度が下がる。これも演技の一つなんだろうか。この時の「うちには来てませんけど?」みたいな顔も採点に響くんだろうか。かと思えばまた 「どけよごっつええ感じ見んだよ、向こうにもテレビあんだろ。向こうで見ろよ。いいよいらねーよお茶なんか、うぜーな! テレビ聞こえねーから喋りかけてんじゃねーよ! いいからあっちでテレビ見てろよ糞婆! おばあちゃんもうホントごめん。 068 大阪に帰ってきました。 僕はご存知のとおり非常に繊細なためちょっとした環境の変化にも非常なストレスを感じ所構わず炸糞します。コアラやモグラ、熱帯魚など、見た目に美しいまたは愛らしい生き物であるほどストレスに弱いというのが自然の摂理です。そこで枕が変わっても血尿でお馴染みの僕が一体どれほどのものであるかは言わずもがな。 箸が転がってもその白魚のような指をガタガタと震わせ青ざめた唇を噛み締めることで恐怖に耐え目を固く瞑り身を縮め、薄暗い部屋の隅で窓から差し込む一条の月光だけを頼りに明日の行く末を占いながら所構わず炸糞します。うんこです。うんこの金メダルです。 そんな三菱ふそう製の心臓を持つ僕のプレパラート度胸に実家→大阪の環境変化が与えるストレスは想像を絶するものなのです。前置きが長くなりましたね、ここまで読んだ方はつまりはお前は何が言いたいんだ、と。繊細であることと環境変化が与えるストレスについてはわかったけれどだから何だ、と。苦労の割りに報われないという意味ではハムナプトラの出来もお前の比喩も大差ねーな、そんなのはどうでもいいからさっさと結論に行け、と、そこまで言われておとなしく書けるほど僕は大人じゃありませんよ! もう出てけよ! 僕の部屋から出てけよ! プリンは置いてけ、置いてっても、いい、けど。 クリトレシート カリトレシート 過去ログ より転載 (三村さんの作品) ネットでみつけた面白い文章を教えてくれませんか? 勝手に今日輝いていた日記大賞では面白い日記を探しています! 読者の選ぶ月間ベスト日記に輝いた場合は作者様に賞金25,000円、 日記を教えてくださった方に賞金5000円がでます。 応募、たまにしかこないので、なにとぞ宜しくお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|