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先日、某公共放送でオリオン座の明るい星の一つであるベテルギウスが、遠からず超新星爆発を起こして消滅する可能性が高い、という科学番組を放送していました。
ベテルギウスはオリオン座を形作る大きな四角形の左上隅に位置する一等星です。末期の星らしく鈍く赤く輝いているのですぐわかります。 なぜこれが近いうちに終焉を迎えることが分かるのかというと、最新の精度の高い観測機器による観察の結果であることを紹介していました。 一つにはそのスペクトル。終末を迎える星の典型的な輝きであることがそのスペクトルから読み解くことができるからです。 そして星の形状。わずかに離れた位置から同じ性能の望遠鏡で星を観測すると干渉縞が現れ、その形から星の輪郭が類推できるのです。 これによると、ベテルギウスは球に近い太陽などと比べるとダルマのように球の内側から盛り上がった部分がせり出し、あぶくが複数固まったような状態になっているそうです。 末期を迎えた星は内部からの圧力が限りなく増大し、それが表面の弱い部分から盛り上がって瘤のように突き出してくると考えられています。 やがて、星は最後の時を迎えます。いわゆる超新星爆発です。ガスを宇宙に撒き散らし、何万倍もの輝きを放ちそして消えていきます。 そうです。あのオリオン座が星を一つ失うのです。考えただけでも異様な光景と言わざるを得ません。 天文学者によると超新星爆発を起こしたその輝きは月の何百倍にも達するそうです。ここまで明るいと昼間でも目に見えるでしょう。 実を言うとこれまで観測された超新星と比べると我々からの距離が異様に近いのです。その距離なんと200数十光年。これまで観測された近傍の超新星までの距離がその十倍にもおよびますので宇宙的感覚でいうと目の前の出来事になります。 ところでそんな近くで星が爆発して影響はないのか?という疑問も生じます。星が超新星爆発を起こすと両極から垂直にガンマ線を放射します。もしそれが地球の方向を向いているとかなりの量のガンマ線に曝されることになります。 そこで天文学者もベテルギウスの回転軸を探るべく様々な観測を行なってそれを求めました。それによると我が太陽系から少しずれていてほとんど影響はないという結果になりました。一安心ですね。 地球に三葉虫なる生物が繁栄を極めていた頃の地層からある示唆的な事実が確認されています。ある時代を境に地球表層部に生息していたと思われる三葉虫がぱったり見られなくなったというのです。 それ以降に発見されるのは深海に棲む三葉虫の化石ばかりになるそうです。つまり表層部に棲む三葉虫に何か破滅的な事象が発生し、絶滅したことを示しています。これがひょっとしたら超新星爆発によるガンマ線バーストによるものではないかということです。 何億年も前の話ですので確たる証拠はないのですが、事実であればなんとも恐ろしい話ですね。 超新星爆発それ自体も一大スペクタクルで壮大な宇宙ショーになることでしょう。もし立ち会うことができたらとてもラッキーだと思うのですが、その後のオリオン座を見て何を感じるでしょうか? ぽっかりと穴の開いたような気分になるのか、諸行無常を感じるのか。時空の中ではなんとも儚い我々の存在であることか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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