夕べはめずらしく子どもたちと同じ時間に寝ることにした。
電気を消してもしばらくはおしゃべりしてたけど、「そろそろ寝よっか」と声をかける。
昨晩はやけに暑くって、その後も少しもそもそしてたらバニラが私の手をそっと握ってきた。
「なんか懐かしいね。昔は私、こうやってお母さんの手を握って寝てたよね」とバニラ。
そういえばそうだったね。
赤ちゃんの頃は身体をくっつけて寝たら数秒で夢の世界に行ってくれてたバニラ。
ショコラが大きくなって、バニラと一緒の布団で寝ることが出来なくなっても、手だけはつないで寝てたっけ。
暗闇の中、手をつないで、もう片方の手でバニラのほっぺやおでこを撫でていたら、なんだか隣りに寝ているのがあの頃の・・・2歳くらいのバニラのような気がしてきた。バニラにもその旨告げると「そうお?」って、うれしそうな照れくさそうな声音の返事が返ってくる。
私、ちゃんとあの頃のバニラのこと可愛がってたかな。精一杯愛してたかな。構ってきたかな。
絶対に戻らないあの頃の時間。
「気持ちいいね。お母さん、マッサージ師になればよかったのに」と私におでこを撫でられながらつぶやくバニラ。
それはバニラだからだよ。『お母さん』の手だからだよ。
そういえば私もむかし、『お母さん』に寝ながらおでこを撫でられるのが好きだったなぁ。とっても気持ちよかったなぁ。
いろいろ考えるとなんだか涙が滲んできて。
そしたらバニラが、「なんかこうしてると泣きたくなってくるね。別に悲しいわけでもうれしいわけでもないのに」って。
あれ、バニラもいま同じ気持ちなんだね。
真っ暗闇で密かにぽろぽろ泣いてしまった私。
いつまでもこんなしあわせな親子でいたい。