ブランドを作るのは人の思いなんだと改めて思う
友人にOさんという編集者がいる。 彼は、ある出版社に長らくいたが、 「自分の面白いと思える仕事をしたい!そういう本を作りたい!」と、 昨年だろうか、フリーになった。 そしてその後、ここならやりたい仕事、面白いと思える仕事ができる! と思えたと言って、ある設立間もない出版社Mに入った。 そのOさんが編集に携わった本が出版されるという。 かなりワクワクして、その本の案内を待っていた私。 しかし、その本は、いわゆるビジネス書、 「成功本(成功した会社の本)」であった。。。。 「なんら問題でも?」とこれを読んでる人は思うかもしれないけれど、 私的には、ビジネス書って、聞いただけでなんか買う気をなくす。 ビジネス的には当たり前のことだとは思うけれど、 「当たり前を疑う」という学問に従事している身としては、 「成功本」「自伝本」(及び経営系の本の多く)は、 ビジネスの拡大と金銭的な成功を、 全く疑うことなく「成功」の定義として自明視していることへの疑問と、 さらに「俺ってすげ~だろ~」的な自己顕示を感じてしまうため、 私があまり手を出さない分野。 「成功本」は、毎年毎年たくさん出ているけれど、 会社が変わるだけで内容ほとんど同じじゃん。 はっきり言って、知的刺激がないので読んだとしてもポイ捨て。 (でもこれって皆そうなんだと思う。明らかに「成功本」は ブックオフでの平積み率と100円率が高いもん) そんなわけで、いくら友人Oさんが編集したといってもな~、 買ってあげたいけど、成功本に何千円か出すなら、 ほかに買いたい本いくらでもあるし・・・、 という思いと、 でも、Oさんが夢を持って入った会社とはいえ、 そこは設立間もない弱小出版社M。 「ま、やっぱり経営的にはそういう本にも手を出さないと やっていけないんだろうな~」という推測もあり、 だったらやっぱり買ってあげないと! という気持ちもあり。 買おうかな、どうしようかな~~、と思っていた。 で、ここからが、やっと本題なのだが!!!! 先日、彼が、日記に「その本を読んだ本屋さんから来た感想文」(*)を アップしており、 それを読んで、私は「ああ、この本、やっぱり買おう!」と思った。 そう思ったのは、その感想が「この本の内容はとてもいい」 というものだったからではない。 本の内容如何ではなくて、感想に 「この会社の本を、出版社M(ひいてはOさん)が出すという 理由がわかった!」 と書いてあったからだ。 ああ、この会社(出版社M)は、今、 着実にブランドを築いていっているのだなあ、と感じた。 商品に込められた「思い」は、商品が直接語りかけるものではない。 しかし、そこにあるものは、やっぱり「伝わる」のだ。 そして、いくつもの商品を貫いている「思い」や「こだわり」も、 やっぱり何を言わなくても、伝わっていくのだと思う。 ブランドを作ることは、最初はビジネス的には厳しいかもしれない。 けれど、私としては、ブランドを築いていってほしいと思う。 M社から出ている本であれば、絶対面白いから買おう! と、私がパブロフの犬的に思うようになるまで。 応援してます! てことで、皆様、『謎の会社、世界を変える』ミシマ社 買ってね。 (感想文は内容も褒めてたよ!!!いわゆるビジネス書と毛色を異にするらしいっす)