安部公房(の作品)の想い出・・・(+。+)
いつも、ご訪問・応援ありがとうございます。 大正13年生まれ。父は、満州医科大学(現:中国医科大学)の医師。昭和18年、戦時下の為繰上卒業し、東京帝国大学(東大)医学部入学。「次は理科系が徴兵される番だ」と感じた事と「敗戦が近い」という噂を耳にして大学に届けも出さず満州に戻る。実家の開業医を手伝いをしている時に終戦を迎える。同年冬、発疹チフスが大流行して、診療にあたっていた父が感染して死亡。敗戦で、家を追われながらも、サイダーなどを密造して糊口をしのぐ。昭和23年、友人の代返のおかげで、東大医学部を卒業するが、医師国家試験は受験しなかった。 (長谷川敏雄教授による卒業口答試験では 人間の妊娠月数を二年です、と答えるなど ひどいものだったが、結局医者にならないことを 条件に卒業単位を与えられた。)という遍歴を持つ作家が安部公房です。最初にこの作家の作品に出会ったのは、高校1年の時に、友人から借りた 新潮文庫:安部公房「壁」です。「壁-S・カルマ氏の犯罪」は第25回(昭和26年度上半期) 芥川賞を受賞この作品は、「芥川賞歴代ベストセラー」のNo.1 ここ参照!との事です。何だかよくわからない作品・・・という読後感を抱きながらも次々と安部作品を読み漁るうち、すっかり虜になっておりました。図書館や、古本屋などを回りながら既刊の主な作品をすべて読み終えた頃、私が安部ファンになって初めての書き下ろし作品が1977年(昭和52年)暮れに新潮社から発売されました。タイトルは・・・「密会」です。当時高校3年生の私にとってこれ以上無いほどの、" 怪しげ " かつ " 淫靡 "な響きでした。本の値段は、 1100円 手が出ませんでした。時は流れて、昭和53年7月。3月に高校を卒業したものの高望みした大学受験に失敗し宅浪生活を送っていた私に新潮社から【新潮現代文学 全80巻】発刊という素敵なお知らせが舞い込みました。しかも、その第一回配本が、「安部公房:砂の女/密会」というナイスな組み合わせ。「砂の女」も図書館で読んだだけでしたので、このビッグな組み合わせ(税込1240円)は、お買得!今から思えば、この頃から我が家の家計は「火の車にターボエンジン搭載」したほどの危機的状況にありました。記憶に有るだけでも、昭和40年(当時小学校にあがる前)昭和45年(大阪万博の頃)の「我が家の2大恐慌」が有り、そういう時期には怖そうな黒づくめのお兄さん方が土足で家に上がり込みテレビなどの金目のもの一切合財を持って行くのは「年中行事」のような日々でした。 この日記参照そして、この昭和53年から翌年にかけて、「我が家の最後の大恐慌」に突入していきます。結局、親父は家を追われるようにその後数年間、音信不通になってしまいます。そんな時に発売された「新潮現代文学:全80巻」は、到底、" 全巻買い揃える! "などという野望を抱くまでも無く、購入をあきらめる事になります。数日後、机の上に置いてあった「新潮現代文学」のチラシを見たのでしょうか・・・オカンが、なけなしの500円札を3枚私にくれました。家計の事よりも、己の欲求が優先した私は本屋さんで、念願の「密会」を手に入れました。最近、発掘した本の山の中からその時の「新潮現代文学 安部公房 砂の女/密会」をみつけました。その本を入手した時の事が蘇り、感慨深いものがありました。あの時の「500円札3枚」に報いる為にも、道を見失わず、まだまだ奮闘せねばなりません。 “ 硫酸紙 ” もまばゆい「砂の女/密会」そして、後に古本屋さんで入手した「密会(初版)」が、これです。 安部公房は、私が33歳の誕生日を迎えた平成5年1月22日に他界しました。 (文中敬称略) ☆★☆ 初めて訪れて頂いた方、最近読み始めた方・・・へ ★☆★ 「はじめにお読み下さい~Read Me」のページを作成しました。 是非、ご一読下さい。⇒【はじめにお読み下さい・・・Read Me】 【はじめにお読み下さい・・・Read Me (2)】 【はじめにお読み下さい・・・Read Me (3)】 ※携帯電話画面からは閲覧できないようです。(TへT) またのお越しをお待ちしております。