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カテゴリ:軍人の妻として
ゆっくり話す時間もなく さよならの日が近づいていく 何かあったときの遺言書には しっかりと私、姫、そして息子の名前が刻まれていた 数日前に息子は担任に 「今日ステップファザー(義理父)は家にいるの?」 と聞かれた。 息子は義理父という意味をしらない。 あえて、私の元夫のことを話すならば、 「僕の前のお父さん」 もしくは 彼のことを名前で呼ぶ 決して「パパ」とは もう呼ばない 息子にとって パパ=ダーリン つまり 私の旦那である 「ステップファザー」という言葉を 初めて耳にした息子は 「ママ、僕にはステップファザーがいるの?」 と聞いてきた それを聞いたダーリンは 「ステップファザーはいないよ。だってパパが君の本当のパパでしょ」 息子は嬉しそうに大きく頷いた 私と出会った2年前のダーリンは独身だった 私と出会ったことで 私の息子の父親になった そして数ヵ月後 私たちの間には 娘が生まれ 来年は 3人の父親になる 男の人って女の人より 成長が遅い だから、急に扶養家族が3人になり ダーリン独身時代と比べると 人生が変わった ダーリンは必死になって 父親になろうと たくさん息子に愛情をそそいでくれた そして イラク行きを息子に言う日が来た 「大切なお話があるんだよ....」 何も知らない息子は、イラクでダーリンがかぶるヘルメットを うれしそうに自分の頭にのせていた 「パパ、お仕事でイラクに行く事になった」 息子の体が一瞬氷ついたように固まった。 大きな瞳に、涙がこみあげてくる でもその涙がこぼれないうちに、ダーリンは言った 「パパがいない間、ママと姫を守ってね!」 息子は大きく頷いた 「うん!絶対約束する」 6歳の息子はイラクがどういう状況なのか 説明しなくてもわかっている 「じゃあ、パパはいつ帰ってくるの?」 小さな手をいっぱいにひろげて このくらい?と10本の指を出した ダーリン「10がいっぱいだよ」 息子「じゃあ、100?」 ダーリン「もっとだなぁ。赤ちゃんが生まれてからだね」 息子「パパ、じゃあ、ハロウィンは?クリスマスは?」 ダーリン「ごめんね。一緒にできないね」 息子「パパはイラクで死ぬの?」 「どうして僕の友達のパパはいかないのに...」 違うの。パパはスーパーヒーローだから 困っている人を助けに行くんだよ だから絶対帰ってくるからね! そう言った私の顔は 涙でぐちゃぐちゃだったかもしれない でも、大丈夫 私のダーリンはヒーローで 不死身だから 必ず帰ってくる その夜、寝る前に 息子が言った 「Good night best papa!!」 泣かないでがんばった息子 でも、私の耳元でそっと言った 「さよならの日はきっと泣いちゃうけど...」 いいんだよ。息子。よく頑張った ★ ★ ★ ★ ★ さよならの日が近づくにつれ、 寝る前に大量のお酒を飲み ベッドへ倒れこみ 眠りにつくダーリン 酔わなくちゃ寝れないよね... 普段はいびきもかかないし 全く動かないほど 寝相が良い人なのに 数日は何度も寝返りをうつ できることなら 全てを失ってもいいから ダーリンをイラクに行かせたくない できることなら 私がかわってあげたい ブッシュさん 私たち、軍人、家族の 心の痛み、わかりますか? さよならの日まで後4日 それでも妻である私は 大切な人を 送り出さなければなりません ★イラクの人々 そして派遣されている 多くの軍人さん、報道関係者が一部の人たちの争いやテロに 巻き込まれませんように... 一日でも早くの多国籍軍の撤退と イラクに平和が訪れますように... お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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