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  買ってみたよ　Canon　Pixus　MX８８３

  自宅でも仕事できるように、プリンターを新調しました。とにかく、ADF（原稿自動送り機能）付きのものってことで・・・▽これ、イイ！★全品ポイント5倍＆送料無料★7/18(月)23:59まで ※要エントリー【送料無料】キヤノン PIXUS MX883 ［4894B001］【在庫目安:あり】すごく快適です～毎年、この時期に大量に処理が必要な書類があって、twain対応の処理ソフトと連動させるために購入。純粋にADF＆PDF化の機能としては、Scansnapが速いんですけど、使いたいデータ処理ソフトがtwain対応でないとダメってことで、これを選びました。2万5000円で印刷、コピー、スキャナ、FAXもつくと・・・そんな安くていいんですか？？あくまで自宅用なら十分です。あえて難点を言うと、重くてデカい。まぁ・・・以前使ってたMP640より大きいです。それと、頻繁に猫が上に乗りたがるので（汗）、上部の耐久性が気になります。^-^;なお、ヒュー太は初めて見るADFの動き（紙が吸い込まれて、出てくる）に、ずーっと「ほぁぁぁあ！」（=○△○=）って顔をしていました。（笑）

  2011/07/16

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  子猫の成長っぷり

  生後1か月と2日の時のヒュー太。既に、あんよが太かです・・・('▽';) 先日アップした写真▽の、7日後なんですよ。たった7日でずいぶんお兄ちゃんぽくなってます。子猫の成長は本当に早いんですね！ にほんブログ村

  2011/07/10

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  一句

  ちょっと仕事が立て込んで皆様の所に行けませんでしたが、週末には落ち着きそうです。毛玉ヒュー太は主に廊下に棲息中。涼しいんでしょうね・・・＾－＾本日の一句。板廊下（いたろうか）残るぬくもり猫の跡にほんブログ村

  2011/07/07

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  「見てただけだもん！」

  廊下に、破壊されたオヤツの箱が！犯人は・・・お前か！「にゃっ・・・」「ヒュー太食べてないもん！見てただけだもん！」▽（今日は）食い破ってない 「抱っこしてると、しあわせなんにょ・・・」 ～～～～～～～～～～～～今日も暑かったですね！なのに9時まで残業って・・・滅多にない事ですが、今日はキツい日でした。体の中に熱がこもると、本当に頭がクラクラしたり、「鼻血出そう」みたいな気持ちになるんですね～皆様も、屋内や車中での熱中症に気を付けてくださいね！にほんブログ村

  2011/06/29

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  天空の黒　大地の白（5-61）獅子の牙(1)

  陸軍参謀総長にしてマインツ防衛の要石であるアルブレヒト――彼の率いる軍勢が、フライハルトに帰還した。ユベールは女王の体を支えながら単騎街道に馬を進め、行軍する兵士達の前面に躍り出た。午後の陽光を浴びて、縦隊を組んだ騎兵たちの雄姿が艶（あで）やかに映える。短銃と白銀のサーベルで武装した様は千軍万馬の威容、騎上で誇らかに揺れる房飾り。まさしくフライハルト第一の軍と呼ぶにふさわしい。レティシアの姿を認めたのか号令と共に、天に向け一斉に、高々と戦旗が掲げられた。彼らは女王から十数ヤードの地点で行軍を停止する。隊列の奥から黒衣の騎影が現れ、十騎余りがそれに続く。その中に懐かしいティアナの姿も見て取れた。先頭に立つ指揮官――黒獅子の騎士その人が、女王の前へと進み出て下馬する。ユベールも馬を降り、自分の足では動けぬレティシアを抱きかかえた。「・・・アルブレヒト・・・！」歩み寄った忠臣に向かって、レティシアの腕が伸びる。「陛下・・・」女王の腕がアルブレヒトの首に回り、彼女の体がユベールから黒獅子の騎士へと受け渡される。アルブレヒトの力強い腕がレティシアをしっかりと抱き上げ、その額に恭順な口づけを落とす・・・その全てが自然で美しく、彼らを包む空間は、かくあるべく生み出されたかのよう。レティシアは緊張が解けたせいか、彼の腕の中で意識を失ったように動かない。アルブレヒトの淡い灰色の瞳が、険しく細められた。「陛下・・・お怪我をなさっているのか。」この言葉は、ユベールに向けられたものだ。「銃弾でかすり傷を・・・応急的な処置はしましたが、まだ微量の出血が。」ふとユベールの脳裏に一つの疑問が浮かんだ。アルブレヒトの軍が帰還することを、なぜレティシアは自分に告げなかったのだろう。「早馬を出し、医師団に待機させよ。」黒獅子の騎士は傍らの兵士に命じるとユベールに背を向け、そのままレティシアを連れて隊列へと戻っていく。「・・・アルブレヒト様！」後を追うユベールの前に、一人の男が進み出て制止する。「ローレンツ大尉、貴殿には詮議したき件がある。」「・・・フォルクマール殿！」レティシアに仕える騎士の副首座、フォルクマール。ユベールと共に公爵に囚われていた彼が、既にアルブレヒトと合流していたのか。否、それだけではない。兵士たちが軍属でもない彼の指示に従ってユベールを取り囲む。物言いたげなティアナが、その瞳を伏せて沈黙を貫いている。「どういうことです。詮議とは・・・！」ただならぬ気配にユベールが周囲へ視線を走らせる。その動きを引き金に、十数騎の兵士たちが構えた銃口が一斉にユベールへと向けられた。「抵抗は御身のためにならない。我々に同行していただこう。」 ←ポチっとご支援お願いいたします～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～＊作者のつぶやき＊・・・・あの・・・・すみません。orzさて、この先なんですが更新に少し時間がかかると思います。一週間か、一か月か・・・その間、通常の記事は更新しますので、よろしくお願いします。(^-^;)

  2011/06/27

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  天空の黒　大地の白（5-60）ユベール、単騎行(6)

  フライハルトの宮廷では、宰相の補佐を務めるマルセルが資料の束を手に、忙（せわ）しく走り回っている。グストーが王宮に戻ったと知らせを受けて、彼は最大限の速度で宰相執務室に足を運んだ。「・・・なるほど。多少の猶予はあるか。しかし・・・」マルセルが手渡した紙束に目を通しながら呟くグストーの声には、苛立ちがにじみ出る。原因は、女王の身柄をいまだに確保できないことだった。車軸の破損は不運であったが、ユベールがレティシアの消耗を理由に現地に留まったことは許しがたい・・・（ローレンツのこせがれめ、甘いことを。）女王の状態がどうであれ、彼女を迅速に宮廷へ戻すことこそ肝要なのだ。もっとも、マルセルが調べをつけた情報は良い知らせであった。オーストリアからの派遣使節は皇帝の直属でなく、実弟カール大公に縁のある者らしい。干渉の首謀者がカール大公であるならば、いくら彼がオーストリア陸軍元帥であれ、フライハルトへの軍事介入には兄帝の許可が必要となる。そして皇帝は外交において敏速な性質ではなかった・・・当初の予測よりも時間的な余裕は見込めるだろう。マルセルの報告書には使節の経歴はむろん、交友関係や食の好みまで詳細に記されている。「使節殿の歓待準備はお前に任せるぞ、マルセル。王属の五個連隊には改めて通達を。陛下はお戻り次第、北方掌握に乗り出されると。」「はい！」マルセル青年は言外にグストーが自分を認めてくれたのだと悟り、顔を上気させ退出した。その頃、休息を取り終えた竜騎兵隊は行軍を再開していた。「もう、あと僅かです。」前方を行くユベールがレティシアを振り返って声をかける。彼女は忠実な竜騎兵隊長に向かって頷き返した。考えてみれば苦境であるのに変わりはないが、一層深まったユベールへの信頼が彼女の心を軽くしていた。3年前、彼は自分が導いてやらねばならぬ若者だった。だが今、馬を駆る彼の背に感じるのは、苦悩を忘れるため彼にすがった頃とは異質の想い。彼女の胸に将来への希望が宿った、その時であった・・・兵士たちを半円状に取り囲むようにして、前方から幾発もの銃声が木霊した。数頭の軍馬が被弾したのか、いななきと共に倒れ、兵を乗せたまま暴走するものもある。「レティシア様っ！」ユベールの目前で女王が落馬し、その上に青鹿毛の馬体が崩れ落ちて彼女の左足を巻き込んだ。「・・・！」声にもならぬ激痛に喘ぐレティシアを、下馬したユベールが身を挺して守ろうとする。竜騎兵たちが応射するが、敵の姿が見えない。「早く、陛下を安全な場所へ！」にわかに戦場となった木立の陰から兵士の一人が叫ぶ。ユベールは周囲を見渡し、女王を抱えて自らの馬にまたがると、前方左手へと突進した。行く先には急な傾斜角度をもった斜面が続いている。通常ならば、その斜角を人ひとり抱えて降りようなどとは思わない。だが、これまでもユベールを救ってきた戦場での本能が、越えよと命じていた。「行け！」一瞬、躊躇を見せた馬がユベールの強い意志に突き動かされ、恐れを忘れて駆け抜けた。レティシア達は知るよしもない、彼女を襲撃したのは土地の民であった。女王を目に留めた少女が喜びのあまり人々に伝えたのを、彼らは好意的には受け取らなかったのである。レティシアが公爵への締め付けを強化する結果、公爵とその一派は軍資金を得るため凌奪を繰り返し、騎士たちによる取り締まりも追いつかない。一部の民の憎悪が彼女に向き、むしろ女王を捕えて公爵派の諸侯にすり寄ろうとする者が現れるのも、自然の成り行きであった。そのような事情は知らず、ユベールはただ一騎で活路を見出そうと森をさまよった。最初の銃撃時、流れ弾に当たったのだろう、鮮血をにじませるレティシアの脇腹には応急処置をほどこした。幸運にも左足は骨折をまぬがれたようだが、ひどい痛みに歩くことはできない。「レティシア様・・・お許しください。私の判断が誤っていました。」昨晩、無理をしても宮廷へ向かっていれば・・・後悔して幾度も詫びるユベールに、馬上でレティシアは微笑みを作る。「・・・誰にも分からないことよ。昨夜発ったとしても、検問で捕えられていたかも知れない。少なくとも今は、ちゃんと自由だわ。」「しかし・・・」「・・・あの時の方が・・・ずっと、痛かった・・・・」撃たれたショックからか、レティシアの言葉が時おり虚ろになる。彼女は幼いころ、王宮のバルコニーから転落したことを思い返しているようだ。あの時は、体がバラバラになるような激痛に何日も耐え続けねばならなかった。それも大切な人々と引き離されて、たった一人で・・・「・・・・アル・・・・」ユベールに寄りかかる彼女の重みが増した。レティシアが意識を失いかけている。「陛下、もうじきです。あと少しで森を抜けられる。」抜けたところで安全の保障はないが、彼は懸命に声をかけ続けた。視界をすっぽりと覆っていた緑の木々に、かすかな空色の裂け目が生じた。やがて縦に延びた裂け目が左右にも広がり、その奥にゆるやかな牧草地帯が見え始める。若草色の丘陵の足もとには曲線を描いた道が続き、フライハルトの王都へと繋がっている。のどかにすら見える光景の先に小さな黒い影が現れ、徐々に大きくなっていく。戦場に親しんだユベールには、それが整然と列をなして行軍する兵士だと分かった。方位からして、公爵派の兵ではないようだ。（では・・・グストーが兵を動かしたのか？）急ぎ遠見筒を取り出して、焦点を合わせる。ユベールは息をのんだ。先頭に立つのは壮麗な騎兵たち。風に揺れてはためくのは、金糸銀糸で織り込まれた王国の旗じるし。それとは別に揚々と掲げられる、ユベールも見知った連隊旗・・・「レティシア様！」夢からさめたユベールが主君の肩を抱き、興奮を隠しきれずに叫んだ。「ご覧ください・・・もう大丈夫。」ユベールの胸に身を預けながら、レティシアが碧い瞳を前方に向ける。「あれはマインツの駐留軍・・・アルブレヒト様の師団です！」 ←ポチっとしてもらえると嬉しいです

  2011/06/25

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  レイアウト変更（期間限定？）

  トップページのデザインを、ばばんと変えてみました。ぶっちゃけ自己満足企画です。一度でいいから、巨大な縦長ボタンを使ってみたかったんですよ～今回使い勝手は度外視です。すみません。テーブルタグと色々格闘して、結局このデザインに落ち着きました。少したら、横長の使いやすいものに変更すると思います。それまでお付き合い下さいませ。にほんブログ村

  2011/06/24

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  ちっちゃいヒュー太

  ヒュー太が小さかった頃・・・ブリーダーさんが送ってくれた写真です。生後26日！くんにゃりしてる・・・(=´Д｀=)次も同じ日。▽頑張って、ふんばっていますよ！おなかぽんぽん。こんな、ちびはげもぐらのようだったヒュー太が、あっという間に・・・巨大化。世の中驚くことばかりですね。(^▽^；)★小説更新情報★『天空の黒』第五部0章「大罪」リライト。だいぶマイルドになりました。にほんブログ村←よろしかったらお願いします

  2011/06/23

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  更新情報＆アメピグ

  ◇ブログ更新情報◇「愛すべき魔性たち」・・・日記に直リンクだったのをフリーページにまとめました。「Web拍手」・・・お礼画面を更新「リンク集」・・・リンク切れを修正しましたしばらく手を入れてなかったので、あちこちいじってます。トップページも、少しデザイン変えるかもしれません。あれこれ試すので、デザインが狂っていても笑って流してくださいね～（;´▽｀A``～～～～～～～～～～～～～～～～▽アメピグを作ってみました。あぁ、なんか確かに似てるかも。帽子はかぶってないですけどっ。ところでWandering Networkって、休止しちゃったんでしょうか。更新も検索もできなくなってる～ここからお邪魔してたサイトもあるし、うちへのアクセスもここが一番多かったのですが・・・残念！復活を願ってます。◇小説本編は金曜か土曜更新の予定です◇ ←ポチっとしてもらえると嬉しいです

  2011/06/22

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• 義援金代わりに

  今日、宮城県の災害ボランティアセンターのHPを見ていたらば、七ヶ浜町のボラセンさんが、Amazonで「欲しいものリスト」を公開中で、いくつか購入して送らせてもらいました。Amazonで購入・配送できる、各所ボラセンや学校の「欲しいものリスト」はこちらのページ。お米とか土のうとか。つーか、義援金の配分が進まんじゃないかい！ヾ(｡｀Д´｡)ﾉ彡とお怒りの皆様、継続的に物資を送っていきましょう～「楽天たすけ愛」とかもあるけど、タイミングが難しすぎるんだ、これは。文字通り非力な人間としては、今一番ニーズがある泥かきとかできないので…せめてもで、送らせてもらいます。

  2011/06/21

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  天空の黒　大地の白（5-59）ユベール、単騎行(5)

  半刻のち、彼らは見晴らしのきく丘陵に陣取って横隊を組んでいた。既に女王と護衛にあたる竜騎兵は、離れた場所で脱出の準備を整えている。レティシアは馬車や、この時代の女性が用いるような横乗りの鞍は使わず、男物の軍服を身にまとい、豊かな金髪を一つに結（ゆ）わえて馬上の人となった。ユベールはアドルフと共に、歩兵隊の陣頭に立っている。女王救出を果たしたのが褐色の竜騎兵隊長であることは、諸侯に知れ渡っていよう。敢えて目につく場所に身を置けば、彼自身が格好の標的となって敵を引き付けられる。天の助けか、彼らは風上の位置にあった。やがて地鳴りのような砲音が立て続けに、森の入り口で待機するレティシアの耳に響いた。木々の合間から見える丘向こうに、濛々と立ち上がる土色の噴煙で戦闘が始まったのだと知る。戦場が視界に入らないことに、内心彼女は安堵した。ユベールが敵と切り結んでいるところなど、とても直視できないだろう。時おり風に乗って、マスケット銃の放火音が届く。乗り手の心に敏感に反応した青鹿毛の馬を、レティシアは首筋を撫でてなだめた。戦闘は有利に運んでいた。それは装備の差・・・宰相の歩兵隊が持つ42インチ型ブラウン・べスの威力であった。砲門で最初の一撃を加えた後、砂煙の奥から進軍してくる敵兵に一斉射撃を浴びせる。その精度、再装填速度における明らかな優位が、兵数の不足を補っている。歩兵隊長がいう「仕掛け」とは、この事であった。グストーは英国から新式の軍用銃を買い込み、その一方、自領に立ち上げた工房で贋品を作成させていた。一見すると違いは判らないが、銃身とフリントロックの金属純度を落とし、耐久性を下げたものだ。訓練には耐えても、実戦での連射では当り金の変形が真品より早く進み、正常な発射確率が著しく低下する。加えて火薬の配合も調整され、弾の飛距離を抑えている。ジークムント公が武力衝突に備えて軍備拡充している動きをグストーは察知し、流通経路となる武器商人たちへ、これらの品を密かに卸させていたのである。何と抜け目ない悪辣（あくらつ）なやり口であろうとユベールは思ったが、それでレティシアを救えるならば、この場は目をつぶるしかない。「ローレンツ大尉。そろそろ十分でしょう。陛下の元へお急ぎください。」二個大隊規模の敵兵をくぎ付けにしたところで、副官アドルフがユベールに離脱を促す。「分かった。アドルフ・・・撤退の時機を見誤るな。」「ご心配なく。こちとら傭兵時代から引き際は心得てますのでね。」ユベールは頷くと、幾多の戦いを共にしてきた副将に戦場を託し、馬を駆った。「・・・ユベール！」丘の上に現れた騎影が彼であると分かると、女王は喜びを隠さず嘆息した。ユベールは人目に付く竜騎兵の上着を脱ぎ主君に馬を寄せると、すぐさま次の行動へ移る。「戦況は有利に進んでいます。さぁ、参りましょう。」ユベールを先頭に、女王と護衛の兵が続いて騎馬のまま森へ分け入った。大きく枝を伸ばした広葉樹の天蓋。薄暗い地表ではシダの茂みが縦横に根を這わせ、行く者達の足元をあやうくさせる。一行は地元の民が薬草採りに使う小道を辿った。はきとした地図などない土地である。ユベールは幾度もコンパスの針を確かめ、ひたすら南西を目指す。太陽が天頂を過ぎる頃には、どうやら6割がたを踏破した。マイン川の支流でもある見事な翡翠色のせせらぎで、彼らは小休止をとる。レティシアは清浄な流れを手にすくって渇きを癒し、竜騎兵たちも馬を引き連れて、たっぷりと水を含ませてやる。主君の様子を目で追いながら、ユベールはアドルフの言葉を思い起こしていた。ユベールが持たせた黒獅子の騎士宛ての書簡は、ティアナに託したという。何者かが宮廷とアルブレヒトの連絡を阻害しているのは、明白であると・・・（このような時、あの方がいたならば・・・陛下も安んじて王都に戻れるものを。）公爵派の諸侯を鎮圧できるだけの指揮権を、この先誰が振るうのだろう。ユベールの意識がレティシアに注がれていたためか、彼は群生した植物の陰にひそむ小さな気配を見逃していた。あるいは、その気配が敵意とは無縁であったせいかも知れないが。茂みの奥に身を隠し、川辺で憩う人々をじっと見つめるのは年のころ十余りの少女・・・彼女は驚き当惑しながらも、この偶然行き会った金色の髪の女に魅入られていた。軍装をしていても、見まちがうことはない。もう幾年も前、威風に満ちた騎士たちを従えて領内の視察に来ていた。野の花を捧げた自分に、手ずから菓子を食べさせてくれた高貴なひと。（女王さま・・・あの御方は、レティシア様だわ・・・！）△明日への活力（笑）よろしかったら応援おねがいします

  2011/06/19

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  ねこかき

  ペンタブを「Intuos 4」に買い換えました！あ～、本当にフォトショだけでも「鉛筆ツールで下絵描き→着色」できそうです。「Intuos 3」の時は、私の技量だと線画を取り込まなきゃ無理だったんですけど・・・特にフォトショ上では、直感的に思ったところにペン先がいってくれる感じ。(^-^*)写真整理のために「フォトショ・エレメンツ9」を買おうと思い、ついでに評判のいい「４」のペンタブが欲しくなってしまい・・・もう2年くらい、絵を描いてなかったのに～＞＜；バンドルで付いてるバージョンを購入しちゃいました。あ、出費が・・・でもほら、日本経済のためにも。もにょもにょ。。。

  2011/06/18

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  天空の黒　大地の白（5-58）ユベール、単騎行(4)

  一方、舞台は王宮城下の英国使節公邸。机にうつぶせていたバーンズ青年は、床に転がり落ちそうになって目が覚めた。「・・・相変わらず、君は落ち着きが足りないねぇ。」向かいの席に座り、くすみ一つない白手袋で頬杖をついているのは彼の上役カムデンだ。「カムデン様、ひょっとして一晩中そうしておられたんですか？」「ふむ・・・クイーンは危機を脱したかな。」カムデンは卓上に置かれたチェス盤の駒を進めた。緊迫した情勢の中、彼は逐次もたらされる諜報員の報告を受けていたのである。大運河建設という巨大事業の計画をグストーに持ちかけられて以来、彼はこれまで以上にフライハルトの動静に注視している。「公爵はクイーンの包囲網を作り、彼女を閉じこめた。だが、餌におびきよせられたのは公爵の方・・・」カムデンが今度の反逆騒動の裏を言い当てているのは、さすがの老獪な卓見であろう。「女王を救うのは、恐らく褐色のチャリオット。そして・・・」「宰相は。キングですか？」「いいや、あの男は打ち手さ。すべての駒を操り、フライハルトという盤上でソリティアを演じる。少なくとも本人は、そう信じているのだよ。」ふぅ、と息を吐いてバーンズ青年は肩を回し、うたた寝で固まってしまった体をほぐす。「これで大局は決した、というトコでしょうか、カムデン様。」「さぁ、それは早急な結論かも知れんよ、バーンズ君・・・網の外側には有能なナイトが無傷でいる。」「・・・はぁ。」困惑気味の部下に向かって、初老の英国紳士は大層魅力的で酷薄な笑みを作る。「願わくば、あの宰相殿には盤上に上がってほしいねぇ。その方が面白いじゃないか。きっと愉（たの）しいビジネスになる。」＊　　　　　　　　　　　＊　　　　　　　　　　　＊その頃、騒乱の中心となった聖ミハエル大聖堂を擁する司教領の街は、フードの幽鬼ギィ達が内側から制圧を終えていた。彼らは計画のために数か月前から、市民や雑役夫を装った兵士を少しずつ送り込み、王都と行きかう荷車には銃や大筒の部品まで仕込んで、決起の準備を進めていたのである。首魁のジークムント公爵は身柄を確保され、同調した司教と数名の諸侯も拘束されている。しかし公爵の勢力が君臣の形をした統一組織でなく、諸侯の集合体に過ぎないことが、女王にとっては厄介であった。ジークムントを押さえても、反女王派の息を絶やしたわけではない。むしろ残る諸侯は形勢逆転をかけて、レティシアの王都帰還前に強引にでも捕えようと、血道をあげて探索に乗り出しているのだった。午前7時を回る頃、レティシアとユベールの率いる竜騎兵たちは、無事に宰相付きの部隊と合流を果たしていた。戦闘に耐えうる無傷の兵士は四百余名。移動式の砲門が数台。多くはマスケット銃で武装した歩兵である。その陣容からユベールは思案する。南ドイツやイタリアの戦場で得意とした突破作戦は使えない。レティシアを護衛しながらでは、竜騎兵の機動力が活かせないためだ。かといって、正面から撃ち合うには数の面で心もとない。「有効なのは陽動か・・・しかし・・・」彼らの駐留する地点から数マイルの場所に、南北に延びる深い森林地帯がある。歩兵隊を陽動に使って街道を戦場とし、竜騎兵とレティシアは騎馬で森を越える・・・そうすれば敵兵の目をかいくぐって、王都までの距離を一息に縮めることができるだろう。「ですが、囮となる者達の甚大な被害は避けられませんな。」アドルフがユベールの言葉を引き継ぐ。捨て石となった歩兵が屍の山を築く場面を、彼らは幾度も目（ま）の当たりにしてきた。「いえ、我らにお任せいただきたい。」きっぱりとした口調で申し出たのは、壮年の歩兵隊長であった。「何も、命を捨てて英雄になろうというのではありません。実は少々、仕掛けがございまして・・・」～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～★作者のつぶやき★いつもご訪問ありがとうございます。先ほど「にほんブログ村」をチェックしましたら、前回の「ユベール、単騎行（３）」が恋愛小説（純愛）人気記事ランキングで１位になっていました。(^-^*)変動激しいものなんでアレですが、ブログで公開している以上、やっぱりランク入りすることで訪問者さまが増え、その中のお一人でも小説を気に入ってくださったら・・・と思っているので、本当に感謝しております。さて、目次の記載どおり天黒はR-15指定作品なんですけど、理由は性描写というより、暴力的なシーンが時々あること。時間がたって改めて読み返すと、病んでたのか自分、という不要な残虐シーンがある気もします。（笑）今後そういう個所を自分が納得いく描写に変えて、R指定を外そうと思います。さしあたり、第1部4章凶刃をリライトしました。ではでは、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。△よろしかったらポチリと応援おねがいします

  2011/06/17

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  もふっこヒュー太

  久しぶりに我が家のにゃんこ、ヒュー太の写真をアップしてみます。これは、今年の3月。私と一緒に実家に里帰りした時です。 まさかのバッチリカメラ目線。 (´ω｀)まだ冬毛なので、もっふもふになってます。 △こちらは、うちの母にリボン巻かれた。これ、普通のラッピング用リボンですよ。ヒュー太さん・・・相変わらず人間には、されるがまま。 △この表情が、ヒュー太らしい感じ。この翌日、私の家に戻り、次の日地震が来ました。ヒュー太は怖くて、おもらししました。かわいそうに・・・(ノ_

  2011/06/15

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  天空の黒　大地の白（5-57）ユベール、単騎行(3)

  早朝特有の清浄な冷気を感じて、レティシアは身を震わせ目覚めた。肩の位置に、褐色の青年の寝顔がある。「ん・・・っ」声をかける前に気配を察したのか、黄金色の瞳がしばたきユベールは体を起こす。一瞬、隣に横たわる彼女を不思議そうに眺めた後で、さっと顔を紅潮させる。「・・・よく、お休みになれましたか？」「えぇ、数日ぶりに。貴方の腕の具合はどう？」そこへ板張りの廊下がギシギシときしむ音と共に、野太い声が響いた。「ローレンツ大尉、失礼します。」返事を待たず部屋へ入ってきたのは、しばらく顔を見せなかったアドルフ・ギーゼンだ。「大尉・・・お・・・いや、女王陛下、これは失敬を。」寝乱れた毛布を分け合う二人を見て、さしもの彼もきまり悪そうな素振りをみせたが、そこは職業軍人の常として即座に感情を排し本題に入る。本来、ユベールに同行するはずのアドルフが不在だったのは、ユベールの指示でアルブレヒトへの伝令に走っていたからである。彼は女王の前でその事に触れるのを避け、遅参の詫びを簡単に済ませるだけにし、替え馬車の手配ができていることを告げた。「しかし、主要な街道は公爵派の諸侯が私兵を使って封鎖にかかっております。無理に突破せず、味方が一帯を制圧するまで陛下には安全な場所に身を置いていただく方が・・・」「それはできません。」アドルフの言葉を女王がさえぎった。「異変を察してか、じきオーストリアの公使が面会を求めて王都に来訪するのです。私自身が宮廷に戻り謀叛騒ぎを鎮圧しなければ、帝国の盟主の座にかこつけてハプスブルク家が軍事介入してくるかも知れない。」宰相グストーが一旦は大聖堂近くに姿を現しながら引き返した理由は、それであった。計画の変更をレオンハルトに言（こと）づけ、自らは対処のため王都に戻ったことを、ユベールもレティシア救出時に聞いている。身なりを整え剣を佩（は）いたユベールが主君に問う。「宰相殿を護衛してきた大隊が、敵の足止めに残っているはず。位置を確認して合流を打診しましょう。北方の支配権が一時弱まっても、陛下のご帰還を優先しなければ。」「それなら、もう連絡はつけてやった。」窓辺から唐突に上がった声に、一同が振り向く。「ヴァレリー・・・！」イタリア戦線以来ユベールの前から姿を消していた彼女が、相変わらず鳥形のマスクを身に着け、梢にとまるクロサギのように窓枠に腰かけている。「あぁ、報告し忘れましたが、私をここまで案内してきたのも彼女でして。」アドルフが付け加える。そうであった。これほどの重大事に、グストーが配下の者たちに女王から目を離させるはずがない。とすると、昨夜のレティシアと自分の睦言も彼女に監視されていたのだろうか。あれがグストーに筒抜けとなると、後でレティシアが責められないかと気がかりだったが、当の女王は動じた様子もなくい。「それにしても、何故これほど早くオーストリアは動き出したのだろう。」ユベールの呟きにレティシアは顔を上げる。ジークムント公の起こした動乱が即座に伝わったとしても、ウィーンまでの距離と日数を考えると計算が合わないのである。「そうね・・・恐らく伯父の謀叛の件ではなく、バイエルンとの婚儀を嗅ぎ付けて、探りを入れに来たのだと思う。」「陛下の、婚礼を・・・」その時、ユベールは自分にじっと注がれる視線に気づいた。感情を読めぬヴァレリーの目が、マスクにくり抜かれた穴の奥で冷たく光っている。（・・・まさか・・・！）オーストリア・ハプスブルク家にとって、ドイツ諸侯同士が結びついて独自勢力となるのは決して歓迎できない事柄であるはず。ユベールの中で、ようやく符号がかみ合う。彼を後押しして、レティシアが婚約交渉するレジデンツへと向かわせた人物。ティアナに特別な関心を寄せ、狡猾に彼女を惑わせて接触を繰り返した人物。（エルヴィン・フローベルガー・・・そうか、君が・・・）皇帝フランツ2世のため、フライハルトの機密を探り報告していたとすれば納得がいく。今は生死不詳の友が、この国の行く末に大きな波紋を生み出していたのだと。にほんブログ村 ←お気に召しましたら、ポチっと応援よろしくお願いいたします。

  2011/06/14

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• 携帯用の背景を

  だいぶ前に、携帯から見たときのブログ背景が初期化しちゃってるな～と気づいてはいたんですが、今日やっと変更できました。うちの小説は一応、見やすく＆メリハリをめざして台詞が白色系で。携帯で背景色が白いと、「台詞読めんよ」状態。ヾ(`◇')変更の仕方が分からなくて、ずっと放置になってました。携帯から読んでくださった皆様、すみません。とりあえず文字は読めるように変更しました。う～ん、もそっと見やすくしたいのですが・・・。

  2011/06/12

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• 天空の黒　大地の白（5-56）ユベール、単騎行(2)

  ユベールは寝台から跳ね起き、明かりも持たずに廊下へと出た。自らの性急な軍靴の音が、飾り気のない空間に響き渡る。ふと、ゆらめく光が目に入り立ち止まった。暗がりの広がる先に、浮かび上がる光点・・・・カンテラをたずさえた人影。衣服をくつろげもせず、先ほど別れた時の姿のまま。深まる夜気の中で凛としたレティシアのまなざしが、彼を捉えていた。それは張りつめた弦のように、余裕のない脆（もろ）さをはらんでいる。「ユベール・・・」交差する視線の中、先に口を開いたのはレティシアだった。「貴方の言うとおり・・・ジークムント伯父上を繰り返し挑発して、謀叛にまで追い込んだのは私。貴方のフライハルトへの帰還も計画の一部。叔父上が私を糾弾するということも、密偵を通して事前に知れていたわ。」「・・・お認めになるのですね・・・私が酷い不名誉を負うのも承知で、教会へ突入させるために私をここまでお連れになったのですね。」「そうよ。私はフライハルトの女王・・・私が祖国の礎（いしずえ）。その使命を投げ出すなど、自分に許すつもりはありません。この国を守るためなら、策謀でも不実でも通してみせる！」強い語気とうらはらに、彼女の瞳が揺れた。白くたおやかな手が伸び、ユベールの軍衣の袖に触れ・・・そのまま足もとへ崩れ落ちる。「・・・レティシア様・・・・」彼の手の甲に、レティシアの唇が落とされた。かすかに触れた彼女の頬につたう涙の感触・・・だが、それ以上に彼を動揺させたのはレティシアが自分に跪（ひざまず）いている事実だった。「ユベール・・・ユベール・・・・ごめんなさい・・・・」「・・・・っ」彼女が誰かに許しを請う姿など、一度も目にしたことがない。我に返って腰を落とし、彼女の顔を上に向かせる。「誓って、貴方を貶（おとし）めるつもりはなかった・・・貴方のことは、どのような手段をとっても守るつもりだった。」「・・・それが何の慰めになりますか。陛下は、まるで分かっておられない・・・苦しいのは謀略に加担させられたことじゃない。貴女の心が遠いんだ。意図も知らされず結果だけ求められて、手駒のように扱われるのは耐えられない！」「違う・・・！」レティシアはユベールの手をきつく握った。「手駒だなんて思ってない。確かに、本当を隠して貴方を巻き込んだ。でも同行を命じたのは、貴方にしか託せないから・・・今度のことは伯父たちの前にこの身を投げ出す賭けだった。貴方なら万難を排して救い出してくれると信じたから選んだの。貴方になら、私を託せると信じたから・・・」レティシアの訴える瞳は、それが真実だと語っている。形容しがたい胸苦しさに急（せ）き立てられて、ユベールは彼女の頬を撫で額を合わせた。「・・・・卑怯だ、今さら・・・愛しては下さらないのに、そんな風に言われたら私はどうすればいいのです。」彼の苦しげな吐息を鼻先に感じながら、レティシアは目を伏せた。ユベールを愛（いと）しいと思う。彼を傷つけオーストリアへやった後も、愛おしむ気持ちが薄れたわけではなかった。グストーに対して抱く情愛とは異質なそれに、いつも彼女の心は乱される。「ユベール・・・教えて。どうしたら貴方に報いることができる・・・？」至近で感じるユベールの鼓動が、わずかに早まった。長い沈黙。「・・・レティシア様のお心の側にありたい。どのような任務も厭（いと）いません。だから貴女が決断するときは、本心を打ち明けてほしい。私の働きだけでなく、私自身を頼りにしてほしい・・・望みすぎでしょうか。」かつて、レジデンツでレオンハルトは彼に言った。レティシアの真意など知ることは出来ない。だからこそ彼女を信じると。あの強さを、どうしても自分は持ちきれない。君臣よりもっと深いきずなで結ばれていたいと切望してしまう。レティシアの指が、漆黒の髪をいたわるように撫でつける。「分かったわ・・・もう貴方を遠ざけたりしない。」その晩はどうしても離れがたく、二人は居間の暖炉に再び火をともし、床に敷いた毛布の上で横になった。レティシアの肌が揺れる炎に照らされて、淡い橙色に光を放つ。ユベールの両腕が、背後から抱えるように彼女を包み込んでいた。重ねられた手が指をからませ、優しい愛撫となる。ここが敵地でなければ、ユベールは己が求めるがまま彼女を抱いていたかも知れない。だが今は彼女を守り抜きたいという、混ざり気のない純粋な愛情だけが彼を支配していた。「ユベール・・・」腕の中でレティシアが寝返りをうって、彼に体を預ける。「他の皆は無事かしら・・・」「あのギィという人が、随行員の救出にあたっていましたから。」「・・・気がかりなことがあるの。伯父は裁判の席で、おかしな物証を持ち出していた。あの人が入手できるはずないものを。」エグモントの猟銃、遺体所見、グストーの調合記録。その事だけが大きな誤算であった。事態は、計画通りに収まらないのではないか・・・レティシアの胸に漠とした不安が広がっていた。

  2011/06/11

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• 天空の黒　大地の白（5-55）ユベール、単騎行(1)

  「わきまえなさい、ユベール。貴方らしくもない。」レティシアはユベールを打った右手を静かに下ろす。その乱れのない立ち姿に、ユベールの怒りと憤りは一層つのった。「・・・貴女という人は・・・・っ」彼女の狼狽も見せない取り澄ました主君顔が、彼の自尊心を深く傷つけた。その瞬間、過去の苦い想いまでが漆黒の渦となって、彼を追い立てた。「私に、汚い仕事をさせたかったなら・・・」言い訳すら聞かされず、寵愛を失った悲嘆。レジデンツでの絶望。あくまでも君臣で通そうとする彼女に乗じてきた自分の、虚勢が剥落する。「そうしてくれと、お命じになればよかったんだ。陰で狡猾な算段などせずに・・・！」もう愛されていないとしても。「私は・・・貴女との間に真心のつながりがあると、信じていたかった・・・！」「・・・・・っ！」ユベールの右手がレティシアの首の後ろへ回り、力づくで手繰（たぐ）り寄せると唇を重ねていた。目を見開いて抵抗しようとする彼女を無理やりに押さえ込んで、激情のままにさらに深く口づけする。「・・・ベー・・・ル・・・」密着させた肌から、彼女の芳香が散ってユベールを酔わせる。自分が欲しかったのは、これだ。無心の愛撫を続ける彼の腕の中で、ふつりと糸が切れたようにレティシアが抗うのをやめた。からめた舌が逃げるのをやめ、刹那ユベールの征服欲を満たして彼を狂喜させた。しかし・・その顔を覗き込んだ彼は、胸を突かれたように動けなくなってしまった。乱れた金色の髪の下から、かつてあれほど焦がれた碧い瞳が静かなうるみを帯びて、ユベールを見つめている。そのまなざしは愛への応答ではなく、諦めでもなく・・・己を罰しているように見えた。年若い恋人を裏切り傷つけた罰を、甘んじて受けようという顔に見えた。咄嗟にユベールは彼女の体を突き放し、背を向けて冷え切った廊下へ飛び出した。そのまま、よろめきながら自室の扉をくぐり後ろ手に閉める。堰（せ）き止められない感情に喉が締め付けられ、浅い呼吸を繰り返す。「・・・・く・・・・っ」漏れそうになる嗚咽（おえつ）をこらえるので精いっぱいだった。時計の針が幾周回ったのだろうか。月光の角度が随分と傾いた。ユベールは埃っぽい寝台から身を起こし、首を振った。開いた窓へ目を向けても、視界に浮かぶ景色は木々の黒い輪郭ばかりである。・・・頭では分かっているのだ。この脆弱な国を守るためにこそ、彼女は敢えて卑劣な策も弄（ろう）し、自分を利用した。ただ、互いを慈（いつく）しんだ思い出がそれを拒絶したがるのだ。じくじくとした痛みが、流れる血のように絶えることなくあふれて止まらない。（・・・何度繰り返すんだ。あの人に心を乱されて、そのたびに自分を抑えきれず・・・）とうとうレティシア自身に暴挙を働いてしまった。無理強いをした罪悪感は無論ある。だが、中途半端な反逆で逃げ出した後悔の方が強かった。本心をぶつけてしまいたい。今をのがせば外聞のよい主従を装う日々に戻り、彼女は最期まで「女王」の舞台から降りようとはしないだろう。そう思うと矢も楯もたまらなかった。

  2011/06/10

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• 7か月ぶりに

  ごぶさたしています。7か月ぶりの更新になります。(^-^;皆様、お元気でしょうか。昨年末に体調を崩してしまい、新年のご挨拶ないままになっちゃいました。（うぅむ）やっと楽天にログインする時間と気力が回復して、ちょこっと小説を載せておこうと思います。たぶん、金・土で二回分の更新になります。追記：ヒュー太は元気に病気知らずです(^-^)

  2011/06/09

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• 天空の黒　大地の白（5-54）奸計（6）

  街を脱出してしばらくは断続的に響いていた砲音も、今は彼方で聞こえない。幽鬼の統括する部隊も追っ手を食い止めた後で、既に街を離れているのかも知れない。日が傾き、ユベールを乗せた車内も影を帯びてきた。本来は替え馬を使いながら夜通し走って、一刻も早く宮廷に着きたいところだが、フライハルトでおよそ6マイル（10キロ）ごとに設置されている馬車の中継所も、今ジークムント公傘下の土地で使うのは危険である。歯がゆいながら途中で小休止を取りつつ、敵地を抜けるしかない。その時、おもむろに何かが裂ける音と共に、体が宙に浮くほどの激しい振動が起こった。「・・・レティシア様っ」咄嗟（とっさ）に彼は向かい合って座るレティシアの頭を抱きかかえ、衝撃から守ろうとする。「っ・・・！」「ユベール？！」二人分の重力で左肩と手の甲を車体の内壁に打ちつけてしまい、痺れるような痛みが腕に走った。「大丈夫・・・ですが、今のは・・・」砲撃を受けたのかと思ったが、爆発音はしなかった。外が騒がしくなり、竜騎兵の一人が扉を叩いてすっかり恐縮しながら報告する。「申し訳ありません。車軸の一本に亀裂が入ったようで・・・馬車を替えませんと、このままの走向は不可能です。」安全を確信できる地域までは、まだ20マイル近くあった。ユベールはレティシアの顔を見やる・・・先ほど触れた時、彼女の体は熱を帯びていた。普段は遠乗りもこなす女性とはいえ、ここ数日の苛酷な扱いで衰弱している。騎馬での移動は難しいだろう。ユベールは兵の数名を替馬車の調達に向かわせ、その間に休息を取ることにした。彼らは街道から奥まった林の中に人気のない人家を見つけ、仮の休息所に定めた。長いこと無人であったのか、天井のあちこちに雨漏りの染みができている。最もまともな個室は3人がかりで埃を払って毛布を運び入れ、にわか仕立ての女王の寝所になった。居間の暖炉に火がくべられ、使いかけで放置された蝋燭に明かりがともされていく。竜騎兵たちは野営の準備も手馴れたもので、糧食を分け合いながら夕餉のしたくをする。ユベールはシャツの袖をたくし上げ、痛めた左腕を水に浸した布で冷やしていた。イタリアで撃ちぬかれた部位に近いのが災いしたか、思うように力が入らない。やがて夜が更け始め、１時間交替で見回りをする兵士達の靴音以外、静寂が支配していた。ユベールは自分のために用意された個室を出て、居間の木製の椅子に腰掛け、炎がはぜるのを何とはなしに見つめていた。蝶番の軋（きし）む音がして、背後から知った気配が彼に寄り添う。「ユベール、休まないの？」「馬車が届けば深夜であっても出立します。陛下は少しでもお休みになって下さい。」「私は仮眠できたわ。」おかげで随分気分がよくなったと、レティシアは暖炉の前の床に腰を降ろした。彼女が斜めに体を傾け、ユベールの顔を見上げる。その姿に、彼は落ち着かなくなった・・・こんな情景に見覚えがある。あれは夢だったろうか？「腕の具合はどう？あなたには無理をさせてしまった。」その夢の中で彼女は・・・・「おやめ下さい！」反射的に、拒絶の言葉が口をついて出た。声を抑えてはいたが、含んだ棘は隠しようもない。「おやめ下さい、私を・・・いたわるふりは。」「ふりだなんて、」レティシアの言葉に戸惑いが混ざるが、彼はそれを遮（さえぎ）った。「確かに、この怪我は予定外だったでしょう。しかし、それ以外はどうです？」一度口火を切ってしまうと、自分でも制御がきかない。「貴女は大聖堂で変事が起こると知っていたんだ・・・だからあの時、あの前夜に、ギィ・オービニエに従えと私におっしゃったのでしょう。すべては貴女の狡猾な計略だった・・・今ようやく思い当たります。宮廷で機密のはずの人事案が張り出されたのは、貴女が自ら情報を流したんだ。」公爵傘下の貴族達を、政治の中枢から駆逐する過激な人事案。それが“露見”したことによって、公爵らの憎悪と焦燥は加速度的に増し、彼らに最後の一線を越えさせた・・・女王の監禁と王室裁判という実質上の謀反を起こさせたのだ。「貴女はジークムント公を処断する正当な理由を欲しがっていた。」共和化した隣国フランスの絶大なる軍事力を前にして、フライハルト国内の統一を固めるために。ユベールの瞳が、険（けわ）しく歪む。「そして真実を隠し、私に加担させた・・・」レティシアの肩を掴み立ち上がらせる、その手が荒々しくなる。彼女は初めから、自分に大聖堂を襲撃させるつもりだったのだ・・・前王の血を分けた弟、高位の王位継承者であるジークムントを力ずくで取り押さえるなど、生粋のフライハルト人ならば誰もが躊躇する。まして並の信仰と良識があれば、神の家を軍靴で穢すようなことが出来るはずもない。もし大聖堂で血を流し、それがローマ法王に伝われば破門・・・フライハルトは無論、全世界のカトリック国での社会的な“死”に直結するからだ。だからこそジークムントは、軍事力の及ばない大聖堂を選び、レティシアはそれを逆手にとった。無血で終われば、祖国防衛の英雄による救出劇。犠牲が出れば、一軍人による暴走で片が付く・・・「貴女は私を利用したんだ・・・私が貴女を決して見捨てられないと、知っていたから。私の想いを利用して・・・よくもそんな無情なことを。死力を尽くしてイタリアで闘ったのは、貴女と国を守るためだった、その報いがこれか！」鋭く乾いた音が弾（はじ）け、ユベールの頬に痺れが走った。（つづく）~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~*作者のつぶやき*・・・ユベール、ぶたれた。（汗）彼とレティシアが正面切って衝突するのは初めてかも知れません。この先のプロットは随分前から（このブログを始める前から）出来上がってるのですが、果たしてその通り進行してくれるか・・・作者も二人を見守りたいと思います。

  2010/11/14

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• 小塚君も美姫ちゃんも強い！

  今週も休日出勤の罠。('-';)でも今日は休みとれたので、小説書きつつ、フィギュアの録画を見つつ。フィギュアスケートも、GOE＆PCS爆上げ人間がいないと爽快に見れますね。（カナダ大会は、もはや競技として成立してないし。）いえ、今週は小塚君、美姫ちゃん大活躍でした。美姫ちゃんのSPは、トータルとして断然良かった気がするんだけどなぁ。格が違うというか。う～ん、足りませんでしたかね、ジャンプのアンダーローテ。^ ^;ショート3位だったのは、スピン２つでレベル取れなかったのもあるようですね。（キャメル→レベル２、レイバック→レベル１）フリーの演義は素晴らしかったです。後半にジャンプ５つと最初に聞いた時は、「や、やめてぇぇ無理しないでぇぇ」とかビビリましたけど、見事に成功させ・・・テレビの前で、うっかり涙目に。そしてジュベールの上半身の硬さにも涙が・・・（笑）でもでも、期待してます、復活を。ベルネルさんはフリー2回転が多かったけど、ジャンプで絶対失敗せずに最後まで気力をもたせる作戦？今年のグランプリ・シリーズはペア、アイスダンスで昨年までの上位陣にかなり引退、欠場があって、スカスカ。アイスダンスのチャーリーが、やたら大人の色気（？）を出してるのが気になります。ほんと、精悍になったような。昨年はまだ「人のいいお兄さん」風でしたけれど。ベルビンとは、まだお付きあい中なんでしょうか？（情報に疎くて）オリンピックが終わっても一部選手に対する意味不明な爆上げ現象が続いていて、見る側としては、「もぉISUとジャッジは勝手に競技ごっこやっててよ、私はビタ一文払わんよ」という気持ちですが（世界選手権もチケットは取りません）、その他多くの誠実な選手たちがモチベーション維持して戦ってる様子には、頭が下がります。これからも応援してます。(^-^)

  2010/11/07

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• そうか、台風のせいか！

  コーヒー飲んだら眠れなくなってしまい。（当然じゃ）深夜のつぶやきです。ここ二日で小説2回分更新できて満足、と思っていたけれど、これって台風の影響もあるかも知れません。久々に昔の記事を見返してみたら、3年前の日記に、「台風が来たから絵が描きたくなった」なんて書いてますね、私。一時期は日課のように描いてたイラストも、よく考えてみたらここ1年半ほとんど描いてません。引っ越しして生活変わってから、だなぁ。^ ^;自分の場合、創作意欲が高くなるのは、台風の時や自分に落ち着きがない時みたいです。目の前にやるべき仕事がきっちりあって、ある意味迷いがなくなってしまうと駄目なんですね。うぅ～ん、でもまた小説も書きたいよ。（ともかく仕上げたいよ。）毎日台風が来てくれると嬉しいなぁ。追記：ヒュー太（ネコ）は元気です。

  2010/10/31

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• 天空の黒　大地の白（5-53）奸計（5）

  「殿下、共に来ていただきましょう。」さすがに王族に縄をかけることは、ためらわれる。自分を奥回廊にひきたてるユベールを無視して、ジークムントは姪に向かって吐き捨てる。「儂を捕らえたところで、レティシア、そなたの侍女が証言した事実は変わらぬぞ。」諸侯だけでなく司教も、グストーに対する告発を耳にしているのだ。足早に先導する護衛兵たちの背を追いながら、レティシアはふとイルゼの事を思った。忠実な彼女が、独断で偽証をするなど・・・「レティシア様・・・っ！」回廊の先から興奮を抑えた呼び声があがった。気の良いレオンハルトが、女主人の無事に感激して駆け寄ってくるところであった。「よかった、本当によかった、レティシア様・・・」人目もはばからず抱きすくめられて、彼女はよろめかないよう気を配るのに精一杯だ。大柄な体に挟まれて息苦しいが、レティシアの口元も安堵の笑みでほころぶ。ユベールはレオの背後にいるフードの幽鬼、ギィと言葉を交わす。「ローレンツ大尉、発砲音が聞こえましたが。」「天幕を撃ったんだ。壁に弾痕が残っているかも知れない。」「痕跡はこちらで処理しておきましょう。公爵の身柄も任せていただきます。」ギィは女王の前に進み出て、封書を手渡す。「グストーから・・・？」この奇怪な風体の男とレティシアが多くを語らずとも通じ合っている様子を見て、レオはふてくされている。「やれやれ、マスターだけでなく陛下まで秘密主義とは。俺がこの人を知ったのは、ほんの数日前だっていうのに。」ギィは意に介せず、グストーの代理人として粛々と指示を出していく。「ローレンツ大尉には女王陛下を王都までお連れいただきたい。我らで市街の東門と南門は確保したが、公爵の勢力圏を抜けるまで危険な状況に変わりはない。くれぐれも油断召されるな。」幽鬼の枯れた声に、ユベールは同意のうなずきを返す。諸侯も公爵に加担して王室裁判まで起こした以上、兵を挙げ捨て身でジークムントとレティシアの奪還を果たさなければ、反逆者の烙印を押されるのみだ。否、彼らはもはやジークムントの生死すら問わないかも知れない。（内戦が始まる・・・このフライハルトで・・・）額に薄く汗がにじむ。ともかく、今は一刻も早くレティシアを王宮に送り届け、彼女が統帥権を行使できる態勢を取らねばならない。* * *それから半刻後、30騎ほどの竜騎兵に護られた一台の馬車が、東門をくぐり抜け一路王都へと疾駆していた。四頭引きの馬車の中には、レティシアと彼女を警護するユベール。周囲を固めるのは彼の麾下、今回の行幸に同行を許されたザンクトブルクの精鋭兵である。脱出の際に市街で小競り合いはあったものの、その後は敵兵に見とがめられることもなく街道に出る事ができた。車体には王家の紋もなく、はた目には地方貴族の一行で通るだろう。「・・・フォルクマールは・・・・」ふとレティシアが呟いた。騎士の副首座、フォルクマールも今回の変事で囚われの身になっていたはずだ。「きっと今ごろ解放されているでしょう。ご心配には及びません。」「・・・・・」ユベールの返答はレティシアの意識を通り過ぎているようだ。彼女は膝掛けを胸元までたぐりよせ、ゆっくりと頭（こうべ）を傾けた。ここ数日、緊張の連続で彼女の体力も限界に近いのだろう。「陛下、これを。」ユベールは自分の上着を脱ぎ、折りたたんで彼女の肩に当ててやる。いくぶんは馬車の振動を吸収し、枕代わりになるはずだ。「・・・・ありがとう、ユベール・・・・・」「いえ、務めです。」優しさからだと思われたくないのは、ユベールの中で一つの疑念が巣くっているせいだ。それは時間が経つほど、はっきりと形を成して彼を苛立たせる。（そうだ・・・だからレオのように、素直にこの人の無事を喜ぶことができない・・・）幽閉されていた時は募（つの）った想いも、大聖堂で彼女を救い出した時、抱きしめたいという衝動は一瞬で消えてしまった。まして馬車の中で二人きり、彼女の顔を見つめていれば今にも問い糾（ただ）してしまいそうだ。ジークムント公の暴挙も、大聖堂での糾弾も、初めから貴女は予測していたのでしょう。否、貴女とグストーが仕向けたことなのでしょう、と。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～*作者のつぶやき*・・・予告通り、翌日更新できてよかったです。はい。書きたいシーンまでは長すぎて辿り着けず。無念・・・今週の水曜は、きっちり休めそう（休みたい！）ので、その辺を目標にまた更新したいです。

  2010/10/31

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• 天空の黒　大地の白（5-52）奸計（4）

  【これまでのあらすじ】先王の弟、ジークムント公爵は私兵を用いて、行幸先のレティシアを監禁。亡夫エグモント謀殺の容疑で、彼女を法廷に連れ出す。公爵と彼に従う諸侯たちが列席する裁判は、一切の武力行使が禁じられた大聖堂内部で行われる。裁判が進行し、いよいよレティシアは窮地に立たされる。同じく拘束されていたユベールは、ギィ、レオンハルト達の導きで法廷へ突入。レティシア救出を試みるが・・・～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～一方、フライハルト王宮主人の不在を守る騎士と衛士達のもとへ、唐突に先触れが訪れた。早馬で宮廷に乗り付けた使者が廷内へ駆け込み、急ぎ出迎えに降りてきた騎士テオドールと階段の踊り場で行き会った。「テオ様・・・テオドール様！」「ティアナ？！」息を切らせている少女を、赤毛のテオドールは凝視した。よほど急いで馬を飛ばしてきたのか、彼女の金色の髪は土埃に汚れている。「ティアナ、君が音信不通だって噂が・・・いや、それより陛下が」「聞きました、今朝。あぁ・・・間に合うといいんだけど。」「間に合う？」困惑するテオドールの腕をティアナはしっかり掴み、その手に一通の書簡を握らせた。「案内人を用意して下さい。詳しい事は、こちらに。」受け取った封筒を見て、テオは思わず声を失う・・・そこには くっきりと、黒獅子の紋が刻印されていた。* * *ジークムント公だけではない。その場にいる誰もが虚を突かれ、息することさえ忘れているようだった。静止した空間の中で、それは僅か一瞬のことであったが、ユベールと彼の護衛官達だけが目的のために迷い無く時を刻んでいた。駆け寄ったユベールの体が、勢いでレティシアの肩に触れる。その衝撃が彼女には奇妙に熱く重く感じられた。しかし、その気配は即座に離れた。彼女の身を兵士の一人に任せ、ユベールは公爵との距離を一息に詰めると、彼の右手首を掴んでいた。「・・・ローレンツの、息子か・・・何たる不敬な！」驚愕をにじませるジークムントだったが、さすがに語尾では生来の高慢さを取り戻している。しかし、振りほどこうとした手は微動だにしない。「帯刀しているのか、この神聖な場で・・・」我に返った数名の諸侯が、サーベルで武装しているユベール達を見とがめる。ユベールは答えず、もう片側の手をゆっくりとジークムントの腰元に伸ばし、彼の上着をはねのけると豪奢に装飾された短銃を取り出した。「神の御座所で私の剣を抜く気はありません。殿下が持ち込まれた銃に・・・あなた方の兵も控えの間に武器を隠し置いているのではないかな、それで十分こと足りる。」「馬鹿な。儂を武器で脅すつもりなら無駄だ。所詮、聖堂内では使えぬものを・・・」「そうでしょうか。」ユベールの指が事もなげに引き金へと伸び、続いて乾いた発砲音が幾重にも木霊した。人々の驚愕の視線が一斉に、銃口の向けられた先へ釘付けになる。聖堂の大伽藍から垂らされた幕が波打ち、背丈よりやや高い位置に小さな痕（あと）がくすぶっている。「貴様・・・っ、気でも違ったか！」「いかにも、私には理性も神の法への畏敬もありません。ご存じのはずでしょう。かつて公爵殿の配下の方々は、私の黒い肌を憎み“異端”の印を刻んだ。あの傷はまだはっきりと、私の背に残っております。」ユベールの瞳が憎悪を帯びた冷たさを放ち、拳銃の照準がジークムント公へと向かう。「私はフライハルトの諸侯や騎士とは違う。陛下のためであれば、誰の血であろうと流すことを厭（いと）わない。あなたが先王の弟君であれ、関わりのないことだ。」身構える公爵の私兵隊長を横目で牽制しつつ、ユベールは公爵の背を追い立てるように奥扉へと向かわせる。聖堂の正面から出ようとすれば、敷地を取り巻く警備兵達に狙撃される恐れがある。公爵を盾にしたユベールはレティシアを促し、レオンハルトと打ち合わせた退路へと向かった。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～*作者のつぶやき*・・・という事で、久々に続きを書いていくうち興が乗ってきました。数日中に（もしかすると明日）次の回もアップしたいと思います。ところで、早くもスケートシーズン到来。私の愛するオリビエさんは引退してしまったので、今年は平穏に観戦できそうです。いや、特別に贔屓する選手がいると、結果に激しく一喜一憂してしまうので。(^-^;)

  2010/10/30

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• 久々に小説を

  こんにちは。お久しぶりです。10月も末です。('-';)いつの間にか20万ヒットも越え・・・夏に微妙にフリーページを更新した以外すっかり放置気味でしたが、アクセスログを見ると定期的に見に来て下さってる方も・・・ありがとうございます！小説の方はなかなか集中して書く時間がとれず、下書き→消す→放置を繰り返していましたが、今週末はちょっと書けるかな～と思い。あまり難しいこと考えずに載せておきたいと思います。10月30日の日記から、お時間ありましたらご覧下さい。

  2010/10/29

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• 天空の黒　大地の白（5-51）奸計（3）

  重なり合い、長く尾を引く鐘楼の響き・・・11回目の鳴動である。ユベール率いる一行は柱廊を抜けて、頭上へ続く階段を駆け上がる。突如、白い長衣の裾が視界の上をよぎる。（しまった・・・！）儀式用の燭台を手にした年若い聖職者が、彼らの行く手から降りてきたのだ。聖なる家で、神に仕える者を傷つけることは許されない。反射的に握りしめたサーベルから手を離し、ユベールは不運な助祭の懐に飛び込むと、彼の口を掌で覆いながら背後に回り込んだ。「お静かに・・・危害を加えるつもりはありません。」低い声で語りかけながらも、ユベールの焦燥はつのった。もう鐘が鳴りやんでしまう・・・無傷で事態を収拾させるのは、時間のかかる仕事だ。「俺が引き受けます。ついでに退路も確保しておくから、ユベールさんは先を急いで。」申し出たレオンハルトが首に巻いていたタイを外し、助祭に猿ぐつわを噛ませる。彼はまだ動転したままの不運な犠牲者に向かって言った。「悪いですねぇ。でも陛下救出の邪魔をしない方が、神様の御心にもかなうと思うな。」間もなく、最後の時鐘が鳴りやんだ。入れ替わるように、ジークムント公爵の通告がレティシアに突きつけられる。「我が姪よ、そなたは歴史の教訓を生かさず、劣情に身を堕とした。グストー・イグレシアスに付けいる隙を与え、エグモント公を亡き者とした奸臣を我が国の宰相にまで据えて寵愛している！知らなかったと言うなら、それでも構わぬ。その愚鈍さこそ、一国の君主に不適格たる証・・・この場の誰もが認めるであろう、儂はここにレティシアの退位を要求する！」一瞬の静寂の後、ホールに賛同の拍手が広がる。取り残されたのは、思わぬ成り行きに体を支える事すら危ういイルゼと、ジークムントから視線を外そうとしないレティシアのみ・・・その時、大聖堂の色鮮やかなステンドグラスがビリビリと細かく振動を始めた。建物の正面方向から、断続的に砲音が響く。「これは・・・」ジークムントの側近が耳をそばだてる。「・・・いえ、ご安心下さい。この撃ち方はお味方の祝砲です。」「ふむ。グストーが街壁の周囲をうろついておったようだが、残党でも駆逐したか。」人々が泡立つようなガラスの響きを見上げていた時・・・・彼らの視界を一つの色が覆った。頭上高くから垂らされ、聖堂を正方形に飾っていた巨大な藍色の布が一斉に宙を揺らぎ、地上へと舞い降りてきたのだ。「・・・何ごとだ！」人々が異変と察知する前に、レティシアの体が後方へ強く引き寄せられた。「陛下・・・こちらへ。」「・・・ユベール！」レティシアの額のすぐ側に、ユベールの横顔があった。続いて、せり出しの中二階から５名の隊員達が手すりを越えて飛び降り、ジークムントとレティシアの間に割って立った。

  2010/06/16

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• ライバル？おともだち？

  久々の更新になります。ご無沙汰してました。^-^;５月の半ば頃から疲れがたまっていたのか、体調が微妙に低調だったのですが、少し持ち直してきました。さてさて、以前から我が家のベランダ（１階）はノラ猫達の周回ルートに入っていたらしく。時々、うちのヒュー太が猛烈に窓を叩いてると思うと、目の前に猫が座り込んでいてビックリ！という事がありました。そのノラさん達、最近は行動が大胆に・・・暑い日は網戸だけにして、ヒュー太は窓の外をじーっと観察しています。すると、二匹連れのノラがヒュー太の側に寄ってきて・・・一匹は私の目を意識してか、ごろーんとお腹を見せてアピール！ヒュー太とノラ達は１時間以上、網戸越しに見つめ合っていました。別の日、今度は違う猫が網戸すれすれまで近寄り、「ニャーニャーにゃーにゃー！！」と猛烈アピール！^ ^;網戸に手までかけて・・・何を訴えたかったのか分かりませんが、あまりの激しさにヒュー太がドン引き。猫が猫相手に引いてる所って、初めて見たかも。（うちは一匹飼いなので。）うちの猫とノラさん達は、お友達なんでしょうか。微妙な距離感を感じますが、威嚇する様子は一切ありません。今日もヒュー太は網戸の前で、誰か通るかな？と待っています。

  2010/06/15

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  模様替え

  ▽猫も収納できる回転ラック（嘘）このところ家具を買い足して部屋を模様替えしています。去年引っ越した時は、最低限の家具・家電を買うだけで精一杯。結果、溢れた本！CD！いつまでもカーテンがつかない物置部屋…！（笑）（うちの猫的には隠れ場所が沢山あって良いらしいけど）今年は少し余裕が出てきたので、不足分を補ってみました。特に買ってお役立ちだったのが、この回転式ラック▽残りわずか期間限定激安セール！ 確実人気シンプルブックタワーブックラック本棚DVD収納CD収納家具DVDラックCDラックコミックラックダークブラウンホワイト茶白BONコミック収納回転ラック　キューブ　　【激安】【west02_sale_0506】うちはホワイト購入。収納力すごいです。200枚以上のCDの他、攻略本のような重い本を積めても、ちゃんと回転しますよ。物置部屋の家具は白系で統一してますが、ピンクの花柄カーテンをつけたら一気にガーリーな感じに・・・クールな雰囲気だった部屋が一気に変わって予想外でしたが、変化が面白くて気に入りました。△ポチっとお願いいたします★

  2010/05/01

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  ぬこまんが愛

  忙しいなりに仕事のペースが落ち着いてきた4月半ば・・・筆（？）の調子も上がってきたので、今日も更新です。うわぁ、奇跡じゃなかろうか！さて、私の生活を忙しくしている三大要素は▽です。１．仕事２．海外ドラマ（毎日たんと録画している）３．ねこまんが（毎月買うので、いまいち読み切れてない時がある）（ついでに、もう一つはネットでの服と靴選び。）とらぶるニャンコ自分で猫を飼い始めるまで、まるでノーチェックだった「猫まんが」というジャンル。調べてみると、色んな雑誌が月刊・隔月・季刊で出てるのですね。最初はコンビニで並んでる「ねこぱんち」を買い始め、やがて「ねこぷに」で「まつうらゆうこ」さんにハマり、連載誌を色々読んでるうちに「たぁぽん」さんのファンに。お二人の独特な語り口調と絵柄が、ヤミツキの中毒状態に・・・＞＜実話とか観察系の話が好きなので、なおさらです。単にありのままの実話でなく、猫の気持ちの「解釈」が面白い。女王猫モモちゃんリンク張ってるのは、お二人の4月に出た最新単行本。雑誌で読みそびれた過去掲載分が嬉しい！▽最近買ってる猫雑誌・ねこぷに（私を本格的に、ねこまんが道に引きずり込んだ）・ねことも（上記のお二人が連載してるので買わずにいられない）・ねこぱんち（「まねきねこ不動産」と「甘いココアクッキー」のため）・ねこのしっぽ（たぁぽんさんの連載が始まったので）・ねこのあくび（残念ながら3月号で休刊！たぁぽんさんが移動した「増刊・本当にあった笑える話スペシャル」はエ○系なので、ちょっと購入を躊躇している。でも、たぶん買う。）・ラブ・ねこ・ねこパラちと困るのは、雑誌って結構かさばるので・・・置き場所に困ること。単行本になってない回は捨てがたいし。切り抜きか、スキャンしようかなぁ・・・と、のんきな悩みがある今日この頃です。

  2010/04/20

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• 天空の黒　大地の白（5-50）奸計（2）

  今回は2話連続のアップです。18日に掲載分の「奸計（1）」からお読み下さい。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~鐘の音と共に、審問が再開された。ダン、と重く鈍い音をあげて、厚みのある紙束が机上に置かれる。「我々はここに、グストー・イグレシアスの記した覚え書きを提出いたします。いくらか読み上げてみましょう。日付は1789年5月13日・・・エグモント公が亡くなられる、ふた月ほど前。」審問官はファイルから数枚を選び出して、この擬似裁判の聴衆に向かって掲げて見せる。音読されていく記録には、グストーが行った塩素酸カリウムの実験が詳細に記されていた。エグモントの銃の暴発を招いたとされる物質をグストーが所持し、兵器としての有効性を認識していた証拠だ。入念に管理されているはずのグストーの記録を、誰が持ち出しジークムントに手渡したというのだろう。しかし被告席に立つレティシアに衝撃を与えたのは、次に証人席へ連れ出された人物の姿であった。「イルゼ・・・・？」騎士フォルクマールの妻であり、女王付きの侍女の中でも最も寵愛を受ける娘。レティシアとグストーの道に外れた関係も含め、宮廷内の事情をよく知る人間の一人であると目（もく）されている。愛らしい面立ちに憔悴の色をにじませ、イルゼは証言台で口を開いた。「・・・・お許し下さいませ、陛下。事ここに至っては、ありのまま事実を語るしか術がございません。」吐息と共に、イルゼの頬に一粒の涙がこぼれた。「私は宰相イグレシアス様が・・・いえ、当時は法衣をまとう聖職者であったグストー殿が、エグモント殿下暗殺を企てているのを知りながら、沈黙しておりました。」参席する諸侯達が一斉にどよめく。「エグモント様はグストー殿を激しく憎み、追放しようと画策されていた・・・その先手を打って、グストー殿が銃に細工をほどこしたのです。」「嘘だわ！」鋭い一声が上がる・・・レティシアだ。「嘘よ！イルゼ・・・どうしてなの！何故そのような偽りを！」思わず声を荒げたレティシアの顔は青ざめ、固く握りしめられた手が怒りに震えている。ジークムントに拘束されて以来、初めて彼女が見せた狼狽だった。「ご静粛に願いましょう、陛下。さてイルゼ殿、貴女はどうした経緯で重大な秘密を知ったのです。」「・・・行儀見習いであった私は、ある時グストー殿のお部屋へ御用うかがいに行き・・・偶然、エグモント公の猟銃を手にしているのを目撃してしまったのです。」「その時、グストー殿は何と？」「宮廷を追われたくなければ、決して他言してはならぬと念を押されました。陛下にも言ってはならないと・・・その二日後、銃の暴発でエグモント殿下が亡くなったのです。」偽証だ。思考の麻痺していたレティシアにも、ようやくイルゼの意図が見え始めた。軍事力を背景にした公爵の執拗な追究は、グストーとレティシアを夫殺しの共謀者に仕立て上げてしまうだろう。彼女は真実を通すよりも、エグモントの死をグストー一人の罪と証言することで主君を守るつもりなのだ。だが、しかし・・・イルゼが独断で、このように大胆な賭けに打って出るだろうか。レティシアが振り返ると、証言台の真向かいに座るジークムントが脚を組み直し、満足げな笑みを浮かべていた。

  2010/04/19

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• 天空の黒　大地の白（5-49）奸計（1）

  短い休息を許されて、レティシアは“法廷”から控えの間へと戻った。テーブルに用意された水差しの中身を口にする気は起こらない。三つ並んだ大窓から見晴らせる空で、心を落ち着けようと努める。思いもよらない追及材料をジークムントが隠し持っていたのには、驚かされた。「陛下・・・！」レティシア付きの侍女、イルゼが駆けるようにして主君のもとへ参じた。別室に監禁されていた彼女にも、審問の様子は伝わっていたようだ。「イルゼ、動揺する必要はありません。もうじきの辛抱ですよ。」いかに審問が執拗であろうと、自分が折れなければ切り抜けられる・・・しかしイルゼは、レティシアの言葉を跳ね返した。「陛下は、グストー様を信頼しきっておられる。でもあの御方に陛下の無実を証明できましょうか？陛下をお助けするつもりがあるなら、どうしてこの審問会の場に立って陛下を弁護して下さらないのです。」「グストーは必ず来るわ。もう到着しているかも・・・」「いいえ、陛下・・・衛兵達が話しておりました。グストー様の馬車は南門に着いたのです。けれど市街に入ろうとせず、半刻もしないうちに街道を引き返してしまったと。」「・・・・・。」グストーの裏切りなど考えられない。ましてこの時機に自分を見捨てて、彼に何が残るだろう？グストーは必ず来る・・・約束を果たしてくれる。レティシアの心に説明しがたい不安がよぎった。「もう一息で女王は屈したのではありませんか？休息を与えるのは惜しい。」諸侯の一人の発言に、ジークムント公爵は唇の端を上げる。「強情なのは血筋でな。この程度の糾弾で、我が姪が音を上げるはずもない。」「なんと・・・では、この審問会の意図は・・・・」「レティシアが吐かずとも、他の者が白状してくれるさ。」公爵は笑みを含んで立ち上がり、再び法廷へと足を踏み入れた。彼の計画も最後の一手を打つばかりであった。　　　　　　　　＊　　　　　　　　＊　　　　　　　　＊「どうしても砲門を使えないですかねぇ。ほんのちょっと、壁に穴開けるくらい駄目かな。」レオンハルトのぼやきを黙殺して、ユベールは前方の安全を確認していた。隣接する宿坊から、中庭を横切って聖堂の通用門へ侵入する・・・わずか十数ヤードの距離が、いかにも遠く思えた。巡回する公爵の衛兵の背中が、聖堂の壁の死角へ徐々に消えていく。「前進するぞ。身を低く保て！」ユベールの合図で、潜入部隊が一斉に動く。レオンハルトも大きな丈に似合わず、身のこなしも敏速に目標地点へ突き進む。ところどころ錆の浮いた年代物の鉄門にたどり着くと、レオは鉤（かぎ）状の金属棒を取り出して頑丈な錠前に差し込んだ。「さすがに合い鍵までは手に入らなかったけど、錠前の型は調べておきましたからね。」レオが指先に集中して幾度も鉤棒を反転させると、一分も経たないうちにガチリと手応えがあった。彼の器用さが思わぬ所で貢献したようだ。ユベールは懐中時計で時刻を確認する。「さぁ、次だ。」扉を開くと、そこから先は神聖なる空間である。聖堂の北側に位置する回廊を進み、助祭達の詰め所前を過ぎる。ほとんどの者が審問会に手を取られているのか、行き違う影一つ無い。小部屋の続く通路を抜け天井の高いホールに出るが、まだ中心部ではない。冷たい円柱と聖母子像に護られた三つの石棺が、整然と並んでいる・・・王家の霊廟。ひときわ緻密に装飾された棺は、開国の祖クリストフ一世のものだ。ユベールは胸の前で十字を切り、不敬をわびると先へ続く石畳の通路を見やった。心臓の鼓動が高鳴る・・・いよいよ核心に近づいている。アーチ状の造りの聖堂内部は、わずかな物音も四方の壁に反響しやすい。この先、もし僧侶かジークムントの私兵に出くわせば、他に気付かれずに処理するのは容易でない。再び時計の針を確かめる。後ろを振り返り、レオと兵士達に目くばせする。時間だ。頭上から、割れんばかりに鳴り響く鐘の音が降りそそぎ始めた。日々、正確な刻を市中に告げる大聖堂の鐘・・・正時を示す４回、続いて正午を意味する12回。周囲を包む空気が震え、互いの声も聞き取れぬほど響鳴する音の保護壁に身を隠し、ユベールは駆けだした。（つづく）~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~＊鐘の回数：○○時15分が1回、30分が2回、45分なら3回、正時（00分）で4回。この回数分打ったあと、12時なら12回が加わります。ところでクリストフって名前、本当に久々書いた気がします・・・自分でも忘れてしまい、過去の掲載分から探し出すのに苦労しました。(=_=;)

  2010/04/18

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• 春の注目・海外ドラマ

  新しいシーズン到来、自分用メモも含めて注目したい海外ドラマをチェックします！（なお、情報は関東地方）★地上波★○CSI:科学捜査班　シーズン8（テレビ東京）　4月7日～（たぶん）　ありがとう、テレビ東京！○クリミナル・マインド　シーズン1（テレビ朝日）　4月2日（金）深夜2：20～　　FBI行動分析課（BAU）のメンバー達が、物証のない事件を犯人の　行動・心理から追求して解決するクライム・サスペンス。　何度見ても面白いです。○新ビバリーヒルズ青春白書　（NHK教育）　4月3日（土）午後11：00～　新世代のビバヒル。ケリーやブレンダの再登場にも注目。★BS★今春は特に(´・ω・｀)ございません・・・★CS★○GLEE（FOX）　正確には2月から放送開始されてましたが、とにかく面白い！！　高校生たちが歌で負け犬返上。　名曲の数々が実力派キャストによってリメイクされる様子は必聴です。○グレイズ・アナトミー　シーズン3（AXN）　4月12日（月）午後11:55～ほか　イジーのその後が気になります。色男は、もういいよ。。。○弁護士イーライのふしぎな日常（AXN）　4月11日（日）午後9:00～ほか　冷血弁護士イーライ。ある時から奇妙なビジョンが見えるようになり、　彼の立つ法廷で次々と正義が下される・・・？○CSI：マイアミ　シーズン6（AXN）　4月6日（火）午後11:00～ほか　ホレイショとデルコの義兄弟タッグを期待。

  2010/03/28

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  セント・メアリー大聖堂（シドニー）

  オーストラリア写真、第二弾です。この、発掘されたミイラみたいな・・・ 日本のテレビで活躍してたカンガルーもいましたが、どうも彼らはオヤジっぽい？ ▽やっぱり可愛いワラビー目がウルウルですね～下は聖メアリー大聖堂です。シドニーのカトリックの中心地 手前に写ってる噴水は、ギリシャ神話をモチーフにした銅像が見事な迫力。残念ながら中は撮影禁止だったので、写真がありません・・・ゴシック様式の美しい建築で地下霊廟（見学は有料）にあるモザイクの床石も一見の価値ありでした。（細かいタイル状ではなく、絵柄や文字の形に色のついた石を切って組み合わせている。寄木細工みたいな感じ。）こちらの公式ページのAbout Usで内装が少し見れますhttp://www.stmaryscathedral.org.au/index.html私が驚いたのは、あちこちの柱に立派なモニターが設置されていて、たぶんミサに出席する信徒さんが後方からでも主祭壇の様子をよく見れるようになっている点です。最近はどこの教会も、こういう設備があるのでしょうか？私がヨーロッパを回ったのは大分前なので、こういう光景は見たことがありませんでした。この教会は頻繁にミサが行われ、日曜日には結婚式場にもなる“A Living Cathedral”だから？どなたか、事情に詳しい方がいらっしゃったらお教え下さいませ～^-^; △こちらが大聖堂の入り口今回は観光目的でなかったので、写真も少ないのですが、初めての南半球、とても楽しめました。(*^-^*)

  2010/03/17

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  青い！シドニー

  休暇を利用して、オーストラリアに行ってきました。写真はシドニーの有名なオペラハウス。夏の終わりに近づいたとはいえ、陽射しは強烈。何という海の青さ。交通の中心の一つ、サーキュラー・キーの港ではアボリジニな方が演奏していました。シンプルな形の楽器だけど・・・かなり激しいアレンジもできるようです。港を行きかう船の霧笛と呼応させて演奏する一幕もあり。テクニシャン。△オーストラリアといえば・・・動物園にいたコアラ、近い近い。一応の柵はあるけど、日本のようにガラスや溝で隔離してないんですね。(^-^*)あと一回続きます。

  2010/03/15

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  青えりまき

  とうとう去勢手術されてしまったヒュー太さん。手術自体は無事に済んだのですが、処方してもらった抗生物質が合わなかったようで、初めてお腹を下してしまいました。かなり酷くなったので、お薬を替えてもらって落ち着いたけど、その後も戻してしまったり（単に食べ過ぎた？）カラーがこすれて首に大きなハゲができたり、数日は大変でした。（エリザベスカラー付けてる時に吐かれると、かなりイヤですね。^-^;すぐに気付いてやらないと、もう・・・）本人も体調が悪いのと手術のショックで（？）心細かったらしく、何日かは私にピッタリくっついてじーっと寝てました。か、かわいそうにヒュー太さん・・・＞＜と、心配する人間をよそに、去勢ネコちゃんによく見られるように食欲倍増になった彼は、ごはんの要求が3倍増しになりました。日々かわすのが大変です。なお、ハゲは毛根が頑張ったおかげで、元通りになりつつあります。^-^;

  2010/03/05

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• 天空の黒　大地の白（5-48）脱出（2）

  馬車の幌を突き破って、荷台に積まれた藁束の上にユベールは転がり落ちた。着地の衝撃で内蔵が飛び跳ねそうな感覚はあったが、幸い手足は無事だと彼は思った。「おぅ、さすが！本当に飛びましたね！」視界をふさぐ藁束の向こうから、聞き覚えのある呑気な声がする。「お見事です、ユベール様。」手を叩いて喝采する男の大きな口元が、にったりと笑みを作っている。「・・・レオンハルト殿・・・？」予想外の顔合わせに、ユベールは藁にまみれたままレオを凝視した。彼はグストーと共に、郊外に陣取っているものと思っていた。「まま、積もる話は後にして、ちょいと脇にずれて下さい。」レオンハルトの側へ体を移すと、振動に続いてギィが着地し、すぐさま御者は馬に鞭をあて勢いよく駆け出した。庁舎の裏手にある通用門をくぐり抜け、路地を疾走する馬車を見とがめる者はいない。すれ違う市民達の口から口へ、グストーが兵を率いて到来したという情報が伝わって、警備の関心が市街の南に集中しているためだ。車体がようやく通るほどの細い裏道に入ったところで、ユベールは促されて馬車を降りた。古びて壁面の痛んだ建物群の、窓から窓へ張り渡されたロープに洗濯物がなびいている。二階の窓に現れた人影がふっと消え、間もなく裏口の扉が開いた。中に通されたユベールを出迎えた数名の男達は、どれも知らない顔ばかりであった。ベストにジャケットという市民風のいでたちだが、どこか統制のとれた動きをする。「ここは市内にある我々の拠点の一つ。」背後からギィの抑揚のない声が発せられた。「彼らは各地で徴兵され訓練を受けた、女王直属の兵士達・・・・」彼がマントの裾をひるがえして部屋の中央へと進み、強く足を踏みならすと、床板に薄い隙間が生じて黒い空間が現れた。いや、それは貯蔵庫・・・マスケット銃に短銃、弾薬、サーベル、移動式の砲門までそろっている。レオが得意げに頷いて説明する。「砲門は部品の段階で持ち込んで、ここで組み立てたんです。・・・だそうです。」ギィが言葉を引き継ぐ。「今、彼らの同胞が四方の通用門を占拠している。すなわち、」この街は内側から封鎖されているのだ。グストーを警戒して、外郭を越え南の街道沿いに配備されたジークムント公の私兵達を閉めだした形で・・・・「ローレンツ大尉、用意した武器と兵は自由に使用していただいてよろしい。貴殿の務めを果たしていただきたい。」ギィが目くばせすると、50ばかりの痩身の男が巻紙を手に前へと進み出た。さっと机上に広げられたのは、聖堂の見取り図らしい。「この者は、大聖堂改修にあたる主任技師。内部の構造には詳しいのです。」ユベールは、女王の行幸の名目が“大聖堂改修資金の奉納”であったことを思い出した。技師が図面に引かれた朱線を指でなぞりながら口を開く。「大聖堂には僧侶達の居住区が二つ隣接しております。そこから侵入し、警備の死角となる西側の壁面をつたえば、陛下の囚われた階層までは抵抗なくたどり着けるでしょう。」「・・・・そこから先は、力ずくか。」どのような理由であれ、神聖な教会内部で暴力を振るうことは禁忌。王族であっても教会で流血沙汰を起こせば、バチカンから破門宣告を受けた先例もある。この一件が公（おおやけ）になれば、ユベールは汚名を負うことになるだろう。カトリックの中枢である法王の影響力は国境を越える。容易に手出しできないからこそ、ジークムントもレティシアを隔離する場所として教会を選んだのだ。「ローレンツ大尉、少人数で衝突を最小限に抑えて目的を達成することが肝要。ここにいる5名の兵を同行させましょう。」当然ながら、失敗すれば教会領での全面的な戦闘行為という最悪の展開もありうるだけでなく、レティシアの安全も脅かされる。一連のやり取りを聞きながら鈍色の拳銃をもてあそんでいたレオが、それを腰元に差した。「事態を収拾しなければ。もう時間の余裕はないんだ。」彼には不似合いな、断定的な物言いだった。すっと、猛禽を思わせるユベールの瞳が細められる。「武器を選ぼう。レオンハルト、手伝ってくれ。」数本のサーベルを抜いて刃を確かめるユベールの隣に、レオンハルトが立つ。「レオ、グストーはどこにいる。なぜ主人のもとを離れて、君ひとりここに来たんだ。」「・・・俺だけでも、陛下に近い場所で見守りたいんですよ。マスターはもう、ここにはいませんから。」「何だって？こんな、国の重大事に・・・・」「オーストリアが使者をよこして探りをいれてきてる。マスターはその対処に向かっているんです。」「・・・まさか・・・感づかれたにしても早すぎる。」ユベールの腹中に、一気に冷たいものが流れ込んだ。混乱が続いていると気取られれば、軍事干渉すら招きかねない。「とにかく、一刻も早くレティシア様を取り戻さないと。ユベールさん、あなたには気の毒に思うけど、やってもらうしかないんだ。」

  2010/03/02

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• エキシビジョン再放送

  先日のフィギュアスケート・エキシビジョン。その日は地上波もBSも画面に津波警報がずっと入ってたので、「おぉぅ・・・」って感じだったんですが、NHKがちゃんと再放送してくれるようで。ありがとう、NHK。3/5 18:10～20:30 ＮＨＫ ＢＳ１ 3/6 24:50～26:50 ＮＨＫ総合 ずっと書こうと思って書きそびれてたけど、フランク・キャロルコーチ、おめでとうございました。（↑ライザチェックや長洲未来ちゃんのコーチ）以前、某選手に離反された時に、「あんたは男子のオリンピックチャンピオンを育てる最後のチャンスを失ったんだからね！（≧□≦）」と言われたとか、言われなかったとか？（これを言った彼は銅メダリストですが。）いやいや、名伯楽ですね！

  2010/03/01

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• インフレ。

  エキシビジョンも終了して、五輪のフィギュアスケートの全プログラムが終わりました。もっとマメに更新するつもりが、特にアイスダンスの辺りからジャッジの開き直りっぷりに唖然として、ブログに何を書けばよいのか分かりませんでした。というのは、もちろんバーチュー＆モイア達のことです。Skating Skill 9.5って、スケートの神が踊ってたんでしょうか？そんな彼らが、なぜコンパルソリーでドム・シャバの下になっていたんでしょう？0.1の違いを争っている上位陣の中で、彼らは1点の差をつけられるぐらい、圧倒的に優れていたでしょうか。彼らの得意とする複雑なリフトも今回はバタつき気味で、プログラムの流れに沿っているとはいいがたく。というか、メリルとチャーリーの評価が低い！（相対的に）・・・というモヤモヤがあり過ぎて、書く気になれなかったわけです。（笑）ダンスといえば、イザベルとオリビエさんが本当に復帰してきました。これまで出る出るといってきた試合を辞退してばかりだから、実際リンクに出てくるまで信じられませんでした。（狼少年状態）ぶっつけのオリンピックで惨敗したらどうしよう、と怖くて見たくなかったんですけど、そこそこの無難な順位で。^-^;フリーの演技は珍しく分かりやいというか、観客に訴えかけるようなパフォーマンスは素直に感動できました。その他、女子シングルの感想を少し・・・【鈴木さん】すごく印象的でした。フリーの時は、もらい泣きしそうでした・・・入賞おめでとうございました！【ファヌーフ】衣装（クレオパトラ）がよかった。演技も。その服を、美姫ちゃんに着せたか・・・むぐむぐ。【美姫ちゃん】フリーは、慎重になりすぎて動きに勢いがなかったのが残念ですが、ほんと安定して力を出せましたね。ただ、ショートでの評価が・・・。orz【ロシェット】つらい状況で、ショートから中1日あいたフリーでも、大崩れせずに演技できた精神力が素晴らしいです。彼女の順位が高すぎるという批評をあちこちで目にしますが、彼女はテレビだと伝わりにくい不思議なオーラというか惹きつける力を持った選手なので、プログラム全体として長洲未来ちゃんより劣っていたかは微妙なところ？？【真央ちゃん】見事な３A！素晴らしかったです。銀メダルおめでとう！フリーの曲は難しかったでしょうね・・・なんか途中で、真央ちゃんの表情がミシェル・クワンみたいに見えた。^ ^;あの曲はもっと年齢を重ねた、体型も迫力のあるスケーター向きだったと思います。誰か、真央ちゃんの魅力を120％引き出せるプログラムを作ってくれないでしょうか。ただ、何を表現したいのか分からない点はキム・ヨナのフリーも似たり寄ったりだ。（辛口）今回、一部の選手へのあまりに露骨で不自然な加点、減点にげんなりしていたところに、真央ちゃんの「4年後のソチを目指す！」宣言を聞いて、ほんと彼女は強いなと。不利な状況でも腐ったりせずに、また頑張ると言えるのは素晴らしいと思います。日本スケート連盟は、選手が正当に評価されるように、もっと声を上げて働きかけてほしい。バンクーバー・オリンピックでは、現行の採点システム自体と、システムの運用の両方に問題が生じてることは明らかで、特にジャッジの判断は、フィギュアの汚点と呼びたいくらい酷いモンだったのでは？各国のジャッジが自国の選手をひいきするのは、ジャッジが複数いれば帳消しになって正常な点が出るけど、今回のようにほとんどのジャッジが特定の選手に肩入れしている状態は不気味です。中間点の導入という報道もされてますが、ジャッジの公平性がなければ意味がない。フィギュアがちゃんと「競技」でいられるように、一刻も早い改善を望みます。

  2010/02/28

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• 男子フィギュアショートちょろっと感想

  昨日書ききれなかった、男子SPの感想・・・といっても、あと１２時間でフリーが始まる時間になっちゃったので、少しだけにしておきます。(^-^;)まずは、高橋選手、ショート３位おめでとうございます！プルとこんなに点差がないとは、びっくり～ファイナルや全日本の時のような、はじけるような勢いがなかったのは、さすがに緊張されていたんですよね。でもオリンピックの舞台で、しかも期待や注目を浴びる立場で大きなミスなく滑ること自体がすごいですよね。そういう意味では、ライザチェックも素晴らしいなと。（↑始めてライザチェック褒めたかも。）彼はここぞ！という所で強い人だなぁ。一方、チャンの失速はなんとなく予想通り。(=_=;)前も地元開催の大イベントでコケてましたが、まだお若いので、メダルの期待を背負って滑る準備ができてなかったのかな。そして、予想外だったのがジュベール・・・なんてこったい。欧州選手権のショックが影響したのか？？（表彰台で明らかに怒ってたし・・・）プルシェンコは、「筋肉が張っててつらかった」というコメントを残していますが、欧州の時の音楽無視して勝手に滑ってる雰囲気よりは、プログラムとして馴染んでた印象を受けました。（私が慣れちゃっただけでしょうか？？）フリーはまた混戦になりそうですが、恐怖のザヤックで大失点する選手が出ないように祈りたいです。特に日本の三選手に！それと審判団にお願いです、小塚君のスケーティングスキルをもっと高く評価してください～（＝人＝）

  2010/02/17

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• パン＆トンおめでとう

  バンクーバーオリンピック、早くもフィギュアスケートのペア競技と男子のショートが終わりましたね。ほんと色々なドラマがあって面白い。◆ペア◆【シェン＆ツァオ】優勝！帰ってきた実力者その１。^ ^やっぱり強かった！逆にフリーでミスがあったの事に驚きました。リフトのミスは決定的かと思ってたので、演技が終わった時は2位に後退か？と危ぶんだけど、スコアを見たらGOE－1.4だけみたいですね。ショートの貯金で逃げ切った形ですが、クリーンなプログラムを見たかった！でも、ともかく念願の金メダルおめでとう！！【パン＆トン】銀メダル！このブログで何気にプッシュしてきたお二人。（？）すみません、まさか銀メダル取れるとは！しかも圧巻のフリー！！もう、このまま優勝でいいよ！という素晴らしい演技でした。じんときた。メダルに相応しい演技とは、こういうものだと感じさせられました。優雅なのに静かな闘志や気迫が感じられて。最近、なかなか高く評価されない時期もありましたが、報われましたね。おめでとう～～【サフチェンコ＆ゾルコビー】銅メダル正直に言えば、私はこの二人に優勝してほしかったのです。シェン＆ツァオが引退して以来、世界王者として、またペアのプログラムに新風を送り込んできた二人。ただ、今季の不調はとうとう抜けられませんでしたね。ショートはクリーンで芸術的で、よいものを見せてもらいました。残念ですが、ソチをめざしで欲しい！！【ムホルトワ＆トランコフ】7位ショートでの出遅れが最後まで響きましたね。元々波の激しいカップルだけど、ショートで大きく崩れるのは珍しいので驚きました。しかし、ショート後のキスクラで、顔を上げられないトランコフをいたわるように抱きしめてるムホルトワの姿に泣いた。クールに見える彼女ですけど、二人の絆が感じられました。世界選手権には出るのかな？ぜひ立て直して、彼女が選んだ「ある愛のうた」をもう一度見たいです。ちょっと長くなってきたので、男子の感想はまた後ほど・・・^-^ちなみに今日、ＣＭでもおなじみのロゼッタストーンを購入して、はまりました。ドイツ語版。おもしろいよ、これ！また機会があったらレポします。

  2010/02/17

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  雪と温泉

  仕事の関係でバタバタして落ち着かない1月ですが、合間を見つけて小旅行してきました。今住んでる所の近場にある温泉郷なんですが、うちの方は快晴なのに山を越えたら大雪が・・・！！でもおかげで、雪見風呂ができましたよ。これは早朝、ちょっと贅沢して露天風呂を貸し切りして撮った写真です。利根川の上流を見下ろすお風呂。夜景もライトアップしてあって綺麗だけど、朝のまだ柔らかい光は格別でした。^-^

  2010/01/13

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  すねてるヒュー太さん

  年末年始は実家へ一緒に帰省した、ヒュー太さん。小さい頃に過ごした家だから自分の臭いが残ってるのか、すぐにくつろいでいました。家の中に沢山人がいるのも久しぶりだから、猫なりに楽しんでいたようです。上の写真は、お正月も終わって家に戻る直前。荷造りが始まって、何か起こりそうな予感？？普段はしない悩ましげなポーズで、アピールしてます。（で、この後キャリーに詰め込まれて散々だったらしい。それ以来、キャリーが嫌いになりました。）

  2010/01/06

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• 謹賀新年●天黒（5-47）脱出（1）

  「皆さん、明けましておめでとう御座います！本日、作者に代わってご挨拶させていただきます、俺はレオンハルトです！」「はっぴぃ～」「最近はまったり更新のブログと連載も、足を運んでくださる皆さんのおかげで続けてこれました。今後とも、俺とレティシア様の未来を見守って下さいね。そして、皆さんに今年一年、あふれんばかりの幸福が訪れますように！」「監獄から～ハッピ～ニューイヤぁ～～」「ん？人聞きの悪い歌をうたっているのは、ユベールさんですか。」「やぁ、レオ。作者が更新をサボったせいで、僕は公爵に捕らわれたまま年越しなんだ。」「説明どうも。確かに状況よくないまま放置っすね。」「去年はイタリアの戦場だったし。レティシア様とお正月をラブラブに過ごしたのは何年前か、遠い昔に思えるよ。でも、めげない。」「その意気です。俺も応援してますよ！では、ここでユベールさんのためにも、本編の続きをどうぞ！」～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～司教領とフライハルトの王都を結ぶ街道は、かつてない緊張に包まれていた。ジークムント公の召喚に、ついにグストーが応じたのである。宰相を乗せた馬車には一個大隊規模の護衛兵がつき従い、北上して大聖堂を目指した。グストー自身に正規軍の統帥権はない。彼を守護するのは、女王の側近クロイツァー兄弟やレオンハルトが奔走して集めた私兵、とりわけブランシュ家ゆかりの者たちであった。「マスター、くれぐれも気をつけてください。」悪路を走り続ける馬車に揺られながら、レオは主人に忠告した。「公爵の取り巻き連中も、いざとなればレティシア陛下に手を下すのは躊躇（ためら）うはず。でも外国人のマスターには容赦しません。」「分かっている。案ずるな。」腕を組み、背もたれに頭を預けていたグストーは、鋭い茶褐色の瞳を窓の外に向けた。もうじき目的の街を囲む外壁が、視界に映り始める頃だろう。「レオ、馬車を止めろ。」グストーは静かに命ずると、扉を開けて外に降り立った。衛兵の間を通り抜け一行の先頭まで移動すると、彼はそこでじっと佇（たたず）んだ。強い南風に吹かれ、沈黙している宰相を兵士達は怪訝そうにうかがう。遠方に二つの黒い点が現れ、100ヤード（約91.5メートル）ほどの位置で停止すると、一つが再び街の方角へと消えた。「あれは・・・公爵の斥候兵？」レオの呟きに、グストーは頷く。「だろうな。さて、我々はじっくり待つとしよう。後は内側の連中が上手くやるのを見届けるのみだ。」庁舎の三階。その一室に軟禁の身となったユベールは、中央広場と目抜き通りを行きかう人々の流れを窓越しに見つめていた。街の中心部を固めていた二個中隊ほどの兵士達が、慌ただしく通りを下っていく。グストーが武装した大隊を率い、外郭沿いに待機させたという一報が伝わり、警備の手が街の南側に集中し始めていた。（ようやく動き出したようだ・・・。）ユベールの瞳が、野生の駿馬のような慎重さと鋭敏さに輝きを増す。廊下に続く唯一の扉に耳を当て、人の気配が近くにないことを確かめると、彼は愛用の外套（これは持ち込みを許された数少ない所持品だが）を手早く着こんだ。やがて、窓の外にするすると一本のロープが降りてきた。続いて音もなく、麻色の長衣に身を包んだ人影が現れる。グストーの忠臣、ギィ・フェルディナン・オービニエ。幽鬼は庁舎の屋上からロープを垂らし、それを巻きつけ体を支えているらしい。構造上、下側5分の1程しか開かない窓は人の出入りは不可能だが、会話は十分できる。「オービニエ殿、陛下のご様子は？貴殿に従って抵抗もせず捕らえられたが、こうも時間が経っては・・・」「心配はご無用。まだ持ちこたえている。」短い返答をしながら、幽鬼は懐から取り出した手製の装置を窓の下枠に取り付けた。円筒状の物体から導線が伸びている。「さぁ、窓から離れて。壁際で身を伏せられよ。」幽鬼はまたたく間に屋根へ登ってユベールの視界から姿を消す。彼の言葉通りにユベールが体勢を整え、その数秒後・・・・耳を聾するような爆音と共に窓枠がはじけ飛び、砕けた木片とガラスが光を反射しながら宙に舞い散った。 氷のかけらが飛び散るように、破砕されたガラスが真白に輝きながら地面に降りそそぐ。粉塵が薄らぐ頃、既にユベールはギィと共に庁舎の屋上にいた。「こちらへ。後に続いて。」幽鬼の先導を受けるが、ゴシック式の急な傾斜がついた屋根は足場が良いとは言えない。朝から吹き付ける強風に煽られないよう、身を低く保ちながら建物の西側へと移動する。爆発のあった箇所では、衛兵たちが騒ぎ出している。だが、庁舎の警鐘が鳴ることはなかった。爆破に前後して、さらに大きな混乱が各所で生じていたためだ。まず街の南門の格子扉が落とされ、王都へ続く主要街道との通行が遮断された。さらには東、西・・・・司教領は内側から封鎖されようとしていた。そして一連の動きを、今すべて掌握しているのは幽鬼だったのである。彼は庁舎の屋上を歩いて移動できる先端まで行き着くと、無表情なままユベールに命じた。「ここから下へ。」「ここから？」見下ろすと庁舎の壁際に、小型の荷馬車が停まっている。だが台を覆う幌が衝撃を和らげてくれるとはいえ、ゆうに60フィート（約18m）はある高さから飛び降りるのは並ではない。「貴殿なら恐らく出来ると聞きましたが。」「一体、誰がそんなこと。」「女王が。」「・・・・・。」レティシアへの悪態を小さく呟き、コートのベルトをきつく締めると、ユベールは屋上から身を躍らせた。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～「う～ん、なるほど。ユベールさん、良かったっすねぇ、脱出できそうで！って、もういない。相変わらず、すばしっこいね。ところでギィって誰・・・まぁいいか。俺もマスターの所へ戻ります。では、次の更新でお会いしましょうっ！」

  2010/01/01

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  激ヤセの理由

  紅白の放送も始まって、いよいよ今年も残すところ数時間。皆様、ご無沙汰しておりました。^-^;今日は帰省中の実家からの更新です。（ヒュー太も一緒。）年始のご挨拶は、また改めてさせていただくつもりですが、写真を整理していたら、「な・・・」という感じのが見つかったのでアップしてみます。▽どどん。 太っ！でか！！これ、10月に撮影した頃、6.5キロあったんですよね。ところが先日、ワクチンを打ちに病院へ行ったら、なんと5.7キロに！（人間で考えたら、7～8キロ痩せた感じ？）「かなり体重減ってるのが気になるんですけど、別に悪い所はなさそうだし・・・」と先生を悩ませてしまったのですが、その後、理由に思い当たりました。「あぁ、食事だ」と・・・9月下旬に、きっかり一歳になるまで子猫フード食べさせてたんです。成長期の子猫用は、とっても高カロリー。十分育ってるヒュー太は、横に成長してしまったと。。。今では大人用に切り替えて数ヶ月たってるので、自然と体重が落ちたみたい。お客さんにも「最近、猫やせた？」と言われるし、触ると鎖骨がはっきり分かります。飼い主、ぜんぜん気づいてなかったけど・・・丸くなりすぎてたようで。食事の影響って大きいんですね。^-^;

  2009/12/31

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• ソース、ソース

  Windowsのエクスプローラで、ソースを文字化けなしに表示する方法をやっと理解しました。ということで、長らく放置してあったフリーページに過去の連載分をアップできましたっ。（引越前はMacで編集してたんで、問題なかったのです。）考えてみれば日記の編集画面から本文コピー→改行タグ打ちで済む話だった気もするんですが、行数多いと改行タグも面倒でねぇ。。。(=_=;)改めて自分の小説を見直すと、ざっくり整理して書き直したい部分もかなりありますが、まずはきちんと終わりまで書き上げないと・・・ですよね。^ ^;もう少し先にすっごい書きたいシーンがあって、ムズムズモゾモゾしております。さぁ、次回はユベール、君の出番だ頑張ろう。

  2009/11/15

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• 天空の黒　大地の白（5-46）王室裁判(3)

  初めから憎しみがあったわけではない。老王に生まれた子がレティシアと名付けられ、産着（うぶぎ）にくるまれた姿を愛らしいとさえ思った。兄が慣習法を曲げて、彼女を王位継承者と定めた時までは・・・・「レティシア陛下。前へお進み下さい。」拘束から5日目の朝、聖堂上階の一室に設けられた審問会場には、ジークムント公のほか彼に従う諸侯達と、フライハルト聖職会の頂点にあるゲイラー司教が揃い、半円状に着席していた。裁きの場に引き出された女王は満足に身支度する猶予も与えられなかったせいで、さすがに常日頃の容貌に比べればやつれて映ったが、臆するどころか、まるで己の意志でこの場に臨（のぞ）んでいるように落ち着き払って公爵を見すえている。「第一の訴因、エグモント公の謀殺・・・・」訴状を読み上げるのは、かつてレティシアに仕えていた壮年の法務官である。顧問会議制を廃止し省制度に移行した際、ジークムントとの繋がりを疑われて中央から去った男だ。この会場には憎悪が満ちている・・・レティシアが男のこけた頬の動きに視線をやった時、一人の兵士が身をかがめてジークムントに近づいた。眉をしかめて報告を聞いた公爵は、短い指示を与えて兵士を退席させた。（ようやく動いたか・・・グストー・イグレシアス・・・・）目の前では審問官が獲物を追い詰めようと、その機会を今かと待っている。ジークムントは決めた。中断はしない。グストーを引き出す前に、レティシアに深手を負わせておこう。彼は椅子に腰掛けたまま、右手の人差し指で合図を出した。レティシアと対峙する法務官が頷いた。「公式の記録では、エグモント公は狩猟中に銃の暴発で落命したとあります。」「夫の死は、不幸な事故でした。」「そのお言葉に偽りはないと？」「私もグストーも関与していない事は、当時証明されたはず。」「しかし、それはあくまで側近の方々の証言によるもの。我々はここに、新たな証拠を提示いたしましょう。」奥の扉が開き、白布に包まれた長方形の箱が運び込まれた。中央の台座に置かれたそれを、法衣の男達が二人がかりで丁重に解く。中から現れた木箱の蓋が外され、内側に鈍い金属質の光沢が見えた。「・・・・！」一瞬にして、レティシアの表情が硬直したのは明らかだった。彼女が初めて見せた動揺に、ジークムントは満足げに目を細める。レティシアの視界から、色が失われた。取り出され、諸侯の前に高々と掲げられた一丁の猟銃。銃身の根本は無惨に裂けて、いびつな花弁のように大きくめくれ上がっている。金属に浮き上がるおびただしい錆（さび）は、夫エグモントの血の痕跡だ。震えそうになる手を固く握りしめ、彼女はかろうじて自分を支える。（なぜ・・・あの銃は処分させたはず・・・！）「気づかないと思ったか。お前が狩に同行しない理由など、分かってる！」8年前のあの日、エグモントは私を執拗に責めていた。「政務だなんだと、もっともらしいご託を並べて・・・あの僧侶と逢瀬を楽しむ気だった！」苛立ちは極限まで達し・・・彼は寝室で私を打ちすえた。私が床に倒れても、幾度も。繰り返し。「エグモント殿下、おやめ下さい・・・！」私をかばって間に入ったアルブレヒトは、エグモントの前で立ちつくした。首元に当てた指の合間から、血の筋がしたたっている。半ば正気を失った夫の手に、朱に染まった短剣が見えた。いつも狩猟用にエグモントが持ち歩き、易々と獣の皮や肉を裂く。それをアルに再び突き立てようと、彼が振り上げる。「アル！！」無我夢中だった。床に伏したまま手を伸ばした先に、木と金属の固い感触があった。エグモントの猟銃。体を引き起こし、銃を抱え込むように構えた。狙いなど定まるはずもない。ただ必死に重い銃身を引き上げて夫へ向けた。「当初、殿下の死は猟銃による射殺と疑われました。しかし、証拠が示す通り・・・・」「・・・陛下・・・・！」引き金を引こうとする私をアルブレヒトが押さえ込んだ。痛いほど激しく、彼が私の手から猟銃をはじき飛ばした。銃は壁に当たって跳ね返り、それをエグモントが拾い上げた。鈍く光る銃口が、ゆっくりと持ち上がり私の額に狙いを定めた。「猟銃は実際に、暴発したのだ。」　　　弾（はじ）けるような爆発音と硝煙の匂い。床に膝をついたまま、目の前にはアルブレヒトの黒衣。彼は全身で私を覆うように、強く抱きしめていた。頬に押し当てられた軍装が、ざらりとこすれて痛い。「ア・・・ル・・・・？」やがて生温かい液体が足元を浸食していくのが分かった。床一面に広がった赤・・・むせ返るような血の匂い。「アル・・・アルブレヒト！」「陛下、見てはいけない・・・」もがく私を一層きつく抱き寄せる腕。彼は全身に飛沫（しぶき）を浴びて白銀の髪から雨のように深紅の水滴がしたたり落ちていた・・・・「さて、レティシア陛下。」レティシアは記憶と共によみがえった生々しい感触に、めまいがした。自分に向けられている、無数の刺すような視線を感じながら。「このおぞましく痛ましい事件は、確かに銃の暴発が原因でしょう。しかし、不幸な事故ではなかった。」「何を・・・あなた方の提出した猟銃こそ、この一件が偶発的なものであった証拠ではありませんか。」「いいえ、陛下。我々は慎重に検討と実験を繰り返し、ある結論に至りました。もし銃が正常な状態であれば、たとえ暴発が起きてもエグモント殿下は両手を失う程度で助かったでしょう。」審問官は革張りのファイルに綴じられた紙束をめくった。「ここに、エグモント殿下のご遺体に関する所見があります。」レティシアは奥歯を噛んだ。機密扱いのはずの記録が、一体どこから漏れ出したのだ。「記録によると、殿下の頭骨前面に大きな損傷があり、下顎骨も砕けていた。この傷は、銃の台尻部分が衝突したと考えると合致します。」黙して聞いていた司教が、胸の前で小さく十字を切った。「この大きく裂けて巻き上がった銃身。同質の猟銃で、これほどの規模の暴発が起こることはない。それが起こったのは、人為的に手が加えられていたからです。」審問官は猟銃を手にしてレティシアの目の前に突き出した。「銃弾の火薬には、通常の配合の他に塩素酸カリウムが加えられていた。爆発威力を増大させるが、不安定で危険な物質です。当時イタリアで発見されて間もないこの物質を、我が国に持ち込んで用いることができたのは誰か。自ら配合する技術を持っていたのは誰か？そして、その実行者に命令を下せたのは誰か！」「・・・グストーや私を疑うというなら、誓ってエグモントの死には無関係です。火薬の配合が特殊であろうと、何一つ彼の関与の証明にはなっていない・・・！」レティシアの言葉に、諸侯から追求の声が上がる。「宰相は潔白だと？なら何故、奴は殿下の死後に国外へ逃れた？陛下ご自身、引き止めなかったのは何故だ。」彼女は沈黙するしかなかった。グストーはエグモントの死を画策などしていないはず・・・少なくとも自分は命じていない。他ならぬ自分が、あの銃を撃とうとしたのだから。だが事実を明かせば、これまでの偽証が罪となる。そして、何より・・・・「まぁ、皆さん。」審問官は、なだめるような声でファイルを閉じた。「調合や実験を行う手合いは、記録を詳細に取っておくもの。宰相殿の部屋から配合記録が見つかれば、重要な証左となるでしょう。」それは、既に勝利を確信した言葉であった。

  2009/11/14

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• NHK杯　アナウンサーに乾杯

  フィギュアスケート、NHK杯。相変わらず、NHKアナウンサーの的確なコメント・指摘に泣けた。以下、ゆるい感想です。^-^◆女子ショート美姫ちゃんは「人生最悪の演技」だそうですが、心ここにあらずで、あれだけのステップが踏めるなら達人の域に入ってきてるんじゃなかろうか。ピアニストの指が無意識に音楽を奏でるように。って言い過ぎでしょうか。アシュリー・ワグナーは安定して強くなってくれて、とても嬉しい。◆男子ショート小塚君の「あー、もう！！」に激しくトキメいた。（笑）ベルるんは、そこに居るだけで愛です。３アクセルは素晴らしかったです。高橋選手・・・ステップでの転倒にビックリというより、その後演技になかなか戻らないからビックリした。どこか痛めて中断するのかと思いましたよ。（＞＜；ウィアー、綺麗なプログラムですね。エキシビも今年すごくいいし、何とかファイナルに残ってくれないかなぁ！！そして、ジュベール。やっぱり、ちゃんと調整してきましたね。オリンピックをにらんで、わざと仕上げを遅らすのかと思ったけど、今の段階でも４・３跳べるんだ。プルシェンコとの対決も楽しみです。◆ペアショート川口さん達、強くなった！しかし、あれだ。鶴だ。白鳥というより。タンチョウの舞いに見えて仕方ないのは、腕の動きのせい？？腕だけでいえば、私はムホルトワが好き。眠いので、ぐだぐだですみません。毎週金曜はハードです。さぁ、明日の試合はどうなるかな～。

  2009/11/06

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• おまけの天黒★マイコー編

  大聖堂敷地内　女王の幽閉場所にて「フゥ。こんな寒い部屋に閉じこめて放置だなんて。叔父上も真性のSだわ。あれこれ考えるのも疲れてしまった。まぁ、こういう状況の場合、ヒロインは黙っていても救援が来るものよね・・・・私の忠実な家臣は、いつ助けに来てくれるのかしら・・・」レティシアが他力本願な考えに浸っていると、突如部屋に響き渡るベース音。　　ン　デケデケデケ　テンテン♪　デケテンテン　デケテンテンテンテン♪　　ン　デケデケデケ　テンテン♪　デケテンテン　デケテンテンテンテン♪「これは・・・？このサウンド、まさか・・・？！」　　パウ！　　レティ, are you OK?　　So, レティ, are you OK? 　　Are you OK, レティ？　　レティ, are you OK?　　So, レティ, are you OK? 　　Are you OK, レティ？「マ、マイケル・ジャクソンのSmooth Criminalの替え歌っ？！それに、なぜかムーンウォークの練習をしているユベールの幻が見える！」　　レティ are you OK?　（レティ、大丈夫かい？）　　Will you tell us that you’re OK?　（どうか無事だと言っておくれ）　　He came into the cathedrale　（奴は大聖堂に忍び込み）　　He left bloodstains on the carpet　（カーペットに血痕を残して立ち去った）　　You’ve been hit by　（君はやられたんだ）　　You’ve been hit by a smooth criminal　（凄腕の犯罪者に）　　ン　デケデケデケ　テンテン♪　デケテンテン　デケテンテンテンテン♪「ちょっと、ユベール！お願い、踊ってないで早く助けに来て！」「駄目です、まだ反重力ダンス*をマスターできなくて・・・！」「あきらめなさい、マイケルのダンスは、他の人間には真似できないわ！」 　　 *反重力ダンス：両足裏を地面につけたまま、45度くらい体を傾ける超絶技巧。 　　 マイケルが特許を持ってるらしい。　　レティ, are you OK?　　So, レティ, are you OK? 　　Are you OK, レティ？「OKじゃないから、もう、助けて！！」～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～＊作者のつぶやき今日、マイケル・ジャクソンの「This Is It!」を観てきました。単なるメイキングじゃなくて、舞台で歌い踊り、細かに指示を出してる姿が見れました。リハだから流して歌ってる曲もいくつかありますが、大体は本番のコンサートを想像できる、力の入った熱唱。できれば劇場で座って見るんじゃなくて、広場とかに巨大スクリーン設置して、コンサート風に楽しみたい！と思う内容でしたよ。ちなみに、Smooth Criminalの映像はコチラでどうぞ～。◆You tube反重力ダンスは7分2秒あたり。もちろん、元々の歌詞は「Annie, are you OK?」です。^-^;

  2009/11/01

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• 天空の黒　大地の白（5-45）王室裁判(2)

  ≪前回までのあらすじ≫　レティシアはバイエルンの公子との婚姻承諾を受けるため、ユベールを護衛に付け司教の統治する北方の街へ向かう。しかし、叔父ジークムントの私兵隊が大聖堂を占拠し、レティシアを告発すると宣言する・・・--------------------------------------------------------------------------後世、フライハルトの歴史書に名を残すこととなった一大事変は、こうして始まった。ジークムント公傘下の諸侯と私兵達は、大聖堂のみならず街全体を包囲し、特に王都へ続く街道を厳重に監視した上、検問を設けていた。正規軍の統帥権を持つレティシアが軟禁状態であり、本来の統括役であるローレンツ候は王都を離れ地方に、実質上の最高司令官アルブレヒトは国外にあり、軍組織は機能麻痺に陥っている。公爵が出したレティシアに対する弾劾宣言は、宰相グストー・イグレシアスへの召喚状と共に宮廷に届き、人々を一層混乱させた。書状は、グストーが亡きエグモント公殺害を共謀した罪、またフランスで反王党派として公職についていた過去を隠し、フライハルトの共和化をはかる国家の転覆者であると糾弾していたのである。ジークムントはレティシアを盾に彼の即時出廷と証言を求めているが、当然ながら公正な裁判など望むべくもない。宮廷人達は固唾（かたず）をのんでグストーの動向をうかがっていた。一方、女王の護衛として同行した者達は、どうなったのであろう。彼らは数十倍という圧倒的兵力差の前に、降伏を余儀なくされた。将校級の者達は配下の兵と引き離され、公爵が徴収した庁舎にそれぞれ監禁されている。敷地のいたる所、深夜三時を回ってもマスケット銃で武装した巡回兵の夜警姿があった。「やっと時間か、助かったぜ。」大聖堂の鐘の音を合図に、警備の一人が交替役の男に歩み寄る。春先とはいえ、日没から明け方にかけて芯まで氷るような寒さに晒（さら）される。彼はコートを着こんだ肩をすぼめ、両手をこすり合わせた。民家の屋根が重（かさ）なる向こうに、聖堂の尖塔から漏れる光が見える。あそこにフライハルトの女王が幽閉されていると聞く。「万事、公爵殿下の計画通りってトコかね。」「騎士連中も、それにあのローレンツ家の若造も、あっさり白旗挙げたもんだ。」「“ユベール様”か。アンベルクの英雄だなんだ騒がれてたが、もともと大したこたねぇよ。」男は自分が守る建物の三階を見上げた。その一室に褐色の大尉が囚えられているのだ。子爵家に仕える、男の兄がよく言っていた。かつて彼の主人が、奴の体に印（しるし）を刻んだと。身のほど知らずにも女王を穢（けが）した、罪の烙印・・・「軍服を着てめかし込んだって、しょせん階級章を付けた異教徒だ。」レティシアの治世が終われば、宮廷の中枢も一変する。そうして、フライハルトに伝統と秩序が再び訪れるのだ。　　　　　　　　＊　　　　　　　＊　　　　　　　　＊　　鈍い銃声　　飛散した血しぶきが　奇妙に生温かった　　じわじわと足元を浸食する　それに　　震えることすら忘れ　ただ呆然と　　かつて夫であったものを見つめていた「レティシア」名前で呼ばれ、彼女は白昼夢から覚めた。そう、ここは宮廷の寝所でなく、叔父の用意した幽閉場所だ。寝台の他には小型のテーブルを置くだけで精一杯の窮屈な部屋。たったひとり外界から隔絶されていると考えることも尽きて、つい己だけの世界に入り込んでしまう。「ジークムント叔父上・・・」扉に穿（うが）たれた方形の覗き窓越しに、レティシアはジークムントの狡猾な眼光にさらされた。「かわいそうに一人きりで幾日も、さぞ心細い思いであったろう。それに、石肌がむき出しの壁に囲まれては、夜は凍えて満足に眠ることもできまい。」「・・・・。」彼の魂胆は分かっている。一国の君主を拷問にかけるわけにいかない。代わりに精神的に追い詰め判断力を奪い、“審問”を優位に進めるつもりなのだ。「知っているか。数百年前、敵軍を落とすのに効果的な方法が何であったか。」彼は寝台に腰掛けたままの姪の姿を、じっとりと眺め回した。「黒死病に冒（おか）された獣の生肉を、敵側の井戸に投げ込むのだよ。そういえば、そなたもここで水を口にしたかな。」レティシアの体に緊張が走ったのが、仄暗（ほのぐら）い灯りの中でも見えた。「そなたが病で倒れたとなれば、断罪して玉座から追うよりも、儂の心痛も軽くて済むが。」ジークムントは口ひげを左手で撫でつける。彼が愉（たの）しんでいる時の癖である。これは罠だ。揺さぶりに過ぎない。ジークムントにその気があれば、とうの昔に手を下せたはず・・・彼女は否定を繰り返す。「そう、我が姪よ。」立ち去り際、公爵は付け加えた。「グストー・イグレシアスも審問会に招いたが、いっこうに返答を寄こさない。こうも長くそなたを待たせる事になったのは、そのためなのだ。心苦しいが、そなたを弁護する者のないまま裁くことになりそうだな。」「己の身の潔白は、己で証明できます。」「ほう・・・良い心がけだ。」ジークムントは憐憫と嘲笑の混ざった声で言う。「レティシア、あの男に期待するな。最後はあの男が救ってくれるなど、はかない希望を持たぬがよい。あやつは手に余る厄介な状況となれば、主君を捨てて乗り換え、そうやって生きながらえてきたのだ。」「・・・・今宵はずいぶんと饒舌（じょうぜつ）ですこと。審問会で私を糾弾する証拠に、不備でも見つかりましたか。」ようやく人の顔が判別できる程の暗がりの中、レティシアは青みを帯びた微笑を返す。ジークムントは右眉を上げた。「まぁ、よい。いざという時、そなたのためグストーが我が身を犠牲にするか・・・そなたが一番良く知っているのだったな。」遠ざかる靴音を聞きながら、彼女は心を空白にしようと努めた。思考も追憶も、今は己を痛めつけるだけだ。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～＊またまた、お久しぶりの更新です。何度も書き直して、今回はジークムントとレティシア中心になりました。かなり序盤に出てきたユベールの傷は、今でも背中に残ってるようです。次回、レティ様の裁判が始まりますが、結局グストーはバックレるんでしょうか。（やりかねん。）

  2009/10/31

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• 『アーサー王物語』１巻やっと読了。

  アーサー王の物語は日本でも様々に翻訳されていますが、15世紀の原典、キャクストン版の全訳が出版されてると知って、購入しました。トマス・マロリー『アーサー王物語』全5巻、筑摩書房。ビアズリーの挿絵500点以上が、そのまま載せられている豪華版。それまで、例えば『アーサー王の死』というタイトルで、アーサー王の誕生やローマ遠征、騎士ランスロットの活躍やアーサーの死など、ごく一部だけが収録されていたわけですが、完訳版が日本語で読めるようになったと・・・そんなスゴイものが！と思って勢い込んで読み始めたわけですが。こ、これがくせ者でした。(T_T)1冊400ページ超という長さもそうですが、何より淡々としすぎている感じてしまうのです。大魔術師マーリンが登場している内は、まだワクワクと読めたのですが、彼が退場してしまうと、もう・・・。例えて言うと、同じ柄の長い長いタペストリーを延々と見続けてる感じ。（？！）確かに、内容的にも騎士が決闘して、捕虜になって、乙女を助けて、また決闘して・・・の繰り返しが多いのもあります。が、個人的に合わないのは、翻訳が理由だと今日気づきました。『アーサー王物語』は現代の読者への「読みやすさ」を意識して翻訳されたそうなんですが、なんか日本語がカタコト、たどたどしい。例えば、「だからこそ、お前たちを殺すか、さもなくばひっ捕らえるかするのだ。」こんな言い回しが頻繁に出てきます。同じ箇所が『アーサー王の死』（厨川訳）では、「だからこそ、お前らを殺すか捕らえるかするのだ。」となる。（完訳版）“「（前略）兵士は一人たりともトレント川のこちら側の国へは、騎馬で乗り入れても、歩いて入ってもいけない。」そのために敵軍は、前のように偵察のために馬を乗りまわすことはあまりなかった。”（厨川訳）“（前略）武士は一人たりともトレント川のこちら側へ騎馬でも徒歩でも行動してはならぬ、と。そこで敵軍も、以前のようには、偵察に馬を乗り廻すことはあえてなかった。”う～～ん。確かに完訳版の方が言葉は平易ですが、私は読みづらく感じます。というのは、文章に流れやリズムがないから。説明調で、表現の叙情性や声に出した時の心地よさに欠けているというか・・・人間、黙読する時も頭の中では声に出して文章を読むのですから、音声的な美しさは重要じゃないでしょうか。リズム感があったり、格調のある文章は、一種の陶酔を生むのだと思います。なので、いくら言葉自体が簡単でも単調な文章は、長編を読み続けるには不向きかと。そんなワケもあるのか、4ヶ月前に5冊セットで購入した『アーサー王物語』は、1巻の中盤でずっと放置に。(^-^;)数日前に引っ張り出して、ようやく1巻だけは読了しました。早く「トリスタンとイゾルデ」のくだりに行き着きたい。道は遠い。

  2009/10/29

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