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カテゴリ:雑考生活
多くのヒト(特に男性)がそうであるように、ワタシは服を買うときに店員に近寄ってこられて「お似合いですよ」とか「それ売れてますよ」とか「よかったら広げてみてくださいね」などと耳元で囁かれるのが大の苦手で、「似合うかどうかはほっといてくれ」とか「売れてるかどうかは関係ないの」とか「言われなくても勝手に広げるし」とか、店員に介入されるといちいち癇にさわるのである。ひとりで静かに見さしてくれ。欲しけりゃ買うし、質問があれば聞くから、頼むし放っといてくださいといつも心で願いながら、必死で店員の攻撃に耐えているのである。 ユナイテッドアローズ(以下、UA)という店がある。もとはビームスから独立したオーナーが始めたセレクトショップであり、いまや本家ビームスを抜いてセレクト業界首位独走の業績を誇る。ちなみに創業者は三浦(旧姓・設楽)りさこさんの叔父さんね。 で、ワタシは服を買いに行く時期が1年に約2回ほどあるのだが、その時に必ず立ち寄る店のひとつがこのUAである。ここは店員の接客態度が、他の店に比べて露骨な商売っ気がほとんど感じられず、極めて自然体の接客なのである。かといって、某○ニクロのように、完全セルフの放置プレイでもない。つかず離れずの間合いが絶妙で、ひとりで商品を選びながら「じゃ、これにしようかな」と思って振り向くと、気が付けばそこに「サイズを確認しましょうか」と忍者のようにUAの店員がニコやかに立っている(いつもじゃないが)。 以前、こんなことがあった。UAで買ったズボンの裾上げをしてもらった所、店員がミリ単位で裾の丈を確認してくれるので「あー急いでるからもう大体でいいですよ」と適当な返事をしていたところ、後日受け取りに行くと案の定、思ったよりも丈が短くてなんだかなぁという状態であった。こちらが適当な返事をしていたからなのだが、店員のお兄さんは血相を変えて「申し訳ありませんでした!」と土下座せんばかりの勢い。「完全にこちらのミスです!」って、おいおいそんなことないってば。しかし店員のお兄さんは、すぐさま同じ商品の在庫を本部に確認すると、「お時間を取らせて申し訳ございません」と平身低頭で再度ワタシの裾丈を計る。「何度もお店に足を運んでいただくわけにはいきせん」と、2日後にはキッチリ裾丈ジャストのズボンが自宅宛に宅急便で送られてきたのであった。長文の詫び状を添えて。ワタシは年に2回しか買わない客で、決して常連ではない。それでここまでやられると、さすがにちょっと感動してしまう。ちょっとだけなんだけど、これが意外と効く。 先日読んだ本の中に、このUAのことを書いた『ユナイテッドアローズ 心に響くサービス 』があった。他店にない優れた接客サービスが、なぜUAの店で実現できているのかを解き明かす内容で、なーるほどなぁ、やっぱりこれはスゴイ会社であるなぁと、あらためて感心した。簡単に言えばこの企業、「売上は二の次。まずお客が感動する接客をすれば、売上は自然についてくる」という理念を本気で貫いていて、単なるマニュアルではない実践的な接客プログラムを、継続的に、徹底して社員に浸透させているのがスゴイ。「服の試着が終わって出てきたら靴を磨いてくれていた」とか「買う前に着ていた服にアイロンをかけて自宅に送ってくれた」とか、ワタシのケースの上を行くような接客事例がいくつも載っていて、作り笑いのセールスマシンと化した他店の店員とは一線を画す逸話の数々に、さらにうーむと感心させられる。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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