楽勝だよ--------------!!
シャロンの病はやはり「ALS」なのか。
それはせりかの父と同じ病。
脳から筋肉を動かす命令が伝わらなくなっていく病。
今日は筆記テストの日。
だが、六太はその試験に集中できない。
ここでいい点を取って、誰よりも早く選ばれないとだめだと考えるのだが・・・。
それが逆にプレッシャーになり、六太を追い詰める。
昔、シャロンに日々人より先に月へ行き、シャロン望遠鏡を建てると約束していた六太。
その約束を果たす時間が!!
シャロンの検査に同行した六太と日々人、そしてせりかと田村。
医師はここで即答はできないけれど、神経系に変化が起きているのは確かだというのだ。
家族に連絡をというので、番号を書こうとしたシャロン。
だが----
シャロンは既にペンすら握る事も出来ず、番号も書く事が出来なかったのだ!!
「あれ?」
何度もペンを持とうとするシャロンだけど、うまくいかない。
見守っていた六太たちに緊張が走る。
そしてシャロンを退室させた後、医師の話を聞くことになった4人。
運動不足の筋肉低下かもしれないという医師に、せりかは単刀直入に、自分が心配しているのはALSなのだと告げたのだ。
せりかが医師だと知り、驚きながらも、その可能性を考えていた医師は、もしALSだとしても、それを伝えるには段階がいるというのだ。
「とても、重い病気ですので」
その言葉にハッとなる六太。
これがまさにアマンティが言っていた予言ではないのか。
妹が来る事になり、シャロンはこれからいくつもの検査の予定が入ったよう。
何らかの病である事は自分でもわかっているはず。
なのに・・・。
「彼女は笑顔をやめなかった」
帰り道、せりかにALSが何か問う六太。
「私の父が亡くなった病気です」
衝撃の告白に言葉が出ない六太。
力が入らなくなり、転ぶ事が多くなる。
その症状があまりに父と似ていたと、淡々と語るせりか。
やがて筋肉を動かせなくなり、やがては寝たきりになり話も出来なくなってしまう。
いずれは自分で呼吸すら出来なくなってしまうのだ。
「あのシャロンが-----!?」
にわかに信じられない六太。
この病は人により進行状況が違うという。
10年で序々に悪化する人もいれば、せりかの父のように、診断されて、たった2年と10ヶ月で亡くなる人もいるというのだ!!
そんなもろもろを思い出していた為、まったくテストに集中できなかった六太は・・・試験結果は最悪。
日々人もまた、ため息ばかり。
ギターを弾いて気を紛らせる位しか出来ないよう。
そして・・・検査結果が出たその日。
シャロンに告げられたのは---ALSという残酷な結果。
そんなシャロンを訪ねたせりか。
そして、シャロンは日本に帰って月面望遠鏡の計画を進めると六太と日々人に告げる。
無理はしないでと念を押す二人だけど・・・。
せりかが話した父の事。
どうやらせりかの父も、体が動かなくなるギリギリまで研究を続けたというのだ。
「私も見習って、行くとこまで行くわよ!」
笑顔のシャロン。
なんて強い人。
後数ヶ月もすれば、シャロンは大好きなピアノを弾く事すら出来なくなってしまう。
そのことを医師から告げられているはずなのに。
「それでも彼女は笑っていた」
だから六太も決意する。
飛行機のゲートへ向かうシャロンを呼び止めた六太は決意表明をする。
「3年先か4年先かわかんね~けど、俺の中じゃ、俺が誰より先に選ばれて、月で望遠鏡を建てる予定だよ」
「ありがと、楽しみにしてる」
そう言って笑顔で日本へ帰って行くシャロンだった-----。
この夢はもう六太だけのものじゃない。
せりかだって、父を救えなかった思いがある。
今度こそ研究を間に合わせたい。
そう思うだろう。
もちろん日々人だって、月面望遠鏡建設のためなら喜んで力を貸すだろうし。
どうか助かって欲しい。
少しでも長く生きて欲しい。
シャロンを救いたいという思いが、彼女との約束が、これからの皆の力になるはず!!
子供の頃、ひどく後ろ向きだった六太は、
シャロンに英語で「僕はいざという時、役にも立たないダメ人間です」とどういうのか教えて欲しいと聞いた事があるよう。
よく使いそうだからという六太に、シャロンが教えてくれた言葉は・・・。
「It's a pice of cake」
直訳では「ケーキ一切れ分」
だが、違う意味もあるというシャロン。
そのシャロンは、やはりもう文字もかけないようだし、書き損じた紙を丸める事すらうまく出来なくなっていたのだ。
不安だろう。
どこまで他人の手を借りなくて生活していけるか、タイムリミットは?
色々考えてしまうだろうなぁ。
六太はああ言ったものの、早速飛行訓練の筆記試験で最低点を出してしまった自分をダメ人間だと評する。
だが、実の所、どうやってアサインが決められているのかわからないのだ。
テストの順位が選ばれる条件なら、自分はまだ月へは行っていないと励ます日々人。
「シャロンの病気は、いずれシャロンの手足の自由を奪う。
耳は聞こえるけど、話せなくなる。
目は見えるけど、まぶたを開く事ができなくなってしまう。
そうなる前に、俺は・・・見せられんのか!?
シャロンの見たがっている小惑星の姿を・・・!!」
今日もまだひとりで食事を取っていた六太。
そこへやってきたせりか。
食後の別腹って事で、ケーキを一切れ持ってきていた彼女に、ふと六太は、シャロンが教えてくれた「It's a pice of cake」の意味を問う。
「「楽勝だよ」って事ですよね」
そう。
六太がシャロンの嘘に気づき、この言葉の本当の意味を知ったのは高校の時。
「そういう嘘なら平気でついちゃう人なんだよな、シャロンって」
それに頷くせりか。
そして、シャロンから月面望遠鏡の話を聞いたというせりか。
自分はALSに効く新薬開発の為にISS搭乗を希望した。
「私も・・・シャロンさんと約束したんです。
自信もないのに。
シャロンさんの病気に効く薬を、私が生み出してみせるって」
強い意志を持って、改めて『宇宙飛行士』になる目的を定めた二人。
翌朝、シャロンから届いたメールには・・・。
明日から月面望遠鏡の製作手順書を作っていくと書かれてあった。
そして、自分の事は心配しないで訓練を頑張れと。
「私も3年後か、4年後かに、あなたに月面望遠鏡計画のすべての説明を伝えに行く予定です。
覚える事だらけよ。
覚悟はいい?」
そして六太がシャロンに返したメールの返事は・・・。
シャロンを元気づけられるような文章は考えても生み出せなかった。
だから、『ケーキ一切れ分』とだけ返事した。
「言ってくれるじゃないの、ムッタ」
笑顔になるシャロン。
シャロンが飛行機の中で書いていた文章もまたそれ。
「It's a pice of cake」
楽勝だよ。
六太の覚悟と粋な返事に涙だった。
素敵な言葉。
六太にとって、この先ずっとこの言葉が勇気になるはず。
シャロンの病気は悲しいけれど、でもこれでそれぞれが進むべき道を改めて定められたわけで。
時間よとまれ。
その日が出来るだけ遅く訪れるように。
シャロンがあの星を見ることが出来るように。
祈るばかりです。
頑張れ、頑張れ!!
みんな頑張れ!!
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