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2009年08月27日
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テーマ:高校野球(3681)
カテゴリ:高校野球
「忘れ物を取りに来ました」

2009年夏の甲子園「第91回全国高校野球選手権大会」出場の新潟代表日本文理高校野球部。

今春の選抜大会で優勝校の清峰と一回戦で当たり、注目選手である今村猛投手に完封された。

「初戦敗退の忘れ物」

日本文理にとって、1勝することが最大の目標だった。



新潟県は春夏通算勝利数で47都道府県においてワースト最下位の野球最弱県。

春のセンバツは「出場すること」が、夏では「1勝すること」が大快挙というレベル。

日本文理は夏の甲子園は3年ぶり5度目の出場、春の選抜には3度出場したことがある。

最高成績はベスト8(2006年春)だが、夏は全て初戦敗退だった。




一瞬だった。

快音が聴こえ、打球が消えた。

誰もがボールを見失ったようにみえた。

テレビの実況、解説者も観客でさえも。

画面が切り替わった瞬間、ボールは三塁手のグローブに納まっていた。

その場にいた誰もが予想しなかった結末だった。



勝利した中京大中京には涙があふれいていた。

負けた日本文理に涙はなく笑顔があふれていた。

会場の観客はスタンディングオベーションで両校を称えた。

拍手はいつまでも鳴り止まなかった。



両チーム整列の後、挨拶もそこそこにお互いが歩み寄った。

握手をし、肩を抱き合い、声を交わした。

どちらが勝ったか見分けがつかないくらい笑顔があふれていた。




春にした忘れ物を取りに来た日本文理。

初戦に勝ち、忘れ物は返ってきた。

あとは、一日でも長い夏にしようと

気がついたら、いちばん長い夏になっていた。

忘れ物を取りに行き、おまけに感動がついてきた。



最後の瞬間まであきらめない。

自分にできることを精一杯やる。

それがあの決勝戦につながった。



でも、日本文理はまた大きな忘れ物をしてきてしまった。

「甲子園での優勝」という大それた忘れ物

長い間、見ることさえも許されなかったような大きな夢。



でも今は

いつまでもかなわない夢なんかない

誰もがそう思い、練習に打ち込むはず。


甲子園は、最後まで負けなかった一校と

たった一回しか負けていない高校の集まりでしかない。



来年もまた、多くの高校が忘れ物を取りにやってくる。


甲子園の忘れ物は、形を変え、時代を超えてゆくもののようだ。


○  ○  ○  ○  ○  ○  ○  ○


日本文理の大井監督は、50年前の夏に宇都宮工(栃木)エースとして準優勝。

3連投で決勝に臨み2-2のまま延長に突入。15回表に6点を奪われて力尽きた。


「まだ新しいチームを一から鍛えてほしい」

恩人に頼まれ、2、3年のつもりで新潟に来た。

経験者が半分にも満たない開校3年目の新進校の野球部だった。


それから23年、新潟県勢初の決勝進出。新潟県の歴史を変えた。

優勝まであと一歩。

これで監督を辞められなくなった。




日本文理の大井監督は言う。

「技術で勝負すると、技術で上回るチームには勝てないと子どもたちには伝えています。

高校野球は、どんな形であれ教育の場。野球を通して、仲間を作ることや親に対する感謝の

気持ちを持つということを意識して指導しています」


野球でなくても通用する教え。


大井監督は一戦ごとのインタビューで、選手達のことを「子どもたち」と呼び

温かいコメントをする。



日本文理の現在のチームはキャプテンが中心となって話し合い

監督が知らないところで学校周辺や駅前で掃除を行っていた。

地域の人に礼を言われて監督は初めて気がついた。


地域の人達やOBも、そんな野球部をバックアップしている。


監督が来た頃は室内練習場もなく、野球部の部費も思ったように出なかった。

ベンチやスタンドはすべて選手達の父母の手作り。

グラウンドの土の入れ替えもやってくれた。


JA新潟は魚沼産コシヒカリを代表校の泊まる宿舎に毎年300キロ差し入れている。

ちなみに、今年は予想外に勝ち進んだために200キロを追加した。

新潟日報は、選手の滞在費や応援団の移動費など予想外に膨らんだ経費のため

寄付を募る記事を出した。

今まで勝ち上がった経験がなかったので、積み立てていたお金では足りなかった。


今年の甲子園の決勝が日曜日だったらと今でも思う。

そうすればあの素晴らしい試合をもっと多くの人にリアルタイムで観て貰えたのに。

当日、テレビで観た人は勝ち組。

会場で、生で観た人は幸運の持ち主。


怖くて怖くて、時々テレビを消してはつけ、消してはつけをしながらも

9回は全部見ることができた私は・・・。

★★★★
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

10対4

9回表2アウト

中京大中京のピッチャー堂林は、あと1アウト打ち取れば優勝投手としてマウンドに君臨する。

その瞬間を会場にいる誰もが想像し、この試合の終わりを予感していた。

テレビの実況や解説者も、まとめのコメントを吐き始め

テレビカメラの画面も大差で勝っている側の中京大中京チームの顔を一人一人UPで映し始めた。

嬉しさを隠し切れない者。

ソワソワする動作を抑えきれない者。

目が潤み、あわてて顔をひきしめる者。

誰もが、すぐそこまで来た勝利の瞬間を迎えるための準備をしていた。

○○
○○○
●●





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最終更新日  2015年02月28日 23時28分10秒
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