シンクロニシティ

帰宅の電車の中での事。
おおよその席は埋まっていて、なんとか座っていた私の前には二人の若い男性が立っていた。どちらも真新しい黒いスーツで、けれど折り目はだらしなく無くなっていて、新人さんの雰囲気でいっぱい。

右の髪なんか立っちゃっている方の男性が、男性用化粧品のロゴのはいった小さな入れ物から、何かティッシュのようなものを手にとって、左の茶髪の男性に手渡すと、その男性はそれを丁寧に広げ始めた。

いったい何かと見ていたら、その広げた白い紙で、顔を拭き始めた。右の男性も一緒に顔を拭き始めた。二人で仲良く拭き始めた。どうやら、肌お手入れ用のウェットティッシュのよう。その様は、女性のように、誠に丁寧なのが印象的。決して、オヤジが濡れたタオルで顔や首筋を拭くのとは違う。全く違う。

最近、車中で化粧をする女性は珍しくなくなったけれど、この男性二人の丁寧なお顔のお手入れは、前に座っている(二人から見れば相当あぶらぎった) オジサンとしては、何とも居心地が悪いのでした。

きっと今に、ひげをそったり、まつげを揃えたりする男性も出てくるに違いない。