青い空の下で

「ねえ、ここ出てない」と言ってくちびるの上を指差している。
「うん？どうもなっていないみたいだけれど、痛いの？」
虫刺されかな、それともにきびか？

それから、２，３日後、また同じようなことを言う。
えっ、ひげ？？？

よく見ると、うっすら鼻の下が濃くなっている。
その気になってみれば分かるという程度なのだけれど、まあ、そういう変化が訪れても不思議はない年なのよね。でも、当人は

「やだよぅ。こわいよう」と情けない声を出している。

この年頃の身体の変化には誰でも多少の戸惑いはあるものだけれど、男の子がひげが濃くなった（その気配があるという程度）のことでうじゃうじゃいうものかしら。何かこの子なりの屈託があるのかな。

大人に近づくのを嫌がるのは同性の親への否定的感情があると聞いたわよ、と夫に言ったら、ばからしい！と一笑に付された。まぁ、そうでしょうね。