先日、今の子は本をよまないらしいと書いたけれど、それは始まってから既にかなりの時間を経過しているのかもしれない。
美容院へ行ったとき京極夏彦を持って行ったら、
「すごいですね。そんな厚い本よく読めますね。ぼく、活字は全然読まないんですよ。」といわれる。
確かに京極は厚いけれど、全然かぁ。
それで思い出したのが今、放映中のドラマ白夜行で、スタート時の主演俳優のインタビューで、
原作はベストセラーですけれど読みましたか?と聞かれて、
読んでいません。原作とドラマはイメージが違うことがあるので読まないようにしています。
と答えていたことだ。
それはもっともなことなのだけれど、この原作は上下巻になっていないのが不思議なくらいな大作の上にかなり意欲的なストーリー構成で活字慣れしている人間にとっても決して読みやすいものではない。そうか、原作だから読めと言われても読めない人もいたりするだろうな、と思う。あっ、もちろん、彼がということではありません。
原作とドラマの違いというのは普通あるものだから原作のファンだとドラマは見たし、怖しという気持ちになるし、白夜行も原作の二人はもっと非情で卑劣で、ドラマはやはり甘く作ってある。
ただ、この原作の特徴は主役二人の心理描写や二人きりの会話が全くなく、100%周囲の描写だけで二人の輪郭を描くところにある。二人のスタートとなった殺人事件の内容も本の大詰めでようやく明らかとなるくらいで読み手の想像力が大きく試される作品なのだ。
となれば、ドラマはミステリにおいて親殺しに次ぐ大罪とされるネタバレのオンパレードなのだけれど、原作とドラマが陰と陽、それぞれが描いていないところを表しているという点で、私的にはぎりぎりOKのドラマの甘さを許容すれば、ドラマの後に原作を読み返すと楽しみが広がる。
|