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カテゴリ:柴田淳
東京に来て誰かに逢う。
誰かに逢って、何かを喋る。 楽しい時間の後に、いつも悲しい時間を持ってくる。 「ばいばい」 僕の大嫌いな言葉。 その言葉を聞きたくないから、僕は人と逢う約束をしない。 だからこうやって1人でコーヒーを飲んでいる。 唯一逢った人にこう聞かれる。 「東京に来たら、あなたにたくさん逢いたい人はいるんでしょう?」 「えっと、本当は1人の時間も好きなんです」 僕の本当は本当だし、そして嘘だ。 きっとずっとそうなんだろう。 逢いたい人に、逢いたいと言えない。 話したい人に、笑ってもらおうとして自分が笑い、 「ばいばい」と言わなきゃいけない人に、 バカみたいにはしゃいでずっと演じたまま、言わずに去っていく。 誰にも責められることはない。 僕の事を分かってもらう必要もない。 たくさん通り過ぎる人の中で 誰も僕の事を知らない。 でも、その環境も嫌いじゃない。 人に会わないのなら、山奥の森の中に入ってるのと同じ。 「ばいばい」と言う必要がないから。 たくさんいる人の森に、僕は逃げている。 逢いたい人はこの街にもたくさんいるのに。 誰にも必要とされない場所に行けばいい。 そして自分だけと向きあえばいい。 「ばいばい」を自分に言うんだ。 色んな事を気づける為に、色んな事に傷つく為に、 必要とされている人がいる街へ行く為に。 そして、 「君に逢いたい」と。 「ばいばい」を言う為じゃなく、 「君に逢いたかった」 そう言える為に。 出会って良かった人だったんだから。 いつか笑えずに言えるだろうか? 言えたらいいな。 ”言い訳でも言えない事”を理由にして、 またこの街に逢いに来よう。 ばいばい。 またね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年04月05日 15時10分19秒
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