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2011.07.03
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何かと評判のよくない
上野樹里の「江」(NHK大河ドラマ)だけれど、
それでも視聴率はつねにNo.2。
No.1の「Jin」が終わったから、もしかすると、
もしかするかも。

特に、ここのところの千利休と豊臣秀吉の確執
というよりは、秀吉の“一方的な片思いシリーズ”は、
どのように描かれるのか、興味津々で見た。

この歴史的事件に関しては、
野上弥生子さんの「秀吉と利休」があまりにすご過ぎて
どうしても、こちらの小説で描かれた朝顔のエピソードを
ついイメージしてしまうのだけれど、

大河ドラマでは、竹の花器に侘助を生けたのがお気に召さず、
秀吉が思わず花器を放り投げるのだが、
そのためにひびが入った竹の花器を
「このひびに侘びを感じる」と捨てずに使う利休の感性が
どうしても秀吉には理解できない。
ますます利休との距離と哀しみを感じる秀吉
という描かれ方をした。

そんなの表面的なきっかけに過ぎず。

秀吉がこころから憧れ、愛し、
常にそばにいて欲しいと懇願したのに、
利休のほうは全く受け入れず、いとまごいをする。

日本統一を果たし、関白となり、
権勢を欲しいままにできるはずの我が身なのに、
茶頭に取り立てた男のこころを我がものにすることは
どうしても叶わなかった。

ストーリー的には
随分簡略化されてるなあと思いつつ、
石坂浩二さんと岸谷二朗さんの演技で救われたかも。

1989年だったかしら、
野上弥生子さんの「秀吉と利休」
井上靖さんの「本覚坊遺文」という
ものすごく豪華な映画対決があった。

「秀吉と利休」を原作とした「利休」の監督は勅使河原宏さんで、
「本覚坊遺文」を原作とした「千利休 本覚坊遺文」は熊井啓さん。

母が先に2本とも観て、その感想を聞いてから、
先に「利休」を観ることにした。
個人的下馬評では「千利休 本覚坊遺文」に軍配上げてたんだけれどね。

結果的に、私が1票投じるなら「利休」。
今、2本とも、もう一度観たいなあ。

野上弥生子さんの「秀吉と利休」を読んで以来、
なぜだかずっと利休のほうの肩を持つスタンスの私。
もちろん秀吉の思いも痛いほどわかるのだけれど、
どうしても感情移入の度合いが違ってしまう。

20数年前、
利休と同じような状況に我が身が追い込まれるとは思いもせずに
原作を読み、映画か作品も堪能した。

それに気づいたのは、大河ドラマのおかげだった。

もしかしたら、先に野上弥生子さんの解釈による
秀吉と利休の関係性を読んでしまったが故に、
似たようなシチュエーションにあることに気づいて、
同じような態度を取ってしまったのかもしれない。

そのくらい、野上弥生子さんが描いた利休像に憧れていた。

確かに千利休と世阿弥が好きで、
今でも裏千家の指導書と風姿花伝だけは手元に置いて読み返す。

奥義を究めるためには、
ひととおりのことを身につけた後に
再び“盆立て”に戻り、一度終えた修行をやり直すことを
何度も繰り返す。

10代の頃から、そこだけは常に念頭にあった。

そこから思うことは、例えば
「物事が上手く行っているときに、悪い芽が育ち始めている」
というような先輩の言葉だったり。

わくわく、どきどきで、ハイになって進む!
ということが元から出来ないのは、そのせいかしら?


書評と作家評に関しては、
松岡正剛さんのサイトへのリンクにした。
優れた評論があるのに、おぼろげな記憶を辿りながら
下手な道案内はしたくないと思ってしまったので。





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Last updated  2011.07.04 02:22:20
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