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カテゴリ:つながるいのち。
東日本大震災の津波被災地で、
保育所で保育中だった子どもたちの中に 誰一人として亡くなった子どもはいなかった。 これを検証するためのDVDがこのほど完成、 監修者のレクチャー付きの勉強会に参加した。 実際に現地を何度も訪れ、 地道な取材を展開したからこそ、 後に役立つ情報が提供できるだけの作品に仕上げられる。 それを実感した。 DVDに収められているのは津波被災地だけではない。 放射線被曝に苦しむ福島の現状も伝えている。 終了後に、講師を囲んで打ち上げ。 そこで、思わぬカミングアウト。 地震体験がもたらしたPTSDに苦しむ方からの 告白だった。 例によって前置きが長いのは、 ご本人への敬意のつもり。 まだ保育所に通う年齢だった頃、 近所の幼稚園の遠足に連れられて行った先で とんでもない地震に遭遇した。 自分以外の子どもたちは保護者同伴だったので、 大きな揺れの最中に保護者に抱きかかえられ、 安堵することができた。 でも、私を守ってくれる親は、 その場にいなかった。 これが、のちのち後を引き、 彼女は地面が揺れるたびに すくむほどの恐怖を感じながら生きて来た。 あるとき、その話をしたらカウンセリングを勧められ、 実際に受けてみた。 「一番の不安は何?」 そう訊ねられて、 即座に「地震」と応えた。 あれこれやり取りをしたあとで、 不安の大本になったと思われる体験の 実際はどうだったかについて、 調べる決心がついた。 父親は既に他界していたので母親に訊いた。 思わぬ事実が判明する。 自分が連れて行かれた遠足はバスに乗って遠出をしたもので、 同じ大きな地震に見舞われた両親が 容易に迎えに行ける場所ではなかった。 調べるうちに、地震への甚だしい恐怖は消え、 もう、大丈夫だと思った。 そこに3.11の大揺れと津波画像。 今、再び、地面が揺れるたびに パニックに教われるようになった。 阪神淡路大震災や中越地震などを経験した人たちが 3.11を経て、パニックに陥っている状況と 自分自身の状況は、 ほとんど同じだと気づく。 多少は被災地の方々の今の苦しみと この先に訪れるかもしれない苦しみを 自分は理解できるのではないか。 彼女は、そう思っている。 3.11以来、自分でも驚くほど涙もろくなった という人は案外多い。 被災地に居た訳でもないのに、 どうしてこんな風になってしまったんだろう。 感情のコントロールができなくて なんだか自分自身が馬鹿になってしまったような気持ちになる。 実際に震度7、大津波を体験した訳でもないのに、 どうしてこんなに動揺しているんだろう?>ぢぶん。 ふるさとが地震と津波で壊滅的状況に陥ったのに、 原発の事故で、命からがら逃げ出して 後片付けはもちろん、遺体捜索すらできない方々の 無念と苦しみは、まさに実を引き裂かれん状態だろうに、 ほとんど何も失わずに暮らしていける自分自身が どうしてこんなに落ち込んでいるんだろう? 直接被害に見舞われた人々のみならず、 遠く離れた人々にまで大きな衝撃を与えてしまった 大震災の脅威を、改めて、痛感する。 無理に祭りなどで己を奮い立たせようとしなくていいんだよ。 こんなにも多くの人々が傷ついている。 その状況を、ちゃんと受け止めたい。 件のDVDの監修者、M先生とともに大憤慨したのは 救助の優先順位についてだ。 高齢者、治療のために服薬している人、妊婦、 そして乳幼児。 これが、救助の優先順位。 大津波に襲われた仙台市の東六郷小学校でも、 子どもたちは2番目に到着した自衛隊のトラックに乗車した。 トリアージ的には、誰を優先順位に挙げるんだろう? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.11.05 01:53:34
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