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盆栽投資日記

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2006/04/30
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カテゴリ:不動産の話
東京機械製作所のこのIRについて


「武蔵小杉」周辺の所有不動産につき東京建物と共同で開発を推進



日記に書きます。




ご存知の方も多いと思いますがこの東京機械製作所。
ダヴィンチ・アドバイザーズが株をたくさん買い込んでいます。
本業が魅力的だからではなくて「保有する不動産」に着目して株を買っています。



コ・インベストメント(自己投資)を理念として掲げるダヴィンチらしいやり方です。
単なるアドバイザーではなく本気で取り組むのだと対象企業にアピールする、
という目的もあるのかもしれません。



この「株を買っての提案」というのは、いわゆる外資にはできない芸当です。
ダヴィンチは"いちおう"国内の上場企業ですから話ぐらいは聞いてもらえるでしょう。
外資系企業がこのやり方をやるのはたぶん無理です。



前例がないやり方ですから最初は苦労するでしょうが、
一つでも事例を作る事ができればその後のプレゼンがやりやすくなります。



私は個人的にこの取り組み、
上手くいったらおもしろいなと興味深く成り行きを見ていました。






・・・というところでこのIRです。
選んだパートナーは東京建物ですか。



東京機械製作所が大正5年設立。
東京建物が明治29年設立。
ダヴィンチが平成10年設立。



そりゃぁ東京機械製作所みたいな歴史のある会社が
パートナーとして選ぶのは東京建物かなと思います。
旧芙蓉グループの主だった不動産会社って東京建物だけだし。



ちょっと残念です。



_____________________________________________________________________________________________________________________________________




さて、この東京機械製作所。
私が個人的に投資するかどうかというと「しない」です。



ざっくりみて、



・過去10年間で売上げがあまり変わっていない。
・営業利益は減少傾向。
・コア事業の事業素質もそんなに良いわけではない。


というところです。
注目すべきはこの企業が保有している不動産の潜在的な価値でしょうか。
確かにここに着目すればダヴィンチと同じように買えるのかもしれません。



でも、どうもそこに着目して投資するのってなんか変な気がします。
この企業の本業は不動産業ではありません。
コアビジネスと違う箇所に期待して株を買うのってどうなのかな?と思います。



ということで以下の
ざっくりとした"仮の話”です。



□全体の事業の50%
・対象企業のコアビジネス(およびノンコアビジネス)
ROIC8%  

□全体の事業の50%
・昔からもっている不動産の事業。
ROIC2%


加重平均した事業利回り(ROIC)は5%




□投下資本の20%
・有利子負債の税効果後コスト
2%

□投下資本の80%
・株式資本のコスト
7%


加重平均した資本コスト(WACC)は6%



この状態だとROIC5%とWACC6%で「差」はマイナスとなります。
この企業は株主の要求を満たせていないという事になります。



というか、この状態だと株主は投資したくもない"不動産"に対しても
本質的に投資しているという状態になってしまっています。
おかしな話です。



そこでダヴィンチみたいな不動産のプロであるAM会社の登場です。



企業はコアビジネスに特化するために
得意でない不動産の運用を外部のAM会社にまかせ、
不動産をバランスシートから外します。



昔だったらオフバランスするのも"売却"という
マイナスなイメージを与える手段しかないと思うのですが、
例えば「固定資産の流動化」とかの表現であれば世間へのイメージも悪くないと思います。
(私だけがそう思うだけかもしれませんが・・・)



そしてその売却(流動化)して得たお金をコアビジネスに再投資して、
本業でがんばってもらいます。



先の例だと不動産をこのような形で外部のAM会社にまかせ、
仮にその後のバランスシートでの本業のROICが変わらないとすれば(これは厳しいと思うけど)
ROIC8%-WACC6%で差がプラスになります。



投資する株主にしても投資対象からよけいな不動産がなくなるので好都合です。
結果、株主価値は増大します。



欧米、特にイギリスなんかでは
このようなオペレーションを行うというのは一般的になっているみたいです。
企業価値向上における不動産戦略の役割というのは大きいですからね。



ただ、現状の日本でこのようなオペレーションが広く受け入れられるかは微妙です。
自社が持っている不動産の利活用って"おもしろい"ですから自分でやってみたくなるもんです。
好立地ならなおさらです。



そのおもしろい事業を他人に全面的に任せるというのは
昔気質の企業だったらやっぱり嫌がるだろうと思います。
OBの目もあるだろうし。



いずれは日本も欧米みたいに
不動産はプロにアウトソースするのが当たり前という時代が来るだろうとは思うのだけど、
まだ早いのかなぁ・・・。







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最終更新日  2006/05/01 10:01:20 PM
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