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カテゴリ:オススメの本の話
森ビル・森トラスト 都市再開発型の長期プロジェクトを手がける兄の森稔の森ビル、 同じ開発型でも中期プロジェクトを主に手がける弟の森章の森トラスト。 非上場ながら日本で非常に存在感がある 不動産会社2社についての詳細な分析がなされている本です。 取材本ですからヨイショしている箇所もありますので、 そのあたりのバイアスは差し引いて考えなければいけませんが、 知らない事がたくさんでホント勉強になりました。 森ビルがてがけたアークヒルズや六本木ヒルズって17年かかって開発したのですね。 こりゃ上場会社で取り組むのはキツイです。 あと、森ビルってあれだけ巨額の有利子負債を抱えて、 なんで次々に大開発できるのか謎だったのですが、 森ビルの資金調達ってなんと無担保融資らしいです。 元利返済能力を銀行は高く評価しているのでしょうね。 この本が書かれたのは2002年。 世間は「2003年問題で東京のビルはガラガラになる」なんていっていた頃です。 現在の不動産市況の活況ぶりを彼らが予測していたのかどうなのか分かりませんが、 後だしジャンケンではない2002年当時の森ビル・森トラストの不動産戦略の考え方 を知るのは面白いです。 現在の異常なほどの不動産市況の活況が"落ち着いた後”に生き残る不動産会社は どんな企業なのか?という命題へのヒントもたくさん書いてあります。 ・・・ということでこの本のポイントは元銀行員の章氏の経営哲学、 名付けて「五・十・十五の法則」のコレです。 ***************************************** 1)借入金は賃貸関係収益の5倍以内 2)営業利益は借入金の10%以上 3)借入金はその時点でのキャッシュフローで15年以内に完済が可能な額 ***************************************** さらにこう続きます。 売上げ高が1000億だとすると、営業利益率は先行投資分の金利払い、管理費もあるので50%ほど。営業利益は500億ということになる。その時点で売上げ高の五倍、5000億円の借入金があったとする。金利は低金利で、かつ中長期のスワップを組んで固定化すると、年3%以下になる。金利3%だとすると、金利負担は年150億になる。したがって、営業利益500億からコスト分の150億を差し引くと経常利益は350億円。そのなかに減価償却分100億があるとすれと、350億の経常利益で税引き後の利益は200億円。それに減価償却分の100億を加えると、キャッシュフローは、簡単に言うと300億円になる。借入金5000億に対してキャッシュフローが300億だから、債務償還年数は16年~17年になる。ただ、金利支払いは借入れ元本が減っていくので、究極で仮に借入金がゼロになっていたときにどうなっているかというと、償却が5%ほどで借入れ金がない。すると税引き後のキャッシュフローは370億円だから、返済年数は13年ちょっと。大雑把に考えると15年ということになる・・・。 さらに続きますがこの辺で・・・。 森ビル・森トラストのような先行投資型の開発型不動産会社は、 銀行がお金を貸してくれれば、それこそ際限なく大開発ができてしまう企業だと思います。 虚栄心の塊のような経営者だったら、 それこそ限りなく成長性のみを重視してバランスシートを膨張させてしまい、 いつかは立ち行かなくなってしまうと思います。 その中でこのような章氏のような安定性・収益性・成長性がもっとも長期でバランスすると思う、 "財務の制限プレイ"をこのように外部に対してキチンと説明ができる経営者がいるというのは 素晴らしいと思います。 「金融と不動産の融合」という言葉は最近よく聞く言葉ですが、 やはり経営者自身が財務に明るく、企業の長期的なB/S、P/Lの流れをイメージでき、 なおかつ次の次の戦略を現在考えているような経営者の不動産会社に投資したいなと思います。 業績好調の最近の不動産流動化企業の経営者も、 そのあたりの長期でバランスする財務の状況をキチンとイメージできているのだと思います。 時代の変化に合わせて多少は軸は変えているのでしょうけどね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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