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テーマ:ちょっと旅して(33)
カテゴリ:アメリカ生活
早く続きを…!と思っていたのにあっという間に夏の旅行も終わり、夏休みも終わった。
あれま。 ということで、急いで12月26日(日)の旅の続き。 この日の3軒目「Dexter Avenue King Memorial Baptist Church」(Martin Luther King Jr.が牧師を務めていた教会)で、思いがけず礼拝に参加することが出来、本物のゴスペルに感動し、 キング牧師も立ったであろう祭壇で27代目・Michael Thurman牧師のする説教を聞くことが 出来た。 ピアノにベースやドラムの加わったゴスペルは、本当に素敵で映画のワンシーンのようだった。 悲しい過去を持ったこの人たちの歴史を思うと、素敵だの感動だのと言う言葉は不謹慎かもしれないが、それでも私は、彼らの歌を聞いて感動するし、サーマン牧師の話に深く頷き、こうして礼拝に参加出来たことを心から幸せに思い、ここに来れたことに感謝する。 全部が休館で、なんだそりゃな予定を立てたオットに感謝だ。 これがなければ、少しでも時間がずれていれば、私たちはこんなに素晴らしい経験は出来なかったのだから。 これで全てチャラだ。 ううん、それ以上。 そしてこの日、ここでゴスペルを歌っている聖歌隊のCDが完成し、発売を開始するという。 もちろん購入。 これがそのCDと歌詞の書かれた赤い紙。 ジャケットの裏は、この教会、聖歌隊に大いに貢献した、Martin Luther King Jr./Joe Boyer/Zachary Pettway/Rannie McCall の4人の似顔絵が入っている。 ここからは、このCDを聞きながらのドライブになった。 こうしてやっぱり全てに感謝。 そして4軒目「Martin Luther King Jr. Home」 こんな名前が付いているが、彼個人の家ではない。 この教会に赴任してきた牧師のために用意された住居で、キング牧師は、教会に赴任し、バス ボイコットの中心となって活動していた1954年から1960年まで住んでいた。 今も家の前のポーチには、公民権運動に反対する者によってしかけられた爆発物の爆発の跡が残っている。 現在一般公開されており、見学ツアーがあるが、もちろん今日は休館。 でも怒らない。 さっきの礼拝も、オットのダメダメな計画のお陰。 全てを帳消しにする、素晴らしい経験だったのだ。 写真だけ取って、バーミンガムへ移動。 覗いたって休館ですから。 ここから車で1時間半でバーミンガム。 そしてここでの1つ目「Civil Rights Institution」へ。 もちろん休館。 写真だけでも、と撮っていると、近くに止めた車から呼びかけられた。 「Civil Rights Institutionに来たの?」 「うん。だけど休みだね~」と車の側に行くと、中には若い白人のカップル。 「僕たちもここが見たくて来たんだけどね。 今日は寒いし、仕方ないから映画でも見に行くよ。 写真撮るんだったら、あっちが正面入り口だよ。」と親切に教えてくれて去って行った。 クリスマス休暇に白人の若いカップルが来るなんて、感心だ。 ちょっと嬉しい気持ちになる。 次は、この向かいにある「16th Street Baptist Church」。 1963年9月、公民権運動が盛り上がる中この教会にダイナマイトが仕掛けられ、日曜学校に 来た黒人少女4人が犠牲となった。 この犠牲者の一人、デニーズ・マクネアの友人は、後に米国国務長官になる。 2005年~2009年を務めた、第66代、コンドリーザ・ライスだ。 ここのツアーも今日は休み 第二次世界大戦後から1960年代半ばにかけて、ここバーミンガムでは人種偏見に基づく 爆破が40件以上もあり、どれも未解決だった。 警察を始め州知事までもが人種差別を率先して行う土地。 全てがうやむやにされて当然だろう。 だが、当時アラバマ大学法学部に在籍中のWilliam Baxley(*)を始め、この状況をおかしいと 感じ、恐れることなく一緒に立ち向かう白人がいたことは、大きな救いだ。 公民権運動を学ぶ私たちも、ともすれば、白人はそんなに偉いのか?と反対に偏見の目で 白人を見てしまう恐れもあるが(実際色々知っていくうちに、そんな風に思えて来る)、そんなとき、身の危険も顧みず全力で立ち向かった白人(そのために命を落とした人も多数)、そして今の私の白人の友人たちを思うと、そんなモヤモヤも「違う違う!」と払拭することが出来る。 だが本当に、そんな彼らがいなければ、今頃私は偏見に満ちた目で周りの白人を見ていたかも しれない。 それくらい、彼らのしてきたことは酷く、非暴力の黒人に暴力をふるっているとき、座りこみ運動をする黒人に嫌がらせをしているとき等の彼らの顔、そしてその様子を周りではやし立てている白人ギャルたちの顔は、卑劣で浅ましい。 つい「お前はそんなに偉いんか」とパンフレットや博物館のパネルに向かってぼやく。 …あぁ、心が狭い私。 妻と子が在宅中の自宅を爆破されても、キング牧師は「敵をも愛し、好意を持って接する」と言ってのけたのに。 * この教会爆破事件に大きなショックを受けたWilliam Baxley は、大学卒業後、27歳で史上最年少の州司法長官となり、1971~1979年の2期を務めた。 州司法長官となった彼は、教会爆破事件の再調査を開始。 が、FBIの資料が閲覧禁止になっていたり、KKK(過激な白人至上主義団体)から脅迫状が届いたり、そして事件から10年も経っていたこともあり、調査は簡単にはいかなかった。 KKKから届いた脅迫状に対して彼は、州の公式書面で「My response to your letter of February 19, 1976, is--kiss my ass」と返したというが、本当か。 とても素敵。 *「1976年2月19日付けのあなた方の手紙に対する私の返事は、クソくらえ、だ」 そしてとうとう彼は、1977年、KKKの一員である容疑者一人を 有罪に持ち込むことに 成功する。 2000年5月になってようやくFBIは、この教会爆破事件はKKKの分派の犯行と公表。 先に逮捕された一人のほか三人の有罪を主張、内一人は既に死亡していたが、残りの二名を逮捕。 少女たちの死から40年近く経っていた。 この教会の側にKelly Ingram Parkという公園がある。 ここは、1960年代の公民権運動中の、大規模なデモの中継地点や集会場所として使われていたそうだ。 公園の中には、1963年にここで起こった、警察と消防による迫害の様子を再現した彫刻がある。 大人子供関係なく、大量の逮捕者と消防隊からの放水、警察や警察犬による暴行を受けた、 その様子だ。 消防の放水 彼らの重い歴史を思いながら、次の訪問地、ジョージア州アトランタへ向かう。 ここから3時間。 車の中は静かだ。 皆それぞれに何かを思う。 着いたら夕飯を食べて寝るだけだ。 明日は、CNNとコカコーラ博物館へ行く。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011年12月02日 04時30分48秒
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